【42話】青◾️見返り
◾️◾️鷹視点◾️◾️
【ミーナ】
「・・・本気で怒ってたから、きっと怒鳴られるわよ~」
街へと消えて行く氷歌の背中を見ながら苦笑いでつぶやいた
【鷹】
「・・・そんなのにビビられても困るって」
そんなミーナに笑いながら返し
【鷹】
「んで?お前はまだ氷歌を監視してんの?オヤジへの報告は終わったんじゃないのか?」
からかうように真意を尋ねながら、家へと歩き始めた
【ミーナ】
「監視なんて初めからしてないわよ~、まぁ、ゼル様には色々報告したけどね」
そんな俺に並ぶように歩き出し、笑いながら言葉を返してきた
【ミーナ】
「今日は本当に仕事なのよ、物質資源の調査」
・・・そう言えば、あの地域は物質資源が採れる可能性があるとか言ってたな
【ミーナ】
「やっぱりさ~、いくら人の為になる悪人退治でも金銭的な還元がないと辛いわよね~自国ならまだしも他国だし」
・・・確かに
・・・それなりの見返りが見込めないと割に合わない
・・・血を流すのは俺たちの国
・・・下手したら、命を落とす可能性だってある訳だしな
【鷹】
「・・・だから、誰にも文句を言われない還元を探して来いって言われた感じ?」
【ミーナ】
「簡単に言っちゃうとそんな感じね、経済的な施しがないと士気も下がるだろうし」
・・・一番の問題は軍人を含めた、国民の不満だろうな
・・・何故、他国の人間の為に自国が争いをしなければいけないのか?と言う不満、疑問の声が当然の様に上がる
・・・その理由がその国を救いたいからだ、だけでは納得なんてしない
・・・他国でどれだけ無情に命を落とす人々がいても
・・・自国が平和であれば、目に見える範囲が平和であればそれで良いからだ
・・・見えてしまっても、一瞬の同情で目を逸らせば数秒で忘れる
・・・その後は、自分には関係の無い世界でしかないからね
【ミーナ】
「でも、多分かなりの還元が期待できるわよ~、開拓の知識がないだけで、しっかり掘ればいい物が取れそうだし!仲良くして損はないわ!上層の人達も大喜びよ!」
・・・だが、不思議なもので
・・・自分たちの懐が潤うかも知れないとなれば、不満が消える
・・・そして、困ってる人々を助ける善人だと言わんばかりに賛成に手をあげ始める
・・・自己愛に満ち、貪欲なのが人間という訳だな
・・・まぁ、それが普通の人間なんだろうけど
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魔法陣の別館の前に着くと落ち着かない様子の氷歌がいた
【鷹】
「ん~?なんかあったの?」
その様子に少し首をかしげながら尋ねた
【氷歌】
「・・・私たちの居場所が分からなかった為・・・先に別の方が話を通しに向かったようです」
見るからに落ち込んでいるようだ
・・・別の人間か
・・・俺の代わりに話を通す役になる人間
・・・誰が向かったのかは氷歌の様子でも、なんとなく分かるな
【鷹】
「ん~、じゃあ、ゆっくりじゃなくて、俺たちも早く向かった方が良いって事?」
【氷歌】
「・・・すみません」
俺の言葉に申し訳なさそうに返してきた
・・・まぁ、誠意を見せる事を含めて、さっさと追いかけた方がいいだろうな
・・・その方が文句も少なくなるだろう
【鷹】
「ん、じゃ~さっさと行こうか」
【氷歌】
「はい」
俺の言葉に返事をし、足早に別館の扉に手をかざすと氷歌の魔力に答える様に扉が開いた
【ミーナ】
「その都市まで何分くらいかかるの~?」
俺たちに続くように中へと入って来たミーナが訪ねて来た
【氷歌】
「2時間かからないくらいよ」
【ミーナ】
「え~・・・そんなに歩くの?・・・私、長距離歩くの苦手なのよね~」
氷歌の言葉にため息混じりに呟いている
【ミーナ】
「・・・やっぱり、移動には魔法陣だけじゃ不便ね・・・小型の乗り物でも作ろうかしら?」
足元に広がる魔法陣を眺めながら考えているようだ
・・・小型の乗り物か
・・・確かにあったら便利かも知れないな
【氷歌】
「行きます」
俺とミーナが魔法陣に乗った事を確認し、氷歌が魔法陣に手を向け魔力を込めた
魔力に反応し激しい音と光が巻き起こると
昨日と同じ、深い手つかずの森の中へと移動をした
【ミーナ】
「・・・こんな木がいっぱいの森の中を自由に移動できる乗り物なんて無理ね」
周囲を見回しながら諦めた様にため息をついている




