【41話】氷◾️お菓子
◾️◾️氷歌視点◾️◾️
【氷歌】
「・・・・・・・」
・・・一体、何十分こうして空を見上げているだろう?
【鷹】
「・・・・・・・・・」
・・・鷹様はただ静かに空を見上げていらっしゃる
【氷歌】
「・・・・・・・・」
・・・待ち合わせ場所に来たはいいが
・・・何時まで経っても誰も来ない
・・・でもまぁ、あの男たちがいなかった事は良かった
・・・できれば会いたくないし
【氷歌】
「・・・あの・・・お話してもよろしいでしょうか?」
なんとなく沈黙が気まずいので話でもしようと鷹様に声をかけた
【鷹】
「・・・ん~?」
そんな私に鷹様は視線を向けた
・・・が、なにを話そうか?
【氷歌】
「・・・えっと・・・鷹様はいつもダイニングで食事をされているのですか?」
とにかくなにか話をしようと適当な話題を振った
【鷹】
「・・・そうだけど・・・なんで?」
私の質問に意味が分からないと言った様子で首をかしげた
・・・まぁ、意味分らないのは仕方ないだろう
・・・私も特に意味を持っていないから
【氷歌】
「・・・えっと・・・ゼル様は一緒に食事をされたりしないのかと思いまして」
とにかく話題を広げようと少し疑問を感じていた事を訪ねてみた
【鷹】
「ん~オヤジは母さんと一緒に食事をするからね~」
【氷歌】
「・・・お母様ですか?」
意外な言葉に少し驚いた
・・・そう言えば、鷹様だって人間なんだから父親がいれば母親もいるわよね
・・・でも、父親であるゼル様はお見かけするがお母様は見た事も話を聞いたこともない
【氷歌】
「・・・お母様は一緒に食事をされないのですか?」
なにか理由があるのだろうと思ったが、気になるので少し遠慮がちに尋ねた
【鷹】
「母さんは自室でしか食事をしないからね~」
私の心境とは違い、特に言いにくさも感じない言葉で返して来られた
・・・まぁ、鷹様のお母様なら大層な地位を持っていらっしゃる訳だし
・・・自分専用みたいなダイニングとかあったりしても不思議じゃないか
【氷歌】
「・・・では、鷹様はいつもお一人で食事を?」
【鷹】
「ん~?子供の頃は母さんの部屋で食ってたけど、10歳くらいからは一人で食ってるかな~?」
そんな私に少し考えながらお答えになり
【鷹】
「まぁ、最近はお前がいるから違うけどね」
そう言ってニコッと笑った
そんな鷹様は・・・少し嬉しそうにも見えた
・・・そう言えば、鷹様は自宅学習みたいだし
・・・朝も昼も夜も、お一人で食事をされていたのだろう
・・・話し相手がいるだけでも嬉しく思うかもしれないわね
【氷歌】
「・・・・・・・・・」
・・・友達が居ないと言ったミーナの言葉もそう考えたら納得かな
・・・学校という場所に縁がなければ同年代と知り合う事も少ないだろうしね
・・・少し複雑な感情も感じるが
・・・鷹様の立場を考えたら
・・・仕方ないの一言だろう
【鷹】
「今、何時くらいだと思う~?」
軽く空を見上げながら訪ねてこられた
【氷歌】
「えっと、9時30分ですね」
ポケットに入った腕時計を確認し、お答えした
【鷹】
「ん~、じゃそろそろ買い物に行こうかな~」
私の言葉に軽く答え、ルルーカに向かって歩き始めた
【氷歌】
「なにを買いに行かれるのですか?」
鷹様の後ろを歩き出しながら尋ねた
【鷹】
「お菓子だよ」
そんな私に笑顔でお答えになられた
【鷹】
「今日はパンしか用意しないって言ってたし、そもそも、アイツお菓子を用意する気ないんじゃないかな~」
・・・確かに、お菓子についてはなにも説明は無かった
【氷歌】
「・・・それでわざわざ買いに行かれるのですか?」
【鷹】
「時間潰すついでだしね~、どうせオマケだしなんでもいいだろ?」
・・・そっけなく返されてはいるが
【氷歌】
「・・・鷹様は子供がお好きなんですか?」
少しはしゃいだような鷹様からは優しさを感じた
【鷹】
「いや~、全然好きじゃない」
が、笑いながらハッキリと否定をされてしまった
【鷹】
「嫌いなわけじゃないけどさ、何考えてるか分からないってところが苦手なんだよね~」
・・・まぁ、確かに
【鷹】
「訳も分からずギャーギャーうるさいのもマジで勘弁して欲しいし、でも、子供相手にうるさいとか文句言うのもダサいって言うからそれもある意味子供って感じじゃん?対応に困るんだよね~」
そして、鷹様はルルーカへと帰る道中、子供は苦手だと言う話をずっとされていた
・・・でも、鷹様の言葉は心から納得のできるものだった
・・・何故なら
・・・正直、私も子供が大の苦手だから
・
・
・
【鷹】
「ん~、何を買おうかな~?」
ルルーカの街を見回しながら悩んでいらっしゃるようだ
【氷歌】
「・・・やはり、チョコなどでしょうか?」
鷹様同様悩みながらお答えした
・・・いざ、お菓子と言っても何が適切かを考えると難しい
【鷹】
「チョコは微妙だな~、溶けるじゃん」
【氷歌】
「・・・では・・・クッキーとかでしょうか?」
・・・配りやすいと考えればクッキーが一番だと思う
【鷹】
「ん~・・・俺、あんまり好きじゃない」
が、あっさり否定されてしまった
【鷹】
「あ〜・・・でも、俺お菓子全般好きじゃなかったわ」
思い出したようにニコっと笑った
「なになに~?今日は二人でお買い物なの~?」
突然、背後から女の声が聞こえた
振り返るとニタニタ笑うミーナの姿があった
【鷹】
「ん~?まぁ、買い物と言えば買い物かな~?」
【ミーナ】
「えー?もしかしてデート的な?」
軽く答えた鷹様の言葉をからかうような言葉で返してきた
・・・もちろん、このミーナの言葉は本気ではなく冗談だろう
・・・が
【氷歌】
「・・・・・・殴られたいの?」
その手のからかいは今の私が一番に怒りを感じるものだ
【ミーナ】
「やだやだ!冗談よ!じょうだん!」
そんな私の怒りをかわすように苦笑いで否定し
【ミーナ】
「今日は何処かの国を支援しに行くんでしょ~?実は私も二人と一緒に行くようゼル様に命令を受けたのよ~」
予想もしなかった言葉で返された
【鷹】
「ん~?なんでお前に?」
そんなミーナの言葉に鷹様も少し驚いているようだ
【ミーナ】 「ちょっと、その地域で調べたいことがあるの、一応、仕事なのよ」
胸を張るように返してきた
・・・少し、意外だわ
・・・錬金術師も外回り的な仕事をするのね
【ミーナ】
「結構遠いんでしょ?準備できたら軍を出して物資を運ばせるから先に現地に行って、行動の許可を取りなさいってよ」
ニコッと笑いながら報告をされた
・・・なんだか、少し嫌な予感がする
【ミーナ】
「物資を準備してた偉い人が散々探し回ってたわよ~、氷歌の事をすっごく怖い顔して、許可も取らずに何処に行ったんだ!?とか怒鳴りまくってたわ」
・・・やっぱり
・・・次、会ったら絶対説教される
・・・最悪だ
【鷹】
「なら、今すぐ出た方がいいか~」
【氷歌】
「・・・私が先に戻って、詳細を伺ってきます、その間に鷹様は出発の準備をされてください」
鷹様の言葉に続くように言葉をかけた
【鷹】
「ん、了解」
私の言葉に笑顔で返された鷹様に軽く頭を下げ
ルルーカの街を家路へと足早に歩き始めた
・・・説教されるのが分かっているのにわざわざ会いに行きたくないけど
・・・相手から来るより、こちらから出向いた方が少しは怒りが静まるだろう
・・・多分だけど




