【36話】赤◾️技能者の本能
◾️◾️竜輝視点◾️◾️
「りゅ・・・きぃ・・・」
仰向けで倒れる火焔が苦しそうに俺を呼んだ
【竜輝】
「・・・大丈夫か?」
声をかけながら火焔に近づく
【火焔】
「・・・・・・辛うじて?」
そんな俺に地べたに寝転んだまま苦笑いで返してきた
・・・その口からは血が飛んでいる
【竜輝】
「・・・なんで反撃しなかったんだ?」
反撃まで行かなくとも
攻撃を防ぐくらいの攻撃は向けるべきだったと感じた
【火焔】
「・・・・・・あの子は悪くないから」
俺の言葉に何かを考えるように深く目をつぶり答え
【火焔】
「・・・・・・俺が悪いんだ」
悔やむように小さくつぶやいた
【火焔】
「・・・・・・でもさ」
が、何かを思いつたように目を開き
【火焔】
「・・・すごかったよね・・・あの子の魔力」
少し嬉しそうに笑った
【竜輝】
「・・・まぁ・・・火焔と同じくらいはあったかもな」
【火焔】
「・・・すごいよね・・・女の子なのに」
・・・なにがそんなに嬉しいのか分からないが
・・・血だらけの顔で火焔はとても幸せそうに笑っている
【竜輝】
「・・・腕力や体力と違って、魔力には男女差はない・・・むしろ、魔力だけなら女性の方が高い事が多いらしい」
【火焔】
「・・・んじゃ問題は戦闘方法って事?」
【竜輝】
「・・・そうだな」
【火焔】
「・・・どうだった?・・・あの子の戦闘」
【竜輝】
「・・・・・・完璧だった」
少し笑った顔で尋ねる火焔に素直に答えた
・・・場を自分のフィールドに整え、温度を調整するように火焔の防御魔法を無効化させていた
・・・おそらく火焔が反撃していたとしても
・・・カウンターのような攻撃が発動するよう仕掛けられていただろう
【火焔】
「・・・だよね・・・最高だったよね」
含み笑いをするようににニヤけた顔で笑っている
・・・血を吐きながら
【竜輝】
「・・・・・・なんで、嬉しそうなんだ?」
そんな火焔に少し戸惑いながら尋ねた
【火焔】
「・・・なんかさ・・・ゾクゾクしちゃうんだよね・・・あの子に睨まれると」
【竜輝】
「・・・・・・・・・・」
・・・技能者は自分と対等の魔力を持つ異性に強く惹かれると本で読んだ事がある
・・・が
【火焔】
「・・・たまんないよね・・・最高だよぉ」
・・・まさか、ここまでとは
【竜輝】
「・・・・・・誰かに好意を寄せる事は別に悪い事じゃない」
不気味に笑う火焔から少し視線をそらし
【竜輝】
「・・・ただ・・・一方的な好意を押し付けるのは・・・良くないと思う」
極力傷つけないよう言葉を選び告げた
【竜輝】
「・・・相手に迷惑をかけるのも・・・どうかと」
【火焔】
「いやいや!俺は本当に迷惑をかけるつもりはなかったんだって!」
俺の言葉に慌てたように声をあげたが
【竜輝】
「・・・・・でも、彼女に付きまとってるのは事実だろ?」
【火焔】
「付きまとってない!ただ、ちょっと心配だから後ろからこっそり見てただけ!」
・・・それも一種の付きまとい行動だと思うが
・・・違うのだろうか?
【竜輝】
「・・・でも・・・次、見つかったら本当に殺されかねない」
【火焔】
「・・・そうだね・・・本気で怒ってたからね」
そう言って少し視線を落とし
【火焔】
「・・・絶対バレないように気を付けなきゃね!」
力強く宣言している
【竜輝】
「・・・・・・・・・」
・・・どうして、その発想に行き着くのかは分からないが
【火焔】
「・・・変装とかしたらバレなかな~?」
・・・こうなった火焔になにを言っても無駄だという事は分かった




