【34話】青◾️生涯でただ一人
◾️◾️鷹視点◾️◾️
【鷹】
「入るよ~」
軽く声をかけながら親父の部屋に入った
【ゼル】
「・・・・・・・・」
そんな俺を不愉快そうに睨んでくる
【鷹】
「ん~・・・説教的な?」
オヤジの目線でなんの話か予想出来た
【ゼル】
「・・・ワザとだろ?」
【鷹】
「ん~?偶然だって」
【ゼル】
「・・・お前はそんな頭の悪い人間じゃない」
その言葉に少し驚いた
・・・もしかして、怒っているのだろうか?
【ゼル】
「人目に付くようにホテルに入り、痕跡を残す様に経費で飲食をし、まるでその為だけに出かけたように表向きに立てた任務に一切手を付けない、わざとじゃなかったら、お前は愚かとしか言い様がない」
・・・どうやら、本気で怒っているようだ
【ゼル】
「・・・試す事を咎めるつもりはない、人間の本心を探るには必要だからな、だが、その行動でその人が批判を受けるようなやり方はやめろ」
【鷹】
「・・・別にそんなつもりじゃないけど」
【ゼル】
「だが、氷歌に対して必要以上に避難が出ている事は事実だ」
俺の言葉を押さえつけるように言葉を続けた
【ゼル】
「氷歌を選んだのはお前だろ?彼女は本気でお前の技能者になりたいと思ってる、そして、お前はそれに答える義務がある、しっかりとお前の目で見てやれ」
【鷹】
「・・・・・・・・・」
久しぶりに本気で叱られて思わず黙ってしまった
・・・いや、こんなに叱られたのは初めてかも知れない
【鷹】
「・・・でもさ、技能者ってそんなに必要かな?・・・別にそんなマジに選ばなくても・・・主になる立場なら誰が技能者でもいい気がするんだけど」
視線をそらしながら思っていた事を尋ねた
・・・技能者は契約者に死なれたら困るから、必死に条件の良い契約者を探す必要があるのは分かるけど
・・・契約者、主となる立場からすれば、特にデメリットなどはないし、深く考える必要もない気がした
【ゼル】
「・・・なら、それが分かるまで契約はするな、分からないようなら、お前に技能者を付ける資格はない」
が、オヤジの怒りは収まるどころか更に増している気がする・・・
【鷹】
「・・・分かった」
さすがにもう言い返す事ができず、素直にうなづいた
【鷹】
「・・・一つ質問していい?」
が、少し気になっていた事がある
【ゼル】
「・・・なんだ?」
【鷹】
「・・・オヤジはさ・・・なんで技能者つけてないの?」
俺に技能者の必要性を語るがオヤジには技能者と契約をしている様子は無かった
【鷹】
「・・・普通付けるでしょ?・・・ってゆーか、うちの家はそう言う決まりだよね?」
我が家には代々技能者を付ける決まりがある
だから、俺は必要ないと思いながらも
各地の技能者を招き、わざわざ試験を行ったのだ
【ゼル】
「・・・・・・・・・・」
俺の言葉にオヤジは少し考えているようだ
でも、その表情からは怒りも何も感じなかった
【鷹】
「・・・言いたくないなら別に良いけど」
そんな、オヤジに言葉をかけた
・・・もしかしたら、聞いていけない事だったかも知れない
【ゼル】
「・・・・・・・・・・」
俺の言葉にオヤジはゆっくりと背を向けた
【ゼル】
「・・・技能者にとっての主が生涯にただ一人であるように、主にとっても、技能者は生涯ただ一人だからだ」
そして、かろうじて聞き取れるくらいに小さな声で言葉を返してきた
【ゼル】
「・・・もう下がって良いよ、それとも、母さんと話してく?」
が、すぐにいつものオヤジに戻り優しげな笑顔で訪ねてきた
【鷹】
「・・・ん~、今日はいいや、また今度会いに行くよ~」
軽くオヤジに言葉を返し、逃げるように部屋を出た
【鷹】
「・・・・・・・・・」
・・・さっきのオヤジの言葉を聞く限り
・・・オヤジは技能者と契約していたが、おそらく技能者は死んだのだろう
・・・でも、確かに技能者は一度契約すると二度と契約をする事ができないはずだから
生涯ただ一人と言う言葉は間違ってない
が、主である契約者は何度でも契約できるはずだ
【鷹】
「・・・・・・・・」
・・・それだけ、その技能者が大切だと思える存在だったと言う事だろうか?
【鷹】
「・・・・・・・技能者か」
・・・まぁ、確かに
・・・結構、興味はでてきたかな?




