【32話】氷◾️皮肉に満ちた言葉
◾️◾️氷歌視点◾️◾️
「・・・はぁ」
鷹様がリビングを出て行くと幹部の男性はワザとらしいくらいに大きなため息をついた
【幹部】
「・・・今日、本当に何もなかったのか?」
そして、疲れたように私に尋ねてきた
【氷歌】
「・・・はい」
その言葉に視線を向けることなく頷いた
【幹部】
「・・・ゼル様に直接報告を行ったと言う事はゼル様にお考えがあっての事だろう・・・今回の事はもう咎めない」
そう言って私に視線を向けた
【幹部】
「・・・ただ、今回の事でお前も分かっただろ?・・・鷹様の行動一つでどれほどの騒ぎになるのか」
【氷歌】
「・・・・・・・・・」
疲れたような言葉に何も返す事ができなかった
【幹部】
「・・・男女と言うだけで有らぬ話が流れるんだ・・・それが人間なんだよ・・・これだけはどうしようもない」
嘆くように言葉を発し
【幹部】
「・・・お前から技能者を辞退しろ・・・鷹様はお前の事など考えていない、技能者など誰でもいいと思ってる・・・あの方はそういう方なんだ」
諭すように告げた
【幹部】
「・・・お前も周囲の批評に振り回されるのは疲れるだろう?・・・お前はまだ若いし他でも十分やっていけるだけの実力はあるのだから鷹様にこだわる必要ない」
そして、扉に向かって歩き出した
【幹部】
「・・・もっと自分の人生を大事にすべきだ・・・しっかりお前を認めてくれる人間に使えなさい」
そう私に告げ、リビングを出て行った
【氷歌】
「・・・・・・・・」
私1人だけリビングに残された
【氷歌】
「・・・・・・・・」
・・・私と鷹様はしっかりと任務を果たした
・・・極秘であるからそれを口にできないだけ
・・・だからと言って極秘での行動が悪い訳ではない
・・・それは、時には必要なものだから
【氷歌】
「・・・・・・・・・・」
・・・誰が悪い訳ではない
・・・なら、何が悪いのか
【氷歌】
「・・・・・・・私・・・かな」
・・・私が女でいるのがダメなんだ
・・・私が女だから、必要のない面倒を鷹様におかけした
【氷歌】
「・・・・・謝らなくちゃ」
重たい足をゆっくりと動かし、リビングから廊下に出た
【氷歌】
「・・・・・・・」
・・・別に怒られた事が辛くなんてない
【氷歌】
「・・・・・・・」
・・・ただ、女である事が悔しいだけ
【氷歌】
「・・・・・・・っ」
・・・努力ではどうにもできない事だから
【氷歌】
「・・・・・・・情けない」
・・・どうして、涙は出るのだろう?
「・・・ダッセ」
【氷歌】
「っ・・・・・」
声が聞こえて、下げていた視線を上げた
そこには鷹様の姿があった
【鷹】
「・・・説教されて泣いちゃうなんて・・・ダサすぎだな?」
からかうような笑顔で言葉をかけてくる
【氷歌】
「・・・すみません・・・ご迷惑をおかけして」
【鷹】
「ほんといい迷惑だよ、あれくらいは自分で考えてなんとかしてほしいね~」
頭を下げた私に面倒そうに告げた
【氷歌】
「・・・あの・・・私はやはりご迷惑でしょうか?」
そんな鷹様に視線を下げながらお尋ねした
【氷歌】
「・・・異性であるが故に本来、必要のない手間や面倒が起きてしまう事があります・・・もし、この先も鷹様にお仕えできたとして、それが元になり、誤解など有らぬ噂が立たないともかぎりません」
【鷹】
「・・・お前さ」
私の言葉を止めるように鷹様が言葉を発した
【鷹】
「・・・誰に使えたいんだよ?」
とても不愉快そうに尋ねられた
【氷歌】
「・・・私は・・・鷹様にお仕えしたいです」
何故今更そんな質問をされるのか分からなかった
【鷹】
「へ〜?・・・でもさ、お前には俺の言葉よりアイツの言葉の方が心に響いたんじゃないの?」
【氷歌】
「っ・・・・・・・」
・・・鷹様の言葉?
【鷹】
「俺が何を言っても、周囲ににどうこう言われるのは自分が女だから悪いって認めちゃうんだろ?アイツの言葉通りにさ」
・・・私は
・・・あの人の言葉を認めたのだろうか?
・・・女の技能者ではダメだと言う
・・・あの人の言葉を
【鷹】
「女は迷惑をかけるから辞めます、私では役不足だから辞めます、そう納得したらいいじゃん?お前とアイツは正しいんだからさ、俺は止めないし責めないよ?」
そう言って私に背を向けた
【鷹】
「・・・まぁ・・・お前を選んだ俺の目が節穴だったって事だね・・・ほんといい迷惑だな」
私に背を向けて歩き出した鷹様の言葉は
見下されたようにも感じる皮肉に満ちた言葉だった
でも、その言葉は
・・・私が言わせているようにも感じた
・・・だって、鷹様は私の前でハッキリと否定してくれていたから、性別など関係ない、気にしないと言ってくれていたから
・・・それなのに私は
・・・私自身がその言葉を受け入れず否定しようとしてる
・・・そんな自分が情けなくて
・・・そんな自分に
・・・怒りが湧いた




