【31話】青◾️いつもの説教
◾️◾️鷹視点◾️◾️
【氷の技能者】
「っ・・・・鷹様」
リビングに入ると、明らかに落ち込んだ様子の技能者が視線を向けてきた
「・・・お帰りなさいませ・・・鷹様」
そして、技能者と向かい合うようにメガネの男が立っていた
【鷹】
「何その顔~?怖い怖い!」
真剣な表情で俺に視線を向ける顔がおかしくて笑ってしまった
【メガネ】
「・・・今日はなにをされに出かけていたんですか?」
が、そんな俺の言葉を無視して回りくどい聞き方をしてくる
【鷹】
「仕事だよ、仕事じゃなかったらあんな遠い街にわざわざ行かないって」
【メガネ】
「・・・では、どのような仕事でしょうか?その報告書は?」
あしらうように返した俺に更に聞き返してくる
【鷹】
「・・・そいつに聞けばいいじゃん」
その言葉に笑いながら技能者を刺した
【氷の技能者】
「っ・・・・・・・・・」
俺の言葉にあきらかに動揺しているようだ
【メガネ】
「・・・なにをしていた?」
俺に尋ねる時より強い口調で技能者に言葉を向けた
【氷の技能者】
「・・・・・・仕事を」
でも、技能者は怯えたように視線を下げ、小さく告げた
【メガネ】
「だから!何処でどういう仕事をしてたのか聞いてるんだよ!」
そんな技能者に苛立った様子で怒鳴りつけている
【氷の技能者】
「っ・・・・・・・・・・」
その声に技能者は黙り込んだ
・・・答える気がないのか
・・・怖くて口にできないだけか
・・・どっちにしろ、ここまで言わなかったは偉いかな?
・・・初任務だしね
【鷹】
「・・・なにをしてたかは知らないけど~、何処にいたかは知ってるんでしょ?」
怒りを全面にだした顔の男に笑いながら言葉をかけた
【メガネ】
「・・・ええ、良い噂になっていますよ・・・仕事と楯突いて密かに女とホテルで豪遊しているとね」
そんな俺に笑いながら返してきた
【メガネ】
「・・・ルルーカに不名誉な噂を立てて・・・貴方は一体なにを考えていらっしゃるんですか?」
憎しみを込めるように言葉を続けた
【鷹】
「はぁ?技能者とホテルに入るのがなんで不名誉なんだよ?ただ休憩してただけだろ」
【メガネ】
「技能者が女と言う事が問題なんですよ、そこに何も存在しなくともあらぬ噂の元になるんです」
【鷹】
「ふ~ん?なら男だったら二人でホテルで休憩して良いんだ?そっちの方がちょっと危なくない?」
真面目な顔してくだらない事を言って来る男を鼻で笑ってやった
【メガネ】
「・・・屁理屈だけはどんどん上手くなりますね?」
そんな俺を引きつった笑顔で褒めてくる
【メガネ】
「・・・それで、今日はどのような仕事をされたのですか?ホテルで休憩を取るほどですからね、余程のご活躍だったのでしょう」
そして、イラつく言い方で尋ねてくる
【鷹】
「今日の報告書はオヤジに直接渡してるし、お前に口頭で伝える必要はない」
相手にするのが面倒になってきたのであしらうように返してやった
【メガネ】
「・・・嘆かわしい」
が、そんな俺の言葉で男の表情が曇った
【メガネ】
「・・・ゼル様がどれほど貴方に期待し、目をかけてきたか貴方は本当に分かっていらっしゃるんですか?」
辛そうに言葉を向けてくる、が
・・・いつもいつも同じような事を言って飽きないのだろうか?
【メガネ】
「・・・あの方はもう十分すぎる程に苦労をされている・・・だからこそ、今の貴方の生活があり、権力があるのです・・・これ以上、ゼル様の名に傷をつけないでください」
そして嘆くようにいつもの言葉を絞り出した
【メガネ】
「・・・その為にも問題の種は排除すべきです」
【鷹】
「・・・種ってなんだよ?」
繰り返される同じような説教を流し、聞き返した
【メガネ】
「・・・やはり、女性の技能者は問題になります、妙な噂が流れる前に考えを改めてください」
・・・本当にコイツは訳がわからない
・・・他人からの視線で何故こちらが気を使わなければいけないのか
・・・俺には全く理解できないなぁ
【鷹】
「別に俺は気にしないし、男と女ってだけで、そんな考えしか浮かばない奴らの方が問題だろ?」
・・・本当に男が相手なら許されるのだろうか?
・・・謎だなぁ
【メガネ】
「・・・美羽様への配慮も考えてください、仮にも婚約者である貴方が私欲で技能者を選び、ホテルで豪遊されてるなどどと言う噂は美羽様への批評となりかねません」
・・・そして、お決まりのように美羽の話
【鷹】
「だから~俺たちは婚約なんてしてない、する気もない」
・・・もう、面倒になってきたなぁ
【メガネ】
「・・・ご自身の事だけでなく、少しは誰かの為に生きてはいかがですか?」
【鷹】
「ん~自分の人生に飽きたらそうしてみるよ~」
話がどんどん反れて行く男の言葉をあしらい、リビングを出る為に足を動かした
【メガネ】
「・・・本当に・・・何故、貴方だけが残ったんでしょうね?」
リビングを出る瞬間、背中に声が聞こえた
【鷹】
「・・・・・・知るか、そんなの」
・・・仕方ないじゃん
・・・残ったんだから
【鷹】
「・・・・・・・」
・・・俺だけが残ったんだから
【鷹】
「・・・・・・・」
・・・だから俺は
【鷹】
「・・・・・・・」
・・・ここで生きてるんだ




