【28話】氷◾️仕えたい理由
【ミーナ】
「・・・氷歌はさ~なんで鷹くんの技能者になろうと思ったの?」
少し不思議そうに尋ねてきた
【氷歌】
「・・・なんで?」
【ミーナ】
「いや~、なんか氷歌って偉そうで気が強いからさ、誰かに使えるっていうより誰かを使うって方が似合ってる気がするわ」
・・・褒めれれてはいないわよね?
でも、ミーナの言うとおり、私は人から偉そうになれるのはあまり好きじゃない
【氷歌】
「・・・まぁ、私が初めてここに来たのは自発的じゃなく上司からの命令だからね」
命令で仕方なくルルーカに来たけど、本当はさっさと試験に落ちて家に帰る予定だった
【ミーナ】
「え~?そうなの?なら別に鷹くんと契約したい訳じゃないんだ?」
【氷歌】
「初めはそうだったけど、今は絶対に鷹様と契約して鷹様に使えたいと思ってるわ」
ミーナの言葉に笑顔で返した
【ミーナ】
「なんで鷹くんなの~?もしかして惚れちゃったとか?」
そんな私をからかうように返してきた
【氷歌】
「まぁ一目惚れと言えばそうかもね、男としてじゃなく、鷹様という人間に一目惚れしたのよ」
ミーナの言葉を流すように返した
【ミーナ】
「・・・意味がわからないんだけど・・・恋しちゃったとかじゃないよね?」
【氷歌】
「恋仲になりたい、とかじゃなく、この人に付いていきたいって思ったってことよ」
悩むミーナに分かりやすく答えてあげた
【ミーナ】
「・・・それでもよくわからないわ」
が、苦笑いでつぶやかれた
【ミーナ】
「鷹くんの何処に一目惚れしちゃったの?」
・・・なんか変に勘違いされても困るし、しっかり説明した方がいいかもしれないわね
【氷歌】
「・・・女を理由に差別しないところよ」
苦笑いで訪ねて来るミーナに説明する為、はっきりと言葉を返した
【氷歌】
「・・・私、正直鷹様の技能者になんてなりたくなかったのよ・・・自分に付ける技能者を選ぶ為に100人近くの技能者を集めて、戦わせるなんて・・・偉そうにも程があるでしょ?」
偉そうと言うのもそうだけど
・・・契約者を失うと力を無くす、だから契約者を命懸けで守らなければいけない、そんな技能者の制約を利用する人間だとも思ってたから
・・・正直気分が悪かった
【ミーナ】
「・・・まぁ、鷹くんの技能者を選ぶ訳だから仕方ないとは思うけどね」
【氷歌】
「それに、私は女だし・・・男の鷹様に使える技能者に女なんて選ぶはずないって思ってたから」
・・・昔からそうだった
・・・いくら頑張っても、努力しても
・・・最終的には女を理由に落とされる
・・・女は守る人間ではなく、守られる人間だから
【氷歌】
「だから適当に負けてさっさと自国に帰ろうってやってたのよ、でもね、そんな時、初めて鷹様にお会いして・・・思いっきり怒られたの」
その時の事を思い出し、少し笑ってしまった
【ミーナ】
「・・・鷹くんに?なんで?」
【氷歌】
「・・・自分の弱さを女のせいにするなって、女を理由にやらないなら俺が今すぐに殺してやるから男に生まれ変わってこいって、すっごい剣幕で怒鳴られて・・・殴られたのよ」
【ミーナ】
「・・・殴られたって」
【氷歌】
「・・・半端じゃなくらいに痛かったわ、でも私にはそれが凄く衝撃的で!!嬉しくて嬉しくてたまらなかったのよ!!!」
【ミーナ】
「・・・・・・・・・」
笑顔で声をあげた私にミーナは引いたような視線を向けている
【氷歌】
「今まで私の中にあった女だからダメだって考えが全て吹っ飛んだ気がしたの!」
溢れ出す感動を抑えきれず、力の限りに熱弁してあげた
【氷歌】
「この人は女だろうと容赦しない!手を抜いたりしない!この人は性別なんて関係なく、ちゃんと私自身の力を評価してくれる!この人に付いて行けば守られる人間じゃなく!守る人間になれるんじゃないかって思ったのよ!」
【ミーナ】
「・・・へ、へ~・・・そうなんだぁ〜」
【氷歌】
「だから!私は鷹様の技能者になろうと思って必死に戦ったわ!そんな私を鷹様はしっかり評価して下さった!そして、トーナメントで勝ち残った5人の中から私を選んで下さったのよ!!!」
その時の感動がよみがえり涙が出そうになった
・・・勝ち残った者たちは皆、圧倒されるような優秀な人物ばかりだった
・・・そんな中、女は私一人
・・・鷹様より小さいのも私しかいなかった
・・・でも、鷹様は私を選んで下さった
【氷歌】
「だから、私は絶対に鷹様の技能者になりたいの!自分の愚かさを叱りつけて下さった鷹様は私にとって誰より尊敬のできる方なのよ!!」
・・・誰に対しても強気で動じない
・・・本当に鷹様は私の理想の上司だわ
【ミーナ】
「・・・・で、でもさ、正直、わがままに付き合うの大変じゃない?無茶な事ばっかり言うでしょ?」
【氷歌】
「鷹様ってわがままかしら?私はまだ鷹様のわがままを感じた事はないけど?むしろ、良いところしか見えないわ」
ミーナの言葉に少し考えたが鷹様がわがまま言った記憶は無かった
【ミーナ】
「・・・崇拝してると悪いとこが見えなくなるのかしら?」
そんな私から視線をそらして小さくつぶやいた




