【26話】氷◾️生きた財産
◾️◾️氷歌視点◾️◾️
【ミーナ】
「いや~!高いわね~!」
少し怯えたように私の部屋の窓から外を眺めている
ミーナの言葉通り、鷹様達の住居スペースと同じ階に用意された私の部屋はとても高い場所にあった
【ミーナ】
「なんかさ~こう高級感がすると落ち着かなくない?」
【氷歌】
「そう?別になにも感じないわ、実家も似たような感じだし」
よく分からないミーナの言葉に首をかしげた
【ミーナ】
「あ~そっか!氷歌って氷都市のお嬢様育ちなのよね?」
【氷歌】
「まぁ、鷹様程の身分はないけどね、・・・で?話はなんなの?」
適当に言葉を返し、本題の話を振った
【ミーナ】
「そうそう!ちょっと質問があるのよね~」
私の言葉で思い出したように何処からともなくペンとメモ帳を取り出した
【ミーナ】
「氷歌はさ~体が痒かったりしない?」
そして、私の体を見回すように質問を始めた
【氷歌】
「・・・別に痒くないわ」
【ミーナ】
「鼻がムズムズしたり、目が痒かったり、充血が気になったりしない?」
【氷歌】
「・・・特に感じないわ」
【ミーナ】
「・・・見た目の変化も見られないし・・・アレルギー症状も無いみたいね」
私の回答をメモしながら何やら呟いている
・・・鷹様との会話で、もしかしたら実験体にされてしまったのかも、とは思っていたが
【氷歌】
「・・・貴女、一体私になにを飲ませたのよ?」
・・・今のミーナの様子で確実に私は実験体にされたのだと理解した
【ミーナ】
「いやね~人聞きの悪い!それじゃまるで私が無許可で人体実験をしてるみたいじゃない!」
【氷歌】
「してるでしょーが!!」
逆ギレのように返してきたミーナを怒鳴りつけてやった
【ミーナ】
「あらあら~!氷歌ちゃんは誓約書にサインしたでしょ~?」
そう言って何処からともなく1枚の紙を取り出した、その紙には
「私は錬金術師ミーナ様の未来ある実験の為にこの身を差し出し、喜んで実験体になります。
この実験でいかなる自体が起ころうとも、ミーナ様を恨んだり、責任を追求したりは致しません」
と、訳の分からない記載があり
その下には昨夜、私が書いたであろう名前がしっかりと記されていた
【氷歌】
「違法な手段で書かせた誓約書なんて無効に決まってんでしょ!?」
【ミーナ】
「違法な手段で書かせたって証拠が何処にあるのかしら~?私はしっかり納得してサインしてくれたと思ってるけど~」
誓約書をパタパタと振りながら詐欺まがいの事を言ってくる
【氷歌】
「ふん!!」
その誓約書をすぐさま奪い取り、破いてやった
が、ミーナは全く焦った様子はなく
【ミーナ】
「ざんね~ん!それはコピーでした~!本物は私のお家で~す!」
からかうように笑ってくる
・・・小賢しい真似を
・・・やはり、手馴れているという事か
【氷歌】
「私になにを飲ませたか教えなさい!内容によっては今すぐ解毒剤を渡して!」
詰め寄るようにミーナを怒鳴りつけた
【ミーナ】
「解毒剤ってなによ~!私は毒を飲ませたりしないんだから!」
私の言葉がカンに触ったのか納得できない様子で怒鳴り返してきた
【氷歌】
「全身の毛が伸びるなんて毒でしかないでしょうが!!」
【ミーナ】
「あれはちょ~っと毛根がやる気になりすぎただけよ!思いのほか男の汗の効果が出ちゃったのよ!!」
【氷歌】
「・・・男の汗?」
ミーナの言葉に全身の血の気が引き鳥肌が立った
【氷歌】
「・・・なに?・・・アンタの薬って男の汗とか使ってんの?」
驚愕の事実に自分でも驚く程に声が震えた
【ミーナ】
「育毛剤の時は使ったわね~!しかもサウナとかで人工的に流した汗じゃなくて~しっかり運動させて流した汗を一滴一滴集めたのよ~!一番興奮してる時のね!」
自慢げに語ってくるが
【氷歌】
「・・・ぐっ!!」
その言葉で一気に吐き気がこみ上げてきた
【ミーナ】
「大丈夫!大丈夫!氷歌に飲ませた薬には男の汗は入れてないから!」
【氷歌】
「・・・じゃあ、なにが入ってたのよ?」
笑顔で返してくるミーナに吐き気を抑えながら尋ねた
【ミーナ】
「・・・・・・・」
【氷歌】
「・・・・・・・・」
【ミーナ】
「・・・・・・・」
【氷歌】
「・・・・・・・・」
【ミーナ】
「・・・・・・・」
【氷歌】
「・・・・・・ぶっ殺すっ!!!」
無言のミーナに殺意を全面に押し出し掴みかかった
【ミーナ】
「できるものならやってみなさ~い!!」
私の手を避けながら一枚の紙を取り出した
その紙には
「錬金術師ミーナに対し光都市ルルーカは実験における援助にて莫大な金銭支援を行っている。
故に錬金術師ミーナに対し実験の継続が困難になる怪我、及び精神被害等を与えた者には光都市ルルーカが錬金術師ミーナへ行った支援の全額を負わせる事とする」
と、なんとも分かりやすく脅しのような内容が書かれてあり、その文の下には、私の手を完全に止めてしまうゼル様のサインがあった
【ミーナ】
「私の腕一本でも怪我させたら鷹くんのお父様であるゼル様が黙ってないわよ~」
動けなくなった私をあざ笑い
【ミーナ】
「私はゼル様の生きた財産なのよ~!!」
そう言って高笑いをしている
・・・腸が煮えくり返る程に悔しい
・・・だが、ゼル様の規制がある以上、ミーナに怪我をさせる訳にもいかない
【ミーナ】
「まぁ、氷歌に飲ませた薬は失敗しちゃったみたいだから、多分、何も起きないわよ」
大して慰めにならない言葉をかけてくる
・・・私が今、一番怯えているのは
何が起きるか?ではなく
何が入っていたのか?ってとこだ
【氷歌】
「・・・・・・・・・・」
・・・でも、もしかしたら知らない方が、まだ救いがあるのかもしれない




