【25話】青◾️ゴミ箱掃除
◾️◾️鷹視点◾️◾️
【鷹】
「失礼しまーす」
扉をノックし、軽く挨拶しながら部屋に入った
【ゼル】
「お疲れ様、早かったな」
【鷹】
「ん、予想より早く持って来たからね~」
そう答えながらオヤジに巾着袋を渡し
【鷹】
「全身白いローブで隠してて、少しだけ見えた中身は包帯グルグル巻きだった、一言だけ喋らせたけど声を変えてた、なんか道具を使ってんだろうね」
白いローブを着た人物について報告をしていく
【鷹】
「身長だけを見れば男っぽいけど、それも簡単には断定できないね~」
声を変えるまでして自身を隠そうとしているのなら身長さえも工作してる可能性が高い
【鷹】
「魔力も完全に消してて何の属性も感じなかった」
【ゼル】
「・・・やっぱり厳重だね」
俺の言葉に何かを考えているようだ
【鷹】
「これで2回目だっけ?こいつから情報流されるの」
真剣に考えるオヤジに軽く言葉を返した
【ゼル】
「同じ人物かは分からないけどね、話を聞く限り俺が会った人物と同一だろう」
【鷹】
「1年前の情報は正確だったんだろ?なら、今回も簡単につぶせるんじゃない?」
【ゼル】
「・・・その可能性は高いだろうな」
俺の言葉に悩むように返し
【ゼル】
「・・・お前はどう思う?この状況に関して」
真剣な表情で尋ねて来た
【鷹】
「ん~・・・2回目のタレコミだからね~その人物が善意で様々な組織の中にスパイ目的で潜入し
個人で情報を収集してくれて最終的に手を下すのは個人じゃ無理だから軍事力を持つこっちに送ってくれてるって感じかな~」
そんなオヤジに適当に答え
【鷹】
「・・・それか、俺たちが良いように使われているか、だね・・・こっちの方が可能性高いかも」
少し笑いながら告げた
【ゼル】
「・・・そうだな」
・・・前回のそいつが渡してきた情報でその組織は完全に消滅させた
でも、そいつは再び違う組織の情報を渡してきた
どんな組織であれ情報を集めるのは簡単ではないだろう
それを考えると、核となる組織が存在し
前回と今回の組織はその下の組織で
俺たちに情報を流す人物は核となる組織の人間
そういう考えにたどり着いた
【鷹】
「・・・じゃどうすんの?今回はやめとく?」
その人間は核組織を抜けられない事情があり、内々に秘めた良心が内部告発をさせている
・・・そんな可能性は低いだろうな
・・・もし、そうであるなら自身の身がある核組織の情報を流せばいい
・・・1年もかけて個々に情報を流す必要もない
・・・なにより、前回消滅させた組織からは他に繋がる情報を得る事は無かった
【ゼル】
「・・・いや、やるよ」
なら、その人物の目的は
・・・必要のなくなった組織を消してもらう事
・・・つながりのある情報を全て消してからこちらに情報を渡す
・・・そして、俺たちに掃除をさせる
【鷹】
「・・・いいの?・・・大都市ルルーカが凶悪組織のゴミ箱掃除なんてさせられて」
【ゼル】
「・・・向こうにどんな事情があるにせよ、こちらに流してくれた情報は有難く使わせてもらう」
少しからかうように言った俺の言葉に真っ直ぐ言葉を返してくる
【ゼル】
「・・・それで、明日に生きる命を救えるなら
・・・ゴミ箱くらい綺麗に掃除してあげるよ」
そう言うオヤジからは言いようの無い威圧感を感じた
【鷹】
「・・・・・・捕まえた方が良かったんじゃない?密告者」
そんなオヤジから逃げるように視線をそらし尋ねた
【ゼル】
「ん~・・・どうせ、捕まえても何も出ないだろうしね」
【鷹】
「・・・そう?絞れば雫くらいなら垂れるかもよ?」
【ゼル】
「雫が垂れるような果実は送ってこないだろ?」
俺の言葉に少し笑いながら返してきた
【ゼル】
「それに、その人間の自発的な行動ではないと断定もできないしね」
【鷹】
「ん~それは限りなく低いと思うけどな~」
優しげな言葉に苦笑いで返した
【ゼル】
「どちらにしろ、捕まえればその人間の命を保証できない、情報をくれたお礼だよ」
・・・例え、事情があり組織を抜けられない人間だとしても、こちらが捕まえれば、その口を割らせる為の拷問は避けられないだろう
・・・でも、その事情故に口を割らない可能性が高い
・・・そして、組織が掃除の為に送りこんだ人間だとしたら
・・・捕まった瞬間、口封じに殺されてしまうかも知れない
【ゼル】
「それに、お前に危ない真似はさせたくないしね~」
そう言ってニコッと笑った
【鷹】
「密告者と接触させるだけで十分危ないと思うけど?」
そんなオヤジに笑いながら返した
【ゼル】
「向こうから攻撃を仕掛けてくる可能性は低いだろ?氷歌と2人の初任務にはピッタリだと思ったんだよね~」
【鷹】
「ん~?オヤジはアイツの事を気に入ってんの?」
【ゼル】
「氷歌は実力があるのに努力家だからね、お前だって気に入るとこがあったからこそ氷歌を残したんだろ?」
【鷹】
「まぁ、意外と使えそうだしね、興味は出てきたかな~なんか、ちょっと変だし、アイツ」
【ゼル】
「・・・楽しそうで安心したよ」
笑いながら返した俺に本当に安心したようにつぶやいた
【ゼル】
「お前も少しは氷歌を気に留めてやれよ?お前に付いて行けなくなったら困るからね」
【鷹】
「付いてこれないなら付いて来なくていいよ、無理してまで付いてきてほしいとは思わないし、気を使ってまで付いてこさせたいとも思わないしね~」
あしらうように言葉を返し部屋を出る為ドアへと足を向けた
【鷹】
「じゃ、行動が決まったら教えてよ、散歩してくるから」
笑いながらオヤジに告げて部屋を出た




