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【22話】氷◾️バケツと親子



◾️◾️氷歌視点◾️◾️

挿絵(By みてみん)



【鷹】

「・・・・・・・・・・」


私の言葉を聞いて鷹様は少し驚いた様子を見せた


【氷歌】

「・・・すみません、ちょっと生意気でしたか?」


そんな鷹様に少し戸惑いながらお尋ねした

・・・つい、思った事を言ってしまったけど

・・・改めて考えたら生意気だったかもしれない


【鷹】

「・・・ん~、いや、別に」


そう言って少し笑いながら森の中へと歩き始め、その後ろを私も歩き始める

・・・気分を害された感じではなさそうでよかった


【鷹】

「俺、嫌いなんだよね~、こーゆー手つかずの森」


そして暇をつぶすように鷹様は話を始められた


【氷歌】

「そうなのですか?」


【鷹】

「だってさ~いるじゃん、いろいろ」


そう言って不愉快そうに顔を歪め


【鷹】

「俺、大っきらいなんだよ、虫が」


周囲を警戒するように見回している


【鷹】

「あいつらってさ~見た目もエグいけど、なんて言ってもバイ菌の塊だろ?」


【氷歌】

「・・・清潔では無いかもしれませんね」


とりあえず、言葉を返した


【鷹】

「足がいっぱいあるやつとかさ~キモいよな~、だからさ~ミーナに頼んで世界から虫を消す道具を作れって命令したんだよ」


相づちを入れようと思ったが、私の言葉を待つことなく話を進められる


【鷹】

「でもさ~そんなの無理だ!とか言ってやろうともしないしさ、オヤジからは生態系を脅かすとかなんとか言って止められるしさ~、とりあえず虫除けで我慢してくれって薬をもらったんだけどさ~臭いんだよ~、最悪だろ?」


私に同意を求めているようだ


【鷹】

「しかも寄ってこないだけで、目には映るんだよ、俺は見たくも無いって言ってんのにさ~」


が、鷹様の言葉は私を待つことなく続いていた


【鷹】

「でも、目に見えなかったら気づかずに踏んだりするかもしれないじゃん?それも嫌なんだよね~」


その後も私が言葉を入れる間もなく鷹様の話は進み続けた


・・・どうやら、鷹様は話をするのがお好きなようだ



しばらくして木々の隙間から見慣れない街が見えた


【鷹】

「やっと着いたな~」


周囲を見渡しながら2人で街の中へと歩き始めた

街並みは普通の街にしか見えない


・・・でも、地べたに座り込む人が目につく

・・・この街の状況は良いとは言えないようだ


【氷歌】

「・・・少しお尋ねしてもよろしいでしょうか?」


【鷹】

「ん~?」


【氷歌】

「・・・資料で見た限り、誘拐や拉致ではなく、失踪した人物は自分の意思で行動していると記載してありましたので事件性は薄いのではないでしょうか?」


少し悩みながら鷹様にお尋ねした


・・・この街を含めた周辺の街で多発している詳細の掴めない失踪事件の調査が今日の目的だが

・・・失踪した人物が強制的にさらわれた痕跡が全くないというものだった


【氷歌】

「小さな子供や、魔力ない人間であれば強い力を持つ人物による拉致の可能性もあるかと思いますが、失踪した人間の中には魔力を持つ人間も含まれています、強制的な連れ去りだとしたら抵抗した痕跡がない事などありえないのではないでしょうか?」


魔力という力があるのであれば、無理やり連れ去られそうになれば魔法などで激しく抵抗するだろう

それなら嫌でも騒ぎになり、戦闘の痕跡が残るはず

でも、それが無いと言う事は強制的ではない可能性が高い

ならば、一番考えられる可能性は自らの意思で街から消えた

・・・いわゆる、家出のようなものではないだろうか?


【鷹】

「だから今まで誰も動かなかったんじゃないの?」


そんな私に周囲を見渡しながら返し始めた


【鷹】

「初めは家出や夜逃げだろうと考えてたけど、周囲の街を合わせた失踪者の数がいつの間にか100人を超えていた、だから、慌てて動きだしたんだろ」


・・・まぁ、確かに人数を考えたら疑問を感じる


【鷹】

「実際は倍以上の人間が行方不明なんじゃないかって話だしな」


【氷歌】

「っそうなんですか?」


鷹様の言葉に少し驚きながら聞き返した


【鷹】

「一家揃っての失踪や一人暮らしでの失踪、交友関係のない人物の失踪は届けや報告が完全ではない可能性が高いからな」


【氷歌】

「・・・なるほど、住民としての登録をしていない放浪者なども可能性がありますね」


鷹様の言葉に素直に納得した

もし、それだけ人間が行方不明となればそこには原因となるものが存在する可能性が高い


【氷歌】

「っ!?」


突然、角から出て来た女性が私にぶつかって来た


【氷歌】

「っ・・・・・・」


別に痛くも痒くもないけど


【鷹】

「うわ~・・・きたねぇ」


私を見て引いたような声で不愉快そうにつぶやいた


・・・どうやら女性は生ゴミのような物が入ったバケツを持っていたようだ

その中に溜まっていたであろう得体の知れない液体が見事に私の白い技能者の上着にかかった


【鷹】

「・・・あれ?汚れてないな?」


が、私の上着はシミ一つ付いてはいない


【氷歌】

「この上着は私の魔力で作っていますので魔力のこもってない汚れはつかないんですよ」


不思議そうに私を見る鷹様に笑顔で返した


【鷹】

「へ~、やっぱそれいいな~俺も欲しいわ」


「・・・あの・・・すみませんでした」


ぶつかってきた女性が遠慮がちに言葉をかけて来た

身長が低いせいか見た目は若く見える女の人

・・・不老魔法が発動するのは一般的には20歳前後だと言われるが個人差があるため実年齢は分からないわね


【女の人】

「・・・本当に・・・すみません」


怯えたように深く頭を下げて謝罪を口にしている

・・・本当は文句の一つでも言ってやろうかと思ったが


【氷歌】

「・・・いえ、大丈夫です」


汚れた服を着て、見るからにやつれた様子の女の人に文句は言えなかった


「・・・まま・・・大丈夫?」


女の人の後ろから大人しそうな5歳にならないくらいの小さな男の子が出てきた


・・・どうやらこの女性は母親らしい

・・・やっぱり見た目では実年齢は分からないわね


【女の人】

「・・・うん・・・平気だよ」


その男の子に優しげな笑顔で返し

かき集めるようにぶつかってこぼれた物をバケツへと戻している


【氷歌】

「・・・・・」


・・・て、手伝った方がいいだろうか?

・・・でも、できれば触りたくない

・・・明らかに・・・生ゴミっぽいし


【鷹】

「・・・行くぞ」


そんな親子から視線をそらし、鷹様が歩き始めた


【氷歌】

「・・・・・・」


なんとも言えない心苦しさを感じながらも鷹様の後に続いた


【女の人】

「・・・ごめんね・・・まま、また失敗しちゃった」


そんな私の背中越しに少し笑ったような女の人の声が聞こえた

でも、その声は今にも消えてしまいそうなくらいに弱々しい声だった


【鷹】

「・・・・・・なぁ」


私の前を歩く鷹様が小さく言葉を発した


【鷹】

「・・・さっきの親子見て、お前どう思った?」


からかうような笑顔で訪ねられた


【氷歌】

「・・・・・・・・」


何故、鷹様がそんな事を聞くのか分からなかったが


【氷歌】

「・・・苦労されているようで、お気の毒だと思いました」


自分が思ったままでお答えした


【鷹】

「・・・不憫だと同情したのか?」


【氷歌】

「・・・はい」


・・・人の幸せなど人それぞれ

・・・だから、この言葉は失礼なことかも知れないけど

・・・率直な意見を述べるのであれば私はそう思った


【鷹】

「・・・・・・素直なやつだな」


そんな私の言葉に少し笑いながら返された


【鷹】

「そんな事は思いません、って返してくるかと思ったんだけどな~」


【氷歌】

「・・・私の考えはダメでしたか?」


少し素直に答えすぎたかと後悔した


【鷹】

「・・・どうだろうな?・・・良い印象は受けないかもな」


そう言って少し悩むように視線を下げた


【鷹】

「・・・お前はダメだと思うか?」


何かを求めるように私に問いた


【氷歌】

「・・・・・・・・・」


鷹様がなにを求めているのかは私には分からないが


【氷歌】

「・・・正しくもあり間違いでもあるかと思います」


自分の意見を述べる事にした


【氷歌】

「・・・その言葉を発した人間、その言葉を受け取った人間によって、その言葉の意味や価値、言葉そのものが変わるのだと思います」


【鷹】

「・・・なら・・・自分を守る安全な方法はなんだと思う?」


・・・自分を守ると言うのは

・・・自分の評価を変動させないという事だろうか?


【氷歌】

「・・・・・・見ない事だと思います」


鷹様が何を求めているのかよく分からなかったが、自分なりの解釈で解答を出した


【氷歌】

「初めからその事を知らなければ何も感じる事はない、初めからその事を見なければ何も考える必要はない、例え見えてしまっても見えなかった事にする、よく分からないと何も語らず、何も聞かない、それが、自分を評価を変動させない一番安全な行動、おそらく大多数の人間が無意識に選んでいる答えです」


【鷹】

「・・・・・・・・・・」


私の言葉に鷹様は何も返してこない

・・・間違えてしまっただろうか?


【氷歌】

「・・・私の回答はダメでしたか?」


そんな鷹様に少し不安になりつつお尋ねした


【鷹】

「・・・絶対的な答えがあるわけじゃないし・・・ダメではないだろ」


私の言葉につぶやくように返し


【鷹】

「・・・俺も同じような答えだったし」


そう言って笑った表情は少し嬉しそうに見えた


・・・結局、鷹様の問いはよく分からなかったけど

・・・鷹様が納得されてるようだから良しとしよう


【鷹】

「・・・それにしてもさ」


そう言って少し苦笑いを浮かべ


【鷹】

「・・・臭くない?」


横目で私に視線を向けた


【氷歌】

「・・・え?」


【鷹】

「いや~、さっきから気になってたんだよね~お前かなり臭いよ」


そう言ってからかうように笑った


【鷹】

「さっきのゴミの臭いが付いたんじゃないか?」


・・・自分では分からないが付いてしまったのだろうか?

・・・でも、服の繊維は液体を弾いてるはずだから臭いの元がないのでは?


【氷歌】

「っ・・・・・・」


・・・まさか髪の毛にも付いたのだろうか?


【鷹】

「さっきから真剣な顔で話てたけどさ~匂いがきつくて緊張感なさすぎだったんだよね~」


本当に面白そうに笑っている


【氷歌】

「・・・・・・・・」


・・・なんとも言えない恥ずかしさを感じた


【鷹】

「とりあえずさ~シャワー浴びろよ一緒に歩きたくないし」


【氷歌】

「・・・でも、今からルルーカに戻ると時間が・・・」


【鷹】

「ん~?ホテルで浴びたらいいじゃん」


そう言って周囲を見回し歩き始めた



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