【21話】青◾️魔法陣
◾️◾️鷹視点◾️◾️
ダイニングに入ると技能者が真剣な表情で書類に目を通していた
【鷹】
「まだ読んでんの?そろそろ行くぞ?」
食い入るように読んでいる姿に呆れながら言葉をかけた
【氷の技能者】
「あ!すみません!気がつかなく」
俺の言葉に慌てて席を立ち、頭を下げた
【氷の技能者】
「大方の状況は把握しておりますので問題ありません、すぐに出れます」
自信がある様子で返してきた
【鷹】
「ん、じゃ行くぞ~」
技能者に軽く言葉を返し、外に出る為歩き始めた
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「やっほ~!」
裏庭に出ると聞き馴染みのある声が聞こえた
目を向けるとミーナが足早に俺たちに近づいて来ていた
【ミーナ】
「2人でお出かけ~?どこ行くの~?」
【鷹】
「仕事だよ、どこ行くかはお前には関係ないだろ?」
そんなミーナをあしらうように言葉を返した
【ミーナ】
「そんな冷たくしないでよ~」
俺の言葉を流すように返し
【ミーナ】
「氷歌ちゃん調子どう~?朝ご飯はちゃんと食べた~?」
何やら探るように技能者に話かけ始めた
【氷の技能者】
「・・・え?・・・別に普通だけど?」
明らかに怪しいミーナの様子に戸惑ったように答えている
【ミーナ】
「・・・そ〜、そうなんだ〜食べれたんだ〜」
ミーナは技能者の態度など特に気にした様子はなく少し嬉しそうだ
【ミーナ】
「・・・・・・・ふふ・・・またね~」
そして、意味深な笑みを浮かべながら街の方向へと帰って行った
【鷹】
「・・・なんだ、アイツ」
・・・元々変な奴だけど今日は特に変だったな
【氷の技能者】
「・・・あの」
少し遠慮がちに声をかけて来た
【鷹】
「ん~?」
【氷の技能者】
「・・・あのミーナと言う錬金術師は・・・信用のできる人物ですよね?」
少し怯えたようにも見える視線を向けてくる
【鷹】
「いいや、アイツは信用できないよ」
そんな技能者に言葉を返しながら足を進めた
【氷の技能者】
「っなぜですか!?ルルーカに認められた錬金術師ですよね!?」
慌てたように俺の後に続き、声をあげた
【鷹】
「まぁ、錬金の腕は最高のものだけど、実験バカなんだよ」
【氷の技能者】
「どういう意味でしょうか!?」
慌てた技能者の様子で何があったのか大体予想ができた
【鷹】
「自分の腕を信じきってるから、物が完成した途端に人体実験をしたくなる癖があるんだよ、一種の病気だな、あれは、俺まで実験体にしようとしてたしな」
怯えたような技能者に笑いながら答え
【鷹】
「だから、アイツが真っ白な紙に名前を書けって言ってきたら気をつけた方がいいぞ」
もう手遅れだろうけど、一応忠告してやる
【氷の技能者】
「・・・何故・・・でしょうか?」
【鷹】
「実はその紙は二枚重ねになってて、上の紙に書いた文字か下の紙に写るんだよ、んで、下の紙は誓約書なんだよね~、この実験で人体にいかなる障害が出ても何も文句は言いませんみたいな事が書いてな、確か」
昔の事を少し思い出しながら教えてやった
【鷹】
「アイツが俺に飲ませようとしてた薬はさ~髪の毛が伸びる育毛剤だったんだよね~、まぁ俺はオヤジに止められて飲まなかったけど、俺の代わりに飲んだ奴は1ヶ月くらい全身の毛という毛が伸びまくってたな~」
その時の事を思い出し、笑いが出た
【鷹】
「それを飲んだ奴は女でさ~、もうヒステリックこして大変だったんだよ~ミーナは雲隠れするしな~ほんと危ない奴だよね~」
毛だらけの物体が泣き叫びながら走り回って、あれは本当に面白かった
・・・自分が飲んでたらと思うとゾッとするけど
【氷の技能者】
「・・・・・・」
・・・コイツがどんなふうになるか楽しみだな
いい気分で話をしていると目的の場所に着いていた
目の前には別館
その扉には魔法陣が刻まれた大きな扉がある
【鷹】
「お前さ、これできる?」
【氷の技能者】
「えっ?あっ!はい!できます!」
俺の言葉に慌てたように声を上げ扉に手を向け魔力をこめた
すると扉は左右にずれるように開き始めた
【鷹】
「へ~、できるんだな?」
躊躇する事がない技能者の行動が少し意外だった
【氷の技能者】
「実家にも似たような物がありましたので」
【鷹】
「そう言えば、お前の家は氷都市の上層幹部だったっけ?」
別館の中に足を進めながら話を続けた
その中はただの広い部屋だが地面には複数の魔法陣が書いてある
【氷の技能者】
「・・・そうですね」
【鷹】
「なら、家にいた方がいい暮らしできたんじゃないか?それなりの地位はあっただろ?」
一つの魔法陣の中心に向かいながら尋ねた
【氷の技能者】
「・・・楽な暮らしは出来たかもしれませんね」
そんな俺の後に続き技能者も魔法陣の上に立った
【氷の技能者】
「・・・でも、その道が自分の進むべき道だと、私には思えなかったので」
そう言いながら技能者は足ものの魔法陣に手を向けた
【氷の技能者】
「・・・誰かに示された道ではない世界を見たかったんです」
その言葉と共に技能者が魔力を込めると水色の光が俺たちを包み
光が消えると鳥の鳴き声が響く深い森の中へと移動していた
【鷹】
「・・・ふ~ん、見れそうか?見たかった世界が」
少しからかうように笑いながら言葉を返した
【氷の技能者】
「・・・いえ」
が、技能者は静かに否定し
【氷の技能者】
「見れそうではなく、もう見えていますよ、はっきりとした私の進むべき道が」
自信を感じる言葉と笑顔で答えて来た




