【13話】氷◾️謎の液体を飲む
矢印の示す方向へと道を進んで行くと一軒の家の前に着いた
念のため色々な方向から確認したが、矢印はこの家を示している事に間違いはない
【氷歌】
「・・・・・・・・」
少し警戒しながら玄関の扉をノックした
【ミーナ】
「いらっしゃ~い!早速訪ねてきてくれてうれしいわ~!」
すると、すぐに扉が開きミーナが出てきた
その態度に違和感を感じた
・・・まるで、私である事が分かっていたみたいだ
【ミーナ】
「なんか言いたそうな顔だけど、とにかく入って!入って!」
そんな私の心を読むように私を招き入れている
【氷歌】
「・・・・・・・・」
なんとなく不信感が湧いてきた
・・・私は本当にこの人を信用していいのだろうか?
・・・でも鷹様と親しくしていたし
・・・名刺にもルルーカ専属の錬金術師だと記載してある
・・・身分に関しては怪しくないけど
【ミーナ】
「早く!早くー!」
部屋の中から手招きするミーナを見ていると
・・・何故か寒気がした
【氷歌】
「・・・お邪魔します」
でも、せっかくここまで来たので警戒しながらも中に入った
部屋の中には私には理解できそうない書籍や道具が所狭しと転がっている
そして見るからに怪しい薬が沢山並べられている
【ミーナ】
「で~?なにか用事でもあるの?あ、好きなとこ座ってね〜」
そう言いながら自分も椅子に座った
【氷歌】
「・・・その前に、尋ねて来た人の確認はしっかりした方がいいんじゃない?」
ミーナとテーブルを挟んだ向かいに座りながら、少し探るように言葉を返した
【氷歌】
「いくらルルーカの街中と言っても、どんな人間が尋ねて来るか分からないのに警戒もなく扉を開けるなんて無用心よ」
見たところ、この部屋にミーナ以外の人間がいるように感じなかった
錬金術師と言っても戦闘が得意ではない女には無用心すぎる行動だ
【ミーナ】
「大丈夫よ、ちゃんと確認してるから」
私の言葉を流すようにミーナは近くにあった鏡に手を向けた
【氷歌】
「っ!?」
その瞬間、鏡が眩しく光輝き、その光が消えると玄関前の光景が映し出された
・・・なるほど
・・・これがあるから私が来客者だと分かったのか
・・・でも、凄い
・・・まるで鏡の中に別の世界があるようにも感じる
・・・こんなの初めてみたわ
【ミーナ】
「少しは私の事を理解してくれたかしら?」
そう言うミーナは得意げな気持ちを押し出していた
【氷歌】
「・・・これ、あなたが作ったの?」
【ミーナ】
「そうよ~、固定された位置からなら映像を送る事ができるの!ただ、双方の映像は送れないし、1分程度しか映せないし、音声を送る事もできないのよね・・・でも!ここから研究を進めて行けば絶対にリンクさせ状況をやりとりさせる事が私にはできると信じてる!いや!私にしかできないわ!」
1の質問に10の答えで返してきた
・・・言ってる意味が良くわからないわ
・・・まぁ、多分私には関係ない事だろう
【氷歌】
「・・・少し教えて欲しい事があって来たの、良いかしら?」
興味のない話を流し、改めて会話を振った
【ミーナ】
「ん~私に分かる事なら教えてあげてもいいけど~」
そう言いながら、近くにあった小さな箱を手に取った
ミーナがフタを開けると、あふれるように冷気が上がった
【ミーナ】
「その前にこれを飲んでみてくれる?」
そして、その中から取り出した小瓶を私に差し出した
その小瓶にはコルクで蓋がされ、液体が入っているようだ
【氷歌】
「・・・なに?これ」
さすがに不信感を隠す事ができず、聞き返した
【ミーナ】
「元気が出るドリンクよ~!なんか疲れてるみたいだから!」
そう言ってニコッと笑った
・・・何故かその顔に鳥肌が立った
【氷歌】
「・・・せっかくだけど遠慮するわ」
自分の嫌なカンを信じ、断りの言葉で返した
【ミーナ】
「これを飲んでくれないなら、私は氷歌になにも教えてあげないわよ~?」
【氷歌】
「・・・なんでよ?」
脅しのような言葉に不快感を感じつつ聞き返した
【ミーナ】
「だってこれを飲まないって事は私を疑ってるって事でしょ?そんな人に鷹くんの情報をあげるなんてできないも~ん!」
明らかに何かを企んでいるであろう笑顔を浮かべている
・・・私の目的はお見通しってことか
・・・でも、さすがに怪しすぎる
・・・だけど、今の私には味方になってくれそうな人はこの人しか思いつかない
【ミーナ】
「・・・怖いの?」
悩む私に意味深な言葉をかけてきた
【ミーナ】
「・・・この程度で怯えてたら鷹くんから叱られるわよ?鷹くんってうじうじうだうだするの嫌いだしね、そんなんじゃ鷹くんの技能者にはなれないって」
そう言ってニコッと笑った
・・・これは私を挑発しているのだろう
・・・意地にさせ飲ませようとしている策略
【氷歌】
「・・・・・・飲むからかして」
そう言ってミーナに手を伸ばした
・・・誘いに乗ったようで悔しいが
・・・今後の為にも情報を収集できる人脈は作っておきたい
・・・その為に少しのリスクは覚悟のしないといけない
【ミーナ】
「さすが鷹くんの技能者候補~!」
はしゃいだように私に小瓶を渡してきた
渡された手のひらに隠れる程度の小瓶は冷たいく、少しとろみのある水色の液体が中に入っている
液体の中には金粉のような小さな物体が浮いているようだ
【ミーナ】
「あ!飲む前にこれに名前と日付を書いてくれる?」
そう言って一枚の紙を差し出して来た
A4サイズの紙の右下に長方形の囲いがあるだけの真っ白な紙
【氷歌】
「・・・・・・・・・」
その明らかに怪しい紙に不信感を押し出しながら記名した
私が記名すると取り上げるように紙を奪い取り
【ミーナ】
「さ~!ぐびっといっちゃって!!」
はしゃいだように急かして来た
【氷歌】
「・・・・・・・・・」
その言葉に押されるように小瓶の栓をしているコルクを抜いた
・・・大丈夫よ
・・・だって、鷹様が親しくされてる人だし
・・・この上なく怪しいけど
・・・死ぬことはない・・・きっと
【氷歌】
「っ・・・・・・・」
意を決し小瓶の中の液体を一気に口の中へと流し入れた
口の中に入った液体は予想以上に粘りを感じ
鼻へと抜けるのは生臭いような異臭
【氷歌】
「っーーーー!!」
口を手で押さえ吐き出しそうになるのを必死にこらえ
なんとか飲み込む事が出来た
【ミーナ】
「さすが~!はいはい!どうぞ~!」
そんな私に透明な液体が入ったコップを差し出してきた
【氷歌】
「っ!!」
それをなにも考えることなく受け取り
口の中に残る粘りと異臭をかき消さんと一気に飲み干した
【氷歌】
「っはぁ・・・はぁ・・・」
コップの中の液体はただの水だったようだ
気持ち悪さは消えないが口で呼吸ができるようになった
【氷歌】
「・・・なんなのよ・・・これ」
予想以上の液体が自らの体内に入った事に恐怖を感じながら尋ねた
【ミーナ】
「ドリンクよ~、これで私と氷歌はお友達ね~!改めてよろしくね~」
私の質問には答える気がないようで、軽く流された
・・・まぁ、飲んだ物の事を今更追求しても仕方ない
・・・飲んだんだから
・・・なんであっても
・・・もう遅いし
【氷歌】
「・・・なら、私の質問に答えてくれる?」
今は体を貼って作った人脈を有効に使わないと
【ミーナ】
「もちろんいいわよ~、お互い鷹くんにこき使われる立場だし~なんでも聞いて~」
そう言ってニコッと笑った
・・・まず、なにを聞こうかしら?




