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【12話】氷◾️火の技能者


挿絵(By みてみん)



完全に陽の落ちたルルーカの街には夜だというのに沢山の人々が未だ行き交っていた

・・・さすが大都市

・・・こんな時間でも賑やかさを感じる


【氷歌】

「・・・・・・・」


私はここに来てまだ日が浅く、知り合いなんていないに等しい

だからと言って鷹様の事を闇雲に人に尋ねる訳にもいかない

今の私が話をできる相手は昼間出会った錬金術師のミーナという女性しか思いつかなかった


【氷歌】

「・・・・・・何処かしら」


けど、何処にいるのか分からない

唯一の手がかりは昼間もらった名刺だけ

でも、その名刺には名前と職業と上を指す矢印だけが書かれていた


【氷歌】

「・・・意味わかんないわ」


・・・名刺には住所とか書くでしょ、普通

・・・大体この矢印はなんの意味があるのかしら?

・・・上位を目指す意思表示とか?


【氷歌】

「・・・はぁ」


とにかく当てが外れた事には間違いない

ここにいても意味ないし

さっさと帰る事にした


【氷歌】

「・・・・・・っ」


そう思って歩き出した瞬間

見覚えのある人物の姿が見えた


・・・真っ赤な髪をした男

・・・真っ直ぐに私に視線を向ける男は

・・・昼間会った火の技能者


【火の技能者】

「・・・あのさ」


火族は私が気づいた途端に声を発した


【氷歌】

「・・・なんで貴方と鷹様が敵対してるの?」


火族の言葉を待つことなく言葉を向けた


【火の技能者】

「・・・・・・ごめん」


でも、火族は視線をそらし謝罪を口にした

・・・その言葉で自分の中にうごめく感情が更に増した


【氷歌】

「・・・貴方が私を騙した理由がやっと分かったわ」


感情を抑える事なく火族を睨みつけた


【氷歌】

「・・・貴方の敵である鷹様の技能者になるかも知れない人間だから・・・私に近づいたのね?」


【火の技能者】

「・・・それは・・・そうなんだけど」


私の言葉に更に視線を下げた


【火の技能者】

「でも、騙すつもりはなかったんだよ!結果的にそうなっただけで・・・本当にごめん!」


そう言って私に頭を下げた

・・・バカバカしい

・・・騙すつもりがなく、人を騙せるはずがない

・・・騙すつもりがなければ、騙した結果は出ない


【氷歌】

「・・・貴方の顔見てると気分が悪くなるの、どっか行ってくれる?」


湧き上がる怒りを必死で抑えながら火族の言葉を向けた


【火の技能者】

「・・・・・・・」


私の言葉に火族は下げていた頭をゆっくりとあげて、私に背を向けた


【火の技能者】

「・・・ヴィザールだから」


そして、背中を向けたままつぶやくように言葉を発した


【火の技能者】

「・・・俺は・・・俺たちはヴィザールの人間だから」


感情を抑えるようにつぶやき


【火の技能者】

「ねぇ!やっぱり鷹に使えるのやめなよ!氷歌ちゃんには無理だ!向いてないよ!」


慌てたように振り返った

・・・その言葉で自分の怒りが体から溢れ出すのが分かった


【氷歌】

「・・・無理かどうか・・・今ここで試してみる?」


不愉快な顔に溢れ出す魔力がこもる手を向けた


【氷歌】

「・・・アンタと私・・・どっちが強いか」


怒りと共に自分の顔に笑顔が浮かんだ


【火の技能者】

「・・・嫌な顔だね?・・・こんな街中で戦闘したらどうなるか分かるでしょ?」


私の感情を察知したのか、火族の声に神妙さを感じた


【氷歌】

「火の技能者と氷の技能者のバトルよ?きっといい見世物になるわね」


見下すように笑いながら言葉を返した


【火の技能者】

「・・・・・・やめとくよ・・・今の俺じゃ君に勝てる気がしないしね」


そんな私から視線をそらし、背を向けた


【火の技能者】

「・・・まぁ」


・・・でも、背中越しの火族の声は


【火の技能者】

「・・・負ける気もしないけど」


・・・馬鹿にしたような笑った声だった

そして、火族は振り返る事なく賑やかな街の中へと消えて行った


【氷歌】

「・・・・・・・ムカつく」


が、その姿が見えなくなっても私の怒りが収まることはなかった


【氷歌】

「・・・・・・・あー!!もう、ムカつく!!」


誰にでもなく怒鳴り声を上げ、無意味に街を歩き出した


・・・勝てる気もしないが負けるき気もしない

・・・その言葉に不満を感じながらも理解は出来た


【氷歌】

「・・・クソッ!」


・・・なぜなら

・・・それは私も同じ気持ちだから

・・・おそらく、現時点で契約をしていない私とアイツの魔力は互角

・・・拮抗したものとなるだろう


【氷歌】

「・・・あー!もう!」


・・・どうしよもない怒りで頭がどうかなりそうだ


【氷歌】

「出かけなきゃ良かった!あの人のせいね!!」


怒りをぶつけるように出かけるきっかけを作った名刺を取り出した

そして、溢れ出す怒りを込めて破り捨ててやろうと手をかけた


【氷歌】

「っ・・・・・?」


が、その名刺に違和感を感じ、手を止めた


【氷歌】

「・・・・・右?」


名刺には名前と職業、そして右を向いた矢印が書かれていた

・・・でも、さっきは上を向いた矢印だったはず


【氷歌】

「・・・・・・・・・錬金術師か」


・・・確か錬金術師は奇妙な道具や薬を作り出す職種

・・・その錬金術師の名刺に動く矢印


【氷歌】

「・・・・・・・」


名刺を手で持ったまま体の向きを右方向に変えた

すると、矢印は上向きへと姿を変えた


【氷歌】

「・・・面白い」


・・・これはおそらく方向を示しているのね

・・・多分、矢印が示す方向に進めばあの錬金術師にたどり着くのだろう



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