これって歯科医師の習性なの?
7月17日 剛田歯科クリニックでの診察が始まる
受付嬢は相変わらずにこやかで優しくしてくれる。きっと「この患者さん医療過誤に遭ってかわいそうだな。」と思われているのだろう。他のスタッフたちもみんな知っているはず。あーあ惨め。こんな目に合うなんてダサすぎる。「なんでっ!!」「どうしてこんなヤブに引っかかったんだろう?」なんて思ってもしょうがないし、分析するつもりもないけど、やっぱりね。
剛田先生には「依田先生どうだった?」と聞かれたから、「こんな感じだった。」と言っておいた。「ちゃんとやってくれた。」ということも。そうしたら剛田先生も、「そうでしょ、大丈夫だと思った。僕の感は当たるんだよ。もちろん感だけじゃないけど。論文を読んだりしたからね。」そして「君のこと、できる限りの力でやるからね。」と言ってくれた。
友人には「ルイがそんなヤブに引っかかるなんて珍しいね。なんでそんなところに行ったの?」と聞かれた。
なんでだろうね?
新規の、良い歯医者を探していたのは事実。今まで行っていた歯科医院は、ちょっとおかしなところがあると、ごっそり削っちゃうから、金輪際行きたくなかったし、行く気もなかった。歯は削っちゃダメなのに。それも「削りますね。」も何も言わずに、削ってしまい、削り終わってから「虫歯だったので削りました。」って事後報告。「待ってください。」っていう間もない。削らなくたって、良く歯磨きしていればまた再生する程度だったのに。だからその歯医者には行きたくなかった。
歯医者の探し方なんてわからないし、誰に聞いても「歯医者はねー わからないな。」とみんなが口をそろえて言う。そりゃそうだ、いないんだもの、ちゃんとした歯科医が。誰にも分るわけがない。だから、インターネットで探した。それくらいしかないでしょ。
でも、やはり、どの歯科医院がよいのかわからなかった。検索トップに出てくる所から順に見ていった。それでもよくわからなかった。何処も、良いことばっかり書いてあるから。それで検索トップになっている歯科医院に決めた。口コミとかもそんなに悪いことは書いてなかったし。ただ引っかかったのは「たまにカッ!とすると声を荒げる。」というようなことが書いてあった。引っかかったけど、大人なんだし患者さんに対してそんなことをするわけがない。と思っちゃった。私の周りにはそんなおかしな人格の人はいないし、だって患者さんに対して怒る理由がある? 歯科医院でそんなこと起きるのだろうか? それってパワハラ? だよねっておもっちゃった。
そして、みんなに言われた。
「検索トップに来るのなんて一番危ないに決まっているじゃん。こういう腕のない、出来ない奴ほどネットで患者を集めようとするに決まっているんだよ。お決まりのやり方なの。」
「業者にお金を払って、頼んで、検索トップに来るように操作してもらってるの。」
「口コミだって自分で書いたり、家族や知人に、自分が良く見えるように書いてもらったりしてるんだよ。」
「それに、研究したり、論文を読んだり、技術を磨いたり、患者さんのために勉強をしている人が、こんなに年がら年中ブログばっかり書いていられる? 忙しくてそんな暇なんてないと思う。」
「この人、猪熊?よっぽど暇なんだなー。まあ、だからヤブなんだけど。」
「ヤブだから暇なのか、暇だからヤブなのか? それが問題だ。」
「どっちにしたってヤブでしょうが。」
「問題ってそれだけじゃないでしょ。ブラックという称号も与えよう。」
「でも、どうしてダメな奴ほどプライドだけは高いんだろうね。」
「ダメだからじゃない?」
「自分はダメだって分かっているから、それを誰かに指摘されたくない。ダメだって思われたくない。って思っているんだよ。だ・か・ら・!!自分はすごいって、虚勢を張らなければならないんじゃない。誰にも “すごい” って言ってもらえないから、自分でそう振舞わなきゃならない。 だからって、誰も猪熊が “できる男、できる歯科医だとは思っていないわけだけど。」
「それって、チョーはずかしいよね。」
「本人だけは、そう思っていないみたいだけど。」
「惨めな男だねー。笑える。」
「ルイも、よくこんなのに引っかかったよ。おバカだねー。素直なのはいいけど、素直すぎるのはよくないよ。ほら、こんなことになるでしょ。今度から、もっと気を付けること!」だって。
8月21日 剛田歯科クリニック
いつも思うのだけど、歯科医院のスリッパって苦手。ちゃんと消毒してあるとは思うけど素足では絶対に履けない。抵抗がある。全然気にしない人は、夏なんか特に、サンダル履きでやって来てそのまま履いているし。普通の人たちには(普通って何だろう)、一般人には「そこまで気にします?」と言われそうだけど。
剛田先生に会うと「ようっ!」て言われた。「ようっ!」って友達じゃないんだから。まあ、いいけど。
それに今日は、何の話からか忘れちゃったけど、嫌みを言われたというか、嫌な感じのことを言われた。「依田先生の所に行って全部やってもらったら? 僕は、中を見ていないからなー。」だって。なんでご機嫌斜めだったのか知らないし、なんでこういう風に言われたのかも理由が分からないけど、凄く嫌な気分になった。「初めから自分が治療したならいいけど、そうじゃないし、中がどうなっているのか分からないから。もう、ここに来た時には、既に歯が折れていたって事実だけで。」っていうようなことを言っていた。
本当に依田先生の所に通った方がよいかも。毎回こんな嫌がらせを言われるんだったらその方が良いかもしれない。
たぶん面倒くさいのだろう。あっちで歯を折られて、ここにやって来て尻拭いの治療をさせられる。
また、違う歯医者で破折治療した後の治療もさせられる。
初めから自分でやっていれば、自分のやり方で好きにできるけど、他の歯科医がやった後のフォローなんかやりたくないんだろうな。
それに、こんなことも言っていた。
「林さん、すごく怖がっていて、僕のことを信用していないんだもん。」だって。
ああ、理由はそれね。多分、それが一番の理由。自分が信用されていないと思われているのが嫌なのだ。
でもそれってどう? そんなのでへそを曲げられても困る。仕事としてやっているのだし、やるって決めたのも剛田医師である。
患者さん全員に、「自分は信用されている」と思えないと、お仕事したくないの? 信用してくれない患者さんは放り出す? 信用されないと、お仕事に差し支える?
男性ってそういう生き物だって言うのは分かる。男性の脳がそうだから仕方がないと思う。でもね、それでも仕事はちゃんとやってほしい。「ちゃんと信用してくれないと、診てあげないよ。」っていわれてもねー。
プロフェッショナルに徹することは、できませんか?
私には怖がる権利さえないの? こんなにひどい目にあったのだから怖がって当然じゃない? 私以外の他の人たちは、歯医者が大好きで、にこやかにしているのね。そんなの私には無理。
先生も、やると決めたからには、ちゃんとやってほしい。
そういうことは、プライベートでやってほしい。プライベートでは、だれとどんなことをしてもらってもいいし、だれにどう褒めてもらってもいいと思うけど。
でも、歯科医師ってみんなこうなのかな。
私が悪いのかどうかも分からないけど「すみません。」って謝った。でも謝る必要があったのかな? とにかく心が傷ついた。