王女の侍女は知らぬ間に大国侯爵令息の婚約者になったと思われていました
私は王妃に鞭打たれていた。
ビシッ! バシッ!
打たれる度に痛みが走る。
「貴様が悪いのだ!」
ビシッ!
「貴様が!」
バシッ!
「貴様のせいで愛しのイシャンが半身不随になったのだ!」
ビシッ!
「死ね!」
バシッ!
王妃の顔が恐ろしかった。
「頑張るのよ、ソニア」
突如、クリスの声が聞こえた。
私は友人の顔を思い出していた。
「ゴメン、クリスもう会えない」
心のなかで叫ぶ。
「ソニア!しっかりするんだ」
そこには愛しのアルバート様がいた。
彼は手を伸ばしてくれた。
私は手を伸ばそうとしたが、届かなかった。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
王妃の叫び声がして、その瞬間辺り一面が真っ白になった。
「アルバート様!」
私は大声で叫んでいた。
ハッとして目を覚ます。
そこには心配したアルバートの顔のどアップが目に入った。
「えっ」
私は絶句した。何故アルバートがここに?
「大丈夫か。ソニア」
手を強く握り絞めてアルバートが言う。
「夢じゃないですよね」
夢にまで見たアルバートが目の前にいて私は驚いた。
「夢じゃない。現実だよ」
「良かった、もう会えないと思った」
私はそう言うと私は思わずアルバートに抱きついて泣き出していた。
本物のアルバートだ。もう二度と会えないと思っていたのに。良かった。
「ソニア良かった。君が元気になって」
アルバートが後ろから優しく抱きしめてくれる。
私はアルバート様に抱きしめられて安心したのか大泣きしていた。
「ゴホン、ゴホン」
後ろからわざとらしい咳の音がする。
「ちょっと感動の再会の所申し訳ないのだけれど、私達もいるのだけれど」
その声に慌ててそちらを見るとそこには筆頭魔導師様が護衛騎士を後ろに控えさせて椅子に座っていた。
「筆頭魔導師様!」
私は固まってしまった。なぜここに。
そして、慌ててアルバートから体を離した。
「仲が良いのは良いことだけど、愛し合うのは私達がいないところでやってほしいわ」
「すいません。筆頭魔導師様」
その声に筆頭魔導師様は不満そうに私を見る。
「ソニア、その他人行儀な話し方、メチャクチャ傷つくのだけれど」
ブスッとして筆頭魔導師様が言う。
「も、申し訳ありません。私クリスが筆頭魔導師様だなんて全然気付かなくって」
「まあ、それは良いのよ。私の変装が完璧だったからで、仕方がないわよね」
筆頭魔導師様は自慢して周りを見る。
「はい。全く判りませんでした」
私が頷くと
「えっ」
その筆頭魔導師様と私を残念なものでも見るように後ろの騎士とアルバートは見比べていた。
なんか判らないけど、馬鹿にされているのだけは理解した。
「でも、私のことはクリスと呼んでくれればいいのよ」
「そのような、滅相もございません。知っていてできるわけはございません」
「うーん、せめて、普通に話してほしいのだけどね、あなたアルバートには普通に話しているじゃない」
「そんな滅相もない。ボフミエ魔導国のトツプであらせられる筆頭魔導師様にそのようなことは」
私の言葉に筆頭魔導師様は傷ついたようだ。しかし、筆頭魔導師様にあんなに軽々しく話していたなんて、信じられなかった。そもそも、クリスイコール筆頭魔導師様本人に、リーナ王女の後ろ盾を探しに来たなんて言っていたのだから。
「えっ、ちょっと待って。アルバートは大国の筆頭公爵家の令息で私はたかだか侯爵家の娘よ。アルバートに出来たら私にも出来るはずよ」
筆頭魔導師様はしつこかった。
「それとこれとは。筆頭魔導師様はアルバート様の上司の方でいらっしゃいますし」
「なんか都合のいいときだけ上司なんだけど。刺繍のハンカチは私のは手抜きしてあったし・・・・・」
「それは申し訳ありません。ただあれは友人クリスのために作っただけで・・・・」
「うーん、友人だからって手を抜かれるのは悲しいんだけど」
そう言われるとどう返していいか判らなかった。
「クリス様。それは仕方がありませんわ。友人よりは彼氏に渡すものに力を入れるのは当然でしょう」
「それはそうだけど」
ナタリーの言葉に筆頭魔導師様は渋々頷く。
「ちょっと待って下さい。アルバート様は彼氏ではなくて私の大事な師匠なだけです」
「えっ!」
私がはっきり言うと何故かアルバートがショックを受けていた。
な、なんでショックを受けるの?
私はアルバートの反応がよく判らなかった。私なんか平民が公爵家の令息に釣り合うはずがない。
「何言っているのよ、ソニア。あなた、胸にアルバートのネックレスつけているじゃない」
私は筆頭魔導師様の指摘に戸惑った。胸のペンダントを見る。
「えっ、いや、クリス様。これはアルバート様からお預かりしただけで」
「何言っているのよ。バーミンガム家にとって風車の紋をつけたものを渡すということは婚約の証なのよ」
「えっ、うそ」
私は筆頭魔導師様が冗談をいつていると思ってアルバートを見た。
でもアルバートは目をそらした。
「ねえ、ナタリー」
「はいっ。クリス様。我が国では有名なことで、このネックレスはバーミンガム公爵家の者が婚約者に渡すものだと多くの者が知っております」
私はナタリーの声に唖然とした。
そんなバカな。このネックレス、預かるだけだって、おまじないだからつけていてくれってお願いされただけなのに・・・・・どういう事。
私はアルバートを見るがアルバートは目をそらした。
「アルバート様」
「いやあ、ゴメン。それ、俺の気持ちだから」
アルバートの声に私は固まった。
うそ、そんなの今ここで言われたって、というか、俺の気持ちってどういう事。アルバート様は私のことが好きだって事?
それより、私知らずにずうーっとこれつけていたということ。知っている人には私がアルバートと婚約したって思われていたってこと。
そんな・・・・・
私は真っ赤になった私は慌てて布団に潜り込んだ。
そんな事聞いていない!
アルバート様の馬鹿!
私はどうしていいかわからなくなった。
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