王女の侍女がマエッセンの鬼畜王子に襲われそうになった時、大国公爵令息のペンダントが光り輝きました
その日は王妃のムチを受けて気絶する度に、水をかけられて叩き起こされる事を繰り返した。
王妃の怒りは晴れることはなく、私はムチにて打たれ続けた。
私は腕の感覚もなくなり、意識も朦朧とした。
そして、気を失うたびに、王妃の指示で水をぶっかけられた。
「王妃、いいかげんにしろ。死んでしまうぞ」
席を外していたマエッセンの王子は、戻ってくるなり止めさせた。
「何を言う。この女のせいでイシャンは半身不随になったのだぞ」
ムツとして王妃が言う。
「しかし、この女は王女をおびき寄せる餌には出来る」
「王女はクロチアの、ボフミエ魔導国軍に逃亡したのではないのか」
「そちらの方に走った痕跡はない。それよりも西に向かったとの報がある」
「西に?」
「西にトリポリ軍の先鋒がいるのが確認された」
「何故、トリポリが」
「魔王を攻撃するためにボフミエ魔導国が招集した連合軍に参加しようとしたらしい。愚かなことだ。魔王と戦ったとしても勝てるはずはないのに」
応じは馬鹿にしたように言った。
「愚かなのは、あなた達よ。筆頭魔導師様は無敵よ」
私は、必死に言い募った。
「愚か者め。まだそんな事を言うのか」
王妃が私を鞭打った。
「そうだ。人間が魔王に勝てるわけはないのだよ。ボフミエ魔導国の筆頭魔道士がどれほど強くとも、所詮は人間。魔王に勝てるわけはないのだよ」
「そんなことない。筆頭魔導師様は無敵よ」
王子の言葉に私は反論した。
「それはもう聞いたよ。それよりも目の前の状況を考えたほうが良いのではないか。このままでは君は叔母上に殺されるよ。それよりは王女を呼んでくれないか。私は王女を本国に連れて帰らないといけないのだよ」
王子は諭すように言い出した。
「絶対に嫌。あなた達に屈することはないわ」
私ははっきりと言った。
「ふうん、そうかい。私達は君を兵士たちの慰みものにしても良いのだよ」
王子はニタリと笑った。
そして、私の顔に手を触れて上に向かせた。私は王子に触れられて虫唾が走った。アルバートにしか触れさせたことがなかったのに、汚らしい手に触れさせてしまった。
「伯母上が、ここまで、痛めつけるから酷い状態になっているが、よく見ればまあまあかわいい顔をしているじゃないか」
王子が下卑た笑いをした。
「触らないで」
私は顔を振って手を振り払った。こんな奴に触れられた自分が許せなかった。
「ふんっ、気の強い女だ」
王子は再度私の顎を強い力で掴んだ。
私は思いっきり唾を男に飛ばした。
「ぺっ。何しやがる」
男はとんだ唾を拭うと、怒り狂って私の頬を思いっきり張った。
私の頭は衝撃で真っ白になった。
「優しくしてやったらつけあがりやがって」
王子はもう一度私の頬を張る。
「なんだったら女に飢えた兵士たちの中に放り込んで犯させようか」
「そうよ。それも面白いわね」
王子の言葉に王妃も笑って頷いた。
こいつらは屑だ。私は当たり前のことを思い出していた。
もうアルバートにも二度と会えないような事をされるのかも知れない。
私の顔から涙が一筋こぼれ出た。
「ほお、やっと泣き出したか。泣き叫ぶ女を犯すのも一興だな」
王子は更にいやらしい顔を歪めて笑った。
「ん、お前、ネックレスなんてしているのか」
王子は私の胸元から出て来た、ペンダントを見て言った。
服がちぎれて胸元から見えるようになったのだ。
「ほおう、結構立派なもののようだな。男からのプレゼントか」
男が手を伸ばして触ろうとした。
「止めて触らないで」
アルバートからの預かりものだ。私にとっては命の次に大切なものだ。こんな薄汚れた男なんかに触らせるわけには行かない。
しかし、縛られて魔力も封じられた私にはどうしようもなかった。
「いやあ」
私が叫ぶと笑って男が手を伸ばすのと同時だった。
その時だ。突如ペンダントが凄まじい光を発してその光が王子に襲いかかった。
「ギャぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
王子の断末魔の声が地下室に響き渡ったのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
アルバートのペンダントで取り敢えずの危機は去ってもまだ、悪徳王妃や兵士達は健在です。
ソニアの運命やいかに
続きは今夜更新予定