王女の侍女は命がけでインダル王国に帰ってきたのに、初恋の幼馴染に怒鳴りつけられました
スカイバードは飛び立つ時に心配していたような急加速とかを感じることはなくて、気づくと雲の上にいた。
その事実に私は本当に感激した。
「凄い。タール様。雲の中です。本当に雲の中に入れるんですね」
「エスターさん。あの見えているのは何ですか」
「あっ、小さな城が見えます」
私は初めて空を飛んだ事ではしゃぎまくった。
空を飛べるなんて一生できないと思っていた。こんな経験をさせてくれたタール様とオウには感謝の言葉もなかった。
「ソニア嬢、さすがにはしゃぎ過ぎだぞ」
さすがにタールに注意された。
「すみません。でも私平民で、空なんて飛べることが出来るなんて思ったこともなくて」
私は謝った。
「あっ、タール様。船がとても小さいです」
私は眼下に見える帆船を指差して叫んでいた。
私のはしゃぎようにタールはため息をついた。
「すいません。はしゃぎすぎですよね。あんまり高貴な方とご一緒したこと無くて」
私は慌てて謝った。
「何言うかな。君はそもそもインダル王女の侍女だろ。高貴な人の横にずうーっといたんじゃないか。それに魔導学園でももっと高貴な方々とずうーっと過ごしていただろ」
「えっ、アルバート様とですか。アルバート様は気さくな方で私に色々教えて頂いて、高貴な方と言うより私の先生で」
「まあ、アルバートもそうなんだけれど。それ以上に高貴な方々と一緒にいたよね」
「えっ、それ以上にですか。それは筆頭魔導師様と2回お会いしたことありますけれど緊張してあまりお話はできませんでしたよ」
「えっ。2回だけ?」
何故かタールは固まった。言っている意味がよくわからないんだけど。
「確かそうだと思いますよ。数え間違いではないと思いますけれど」
「いや、その、君のその鈍いところもアルバートが惹かれたのかな」
タールは首を振りながら言った。何言っているかよくわからないけれど。
「アルバート様が惹かれたって、どういうことですか」
「だって君それ、アルバートからもらったんだよね」
タールは風車のペンダントを指差して聞いた。
「えっ、ああ、これはなんか無事に帰ってくるおまじないみたいなもので、預かってくれってアルバート様にお願いされたんです」
「いやいやいや、なんにも思っていない女の子に、それを預かってくれなんて言わないよ」
タールは首を振っていってくれた。
「そうですか。でも私、アルバート様の剣と魔術の弟子ですから」
タールがそう言ってくれたことはとても嬉しいが、私はタール様の言葉を否定した。
だってアルバートが私に好意を抱いてくれているなんて事はあり得ないから。絶対に。
その時にアナウンスがあってスカイバードは高度を落としだした。
私はもう二度とスカイバードには乗れないと思ったからタールをそっちのけで景色を見ていた。
大きな街が見えてきと思ったらトリポリの街だった。
スカイバードはトリポリ市街を両側に見ながら、トリポリ川にゆっくりと滑空して着水した。
空港にはエスター商会の現地支店の人が迎えに来てくれていた。
タールにお礼を言って、私はエスターと現地支店の日とともに馬車でインダルに向かった。
エスターは私を送ることを最優先にしてくれた。途中2カ国に寄ったが、ほとんど商売の仕事をすること無く、インダル国まで送ってくれたのだ。
なんとトリポリを出て1週間でインダル王国に着いたのだった。
街の中は国王死去の報に弔旗が建てられて静かだった。
いつもは活気あった広場もさすがに屋台は出ておらず、閑散としていた。
エスターは私を王宮まで送ってくれた。
門番は私のよく知ったおじさんで、私が帰ってきた事を喜んでくれた。
せっかくここまで送ってくれたのだ。私はエスターをリーナ王女に紹介しようと思った。
王女の側の部屋にエスターを案内して、待ってもらうと、一目散に王女の所に向かった。
ノックをして
「リーナ様。ソニアです」
そう言うと、駆けてくる音がして扉が勢いよく開いた。
「ソニア」
リーナ王女が思いっきり抱きしめてくれた。
「リーナ様」
私も思いっきりリーナ王女に抱きつく。
「良く無事に帰ってこれたわね。手紙では帰ってこなくて良いって送ったのに」
「リーナ様のことが心配で、無理言ってエスター商会の方に送ってもらったの」
「何だと、商人なんかの助けを借りたのか」
後ろから厳しい声が飛んできた。
そこには目を怒らせたルドラが仁王立ちしていた。
必死に死にもの狂いで帰って来たのに、愛しの初恋の相手にいきなり怒鳴りつけられるなんて最低だ。
私はルドラを睨み返した。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ソニアは無事に切り抜けられるのか
ここから怒涛の展開になっていきます。
次話は今夜更新予定です。
乞うご期待




