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王女の侍女は筆頭魔導師にお礼を言われました



筆頭魔導師様の後ろには女性騎士が立っており、筆頭魔導師様の横にはアルバートが座っていた。

なんで筆頭魔導師様とアルバートがこの魔導学園にいるの。


私は慌てて跪いた。


「ひっ、筆頭魔導師様におかれましては、この度のご活躍おめでとうございます」

私は噛んでしまった上に頓珍漢なことを言っている気がした。


「えっ」

しかし、何故か筆頭魔導師様までがそれを見て固まっている。


「ソニアも跪いていないで、その席に座って」

「えっ、しかし、恐れ多いのでは」

我に返った筆頭魔導師様の言葉に私は驚いた。


「良いから、ソニアも座りなさい。どうしてもお礼を言いたいそうだから」

学園長の言葉遣いを聞いて筆頭魔導師様に対してぞんざいだと思ったのだが、そもそも学園長は大国の皇太子で筆頭魔導師様はその隣国の侯爵令嬢だったか、もともと地位は学園長のほうが上で、色々あるのだろうか。


「そうよ、ソニア、アメリアお姉さまの言うように座って。ボフミエ魔導国はそんなに上下関係が厳しくないし、ここは平等の魔導学園なのだから。それに今更って気がするんだけれど・・・・」


「失礼します」

筆頭魔導師様の最後の言葉はよく聞き取れなかったが、アルバートにも促されて座った。

でも、あまりに私との距離が近すぎるような気がするのだが、この国ではこれが当たり前なのだろうか。それにアメリア皇太子殿下をお姉さまって呼んでいるということは親戚なのだろう。


「あなたのくれたお守りのハンカチ、本当に為になったわ」

筆頭魔導師様はクリスに渡して欲しいと言ったハンカチを取り出した。


「えっ、それはクリスに渡して頂いたものでは」

その言葉に筆頭魔導師様は目が点になる。


アルバートの私に向けた視線も何故か残念なものを見るようだ。何か解せない。


「あの、クリスは戦場に出なくって代わりに無理言って私が貰ったのよ」

筆頭魔導師様が必死に言い訳された。


「えっ、私の拙いハンカチをですか」

私は固まった。

あのハンカチを筆頭魔導師様が使っていただけるなんて、アルバートのに比べたら極端に見劣りするものだ。筆頭魔導師様に使っていただけるなら少なくともアルバート並みのを作ったのに。

もっと力を入れてやれば良かったと私は後悔した。


「なんかアルバートのに比べるとシンプルだったけれど」

筆頭魔導師様の言葉が私の心に突き刺さる。


「すいません」

「ううん、クリスがブツブツ言っていたから」

筆頭魔導師様の言葉に更に私は青くなる。クリスは友達だったのに、やはりもう少し時間をかければ良かったか。平民と貴族で刺繍が違うなんて酷すぎるとか、クリスに後で文句言われそうだ。


「まあ、恋人に贈るのと友達じゃあ違うわよね」

「いえ、そんな事は」

「そうです。私はソニアとは恋人ではないです」

私は否定したのは事実だが、アルバートも何もそんなにはっきり断らなくても良いのに。


私は泣きたくなった。


「酷い、アルバート。ソニアにそこまで言う」

「いや、ソニア、違う。そう言うことでは」

筆頭魔導師様の言葉と私の反応にアルバートは慌てた。


私もアルバートと付き合っているなんて思ったことは無いけれど、流石にそこまではっきり言われると傷つく。


「いえ、私は平民の女ですし、アルバート様には護身術を教えていただいただけの関係ですから」

私が泣きそうになるのを必死に誤魔化して言う。


「なんだって、アルバート。残念ね」

筆頭魔導師様がニヤッと笑って言う。


「何が残念なんですか」

アルバートのポーカーフェイスを見て、私はうつむく。


「だってアルバートったらあなたから貰ったハンカチ、とても大切にしていたのよ。自分で洗っていたし」

「ちょっと待って」


「えっ」

筆頭魔導師様の言葉にアルバートは慌てる。

私は聞き間違えたのかと思った。

まあ、貰ったものを大切にする性格なのだ。と思うことにした。私に対する言葉は冷たいし。



「それよりも。筆頭魔導師様。ソニアに言うことがお有りでは」

アルバートが誤魔化すように言う。


「そう、私の貰ったハンカチと言うかあなたがアルバートに上げたハンカチを見比べて、アルバートのには風車があったじゃない」

私はまだそこをうじういじめられるのかと憂鬱になった。

でも、そこからが違った。


「あれを見て風車がぐるぐる回って黒死病の菌を集められないかなとイメージできたのよ。黒死病菌を集めて浄化が出来のはソニアの刺繍があったからよ」

そう言うと筆頭魔導師様が私の手を取ってくれた。


えっ、私はその瞬間固まった。


「どうもありがとう」

筆頭魔導師様が私の手を握ってお礼を言われたのだ。

しばし頭が動かなかった。ボフミエ魔導国で一番強い人がお礼を言ってくれた。


「えっ、そんな、私なんかにお礼を言われても。それも単に図案ですし、もとはアルバート様の紋ではないですか」

私は慌てた。


「でも、それを見て思いついたのよね」

「浄化されたのは筆頭魔導師様ですし、私の刺繍を見て思いつかれたのであればとても光栄です」


「お礼は何が良い?」

筆頭魔導師様が聞いてくれた。


「いえ、そんな」

私は慌てた。こんな事でお礼を言ってもらえただけでも十分なのだ。


「あなたの希望はインダル王女を助けることよね」


「クリス、何言っているのよ。内政干渉やるだけの余裕がこのボフミエ魔導国にあると思うの?」

筆頭魔導師様の言葉に学園長が切れた。


「えっ、でも」

「やっと飢饉が終わったと思ったら今度は魔王よ。対策にどれだけのお金と人員がかかっていると思っているのよ。そんな余裕ボフミエ魔導国にあるわけ無いでしょ」

学園長のいうとおりだった。

今のボフミエ魔導国にはそこまでの余裕はないだろう。


「でもお姉さま」

「デモもくそもありません。判っているの。現状いかに我が国の財政が厳しい状況か」

何故か学園長に説教される筆頭魔導師様はかわいそうと私は思ってしまった。


授業のチャイムが鳴るまで延々と学園長の説教は続いた。


私はこの国で一番偉いのは学園長だと知った時間だった。

世界最強魔導師様も学園長には頭が上がらないらしい。

でも、何か変だ。一番偉いのは筆頭魔導師様のはずなのに。



「この魔王騒動が終わったら絶対に助けるから、それまで待ってね」

筆頭魔導師様が別れしなに言っていただけたが、それだけで十分だった。

怖ろしい学園長に筆頭魔導師様が勝てるとは到底思えないし、学園長が他国への干渉を認めるとは思えなかった。


最悪リーナ様の命が危なくなったらボフミエ国で匿ってくれるくらいはしてくれるはずだ。

それくらいは許してくれるだろう。

いや、学園長はそれも許してくれないだろうか。

最悪筆頭魔導師様に土下座でもして何とかしてもらおうと私は思った。


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ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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