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物理特化
俺は髙田、名うてのヒットマン。百発百中の男。
窓辺の席で朝マックをキメながら眼下の街を眺める。
ケツカッチンなリーマン、ゲロマブいチャンネー、犬に擬態した宇宙人……皆、思い思いの朝を過ごしているようだ。
だがこの光景も、数時間後には驚天動地の阿鼻叫喚に変わっていることだろう。
(そろそろ時間か……)
俺はマクドを後にした。
雑居ビルのラビリンスを抜け、クライアントが指定した場所へと赴く。
入り口にはスーツにサングラス、スキンヘッドでムキムキマッチョな黒人が立つ。
「合言葉は?」
「おはよー☆ おきて♪」
「よし、通れ」
依頼主のその女性は、膝の上に乗せたペルシャ猫を撫でながら俺を出迎えた。
「アンタのような貴婦人が、俺にどんなご用向きだ?」
「最近、胸がときめくような出会いがなくてね、心にも艶がなくなってきて困ってるのよ。何でも射抜く貴方なら、私のハートを射抜くことも容易いでしょう?」
「な、なんだと……!?」
俺は髙田、名うてのヒットマン。女心以外は百発百中の男。