ミキ
「何? ミキちゃんから?」
安道が、3人から聞いた言葉に、驚いて聞き返す。
「うん、あの子がくれたチョコをみんなで食べたの。そのあと頭がボーッとして」
と、ランちゃんが言う。
「で、ミキちゃんは? どこいったの?」
と、ミキの居所を尋ねると、
「京都駄異作戦の応援に行く予定だったけど、チョコ食べてからの記憶が無いから」
と、セイコちゃんが言う。
「安道?」
伏見が安道に声をかける。
「確かに容姿は眼鏡以外は、追ってる女に合致する。俺としたことが、なんてマヌケなんだ。伏見ちゃんは姉御に連絡、お嬢ちゃんは宇治署の車借りて来い」
と、2人のに言う安道。
菊池はすぐさま動き出す。
「安道は?」
と、伏見が聞く。
「烏達に頼んでミキを探す!」
と、安道は力強く言うのだった。
「竹田さん、絡新婦と思わしき人物を特定! 名前はスギモトミキ、宇治署勤務の婦人警官。現在行方を探しています。陰陽師、退魔師に捜索命令を! 写真は宇治署のデータベースからパクってください」
伏見は竹田に電話して、そう伝える。
『了解! すぐに手配するわ! 安道は?』
と、竹田が言うと、
「いま、烏の目に同調して探してます」
『わかった! 近くにいる者は宇治市に向かわせるわ』
「よろしくお願いします。では!」
そう言って通話を終えた伏見。
「パトカーを一台借りてきました!」
菊池が大きな声を上げながら戻ってきた。
「とりあえずパトカーに移動して、その中で待機しよう。すぐに動けるように」
と、安道が提案する。
「オッケー」
と、伏見も同意した。
竹田からの一斉送信メールが、陰陽師や退魔師に送られる。
宇治署のデータベースから、スギモトミキの写真が添付されている。
府内の退魔師や陰陽師が、その写真を見て探し回る。
だが、今日の宇治市は人が多過ぎる。
JRや京阪電車の宇治駅から、太陽ヶ丘へ向かって歩く若者達。
みな、これから楽しむフェスに、友人達と笑い合っている。
竹田からのメールを受けて、続々と退魔師達が宇治市に到着し、車で宇治田原や小栗旬に向かっていた陰陽師達も、宇治市に戻ってきている。
スマホの画面に映し出されるミキの写真と、歩く女性の顔を見比べる退魔師。
自身がコントロール出来る、最大量の数の式神を放ち、探しまくる陰陽師。
烏や鳩、鳶の力を借りて探す安道。
「人が多過ぎる……」
誰かがボヤくが、探さない訳にはいかない。
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久御山町の国道1号線沿いにある、大型ショッピングモールの、平面駐車場。
そこに止まる一台の赤い軽自動車。
ナンバーの下二桁は15。
その軽自動車の中に、ミキは居た。
窓ガラスは前方以外は、黒のフィルムが貼られ、前部の座席と後部座席の間には、無理矢理カーテンが取り付けられており、後部座席の様子は、車外からは見えない。
後部座席に居るのは、ミキと1人の男。
いや、生きているのはミキだけだ。
男は喉から血を滴らせており、もう既に生き絶えている。
肉を咀嚼する音が、車内に響いている。
「クククッ。力があふれる……そろそろ最終進化できそうだ」
そう言ったミキの口元から、真っ赤な血が滴り落ちる。




