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ブランチ


 安道は、来た道を歩いて戻っていると、ベランダから手を振る杏奈が見える。

 安道は、杏奈に手を振りかえす。


「殺人だってさ」

 杏奈の部屋に戻った安道が、杏奈に言うと、


「えぇ! 怖いわねぇ」

 と、少し驚く杏奈。


 安道が、テーブルの上に用意されてる、パンにハムとスクランブルエッグが挟んであるものを見て、


「お! 美味そうやん」

 と言うと、


「杏奈ちゃん特製、サンドイッチよ! 自分好みの量を挟んでね」

 と、胸を張って言う杏奈。


 なお胸の膨らみは、ほんの僅かしかない。


「紅茶も有るやん!」


「こないだ来た時、コーヒーより紅茶が好きって言ってたからね! ダージリンにしてみたけど、よかったかな?」

 ニコニコ顔の杏奈が言う。


「わざわざ買っといてくれたの? ありがとう。ダージリン好きだよ! 香りが芳醇だしね」

 安道も嬉しそうに、杏奈に礼を言う。


「うん! 喜んで貰えて良かった! じゃあ食べよ! あ! ちゃんと手を洗ってきなよ」


「はーい」

 そう言って安道が洗面所に手を洗いに行き、戻ってくると椅子に座って、


「いただきます」

 と、手を合わせて言った。


「はい、召し上がれ」

 と、杏奈が言葉を返す。


「うん、美味い!」

 安道が杏奈の顔を見て言うと、


「ありがとう。口に合って良かった」

 杏奈が嬉しそうに笑った。


 サンドイッチを食べ終わり、紅茶のカップを口元に移動し、香りを楽しんでいると、安道のスマホから着信音がする。


「なんだ?」

 と、スマホに向かって安道が言うと、


『安道さん、今どこです?』

 と、菊池の声がする。


「ん? 伏見区だけど、どうした?」


『いや、今日の仕事はどうするのかと』


「今日も休み! 1人で回る練習しとけ!」

 安道が、そう言うと、


『ええ? そんなぁ』

 と、少し情けない声が聞こえてきた。


「じゃあな!」

 そう言って通話を終えて、紅茶を一口飲んだ安道。


 その後、杏奈の部屋でのんびり2人で、TVを観ながら過ごしていたが、またもやスマホから着信音がする。


「おう、どした?」

 と、安道が気軽に出ると、


『おう、安道。今晩空いてるか?』

 と、先程会った上村警部の声が返ってきた。


「空いてるちゃ空いてるけど?」


『なら、ターチンの店で7時に集合な!』

 上村がそう言ってくる。


「お前、事件で忙しいんじゃねーの?」

 と、安道が聞くと、


『その件でも話がある。あとまっちゃんも来るからよ』


「まっちゃんと会ってるのがバレたら、ヤバイんじゃねーの?」

 安道が言うと、


『偶然、店で会っただけだ』


「それ通用するのか?」


『俺は一課だし大丈夫』


「ほんとかよ」


『とりあえず、そう言う事で!』


「あいよ。じゃあ夜に」

 そう言って、通話が終わる。


「今晩飲みに行くの?」

 と、杏奈が安道の顔を見て言う。


「ああ、ツレと飲むよ」


「じゃあ、夜は1人ぼっちかぁ」

 と、顔を曇らせる杏奈。


「寂しい?」

 と、顔を覗き込むようにして、安道が問いかける。


「うん……」

 と、首を縦に振る杏奈。


「なら、ちょくちょくここに来るよ」

 と、安道が言うと、


「え! ほんとに?」

 と、少し喰い気味に杏奈が声を出す。


「ああ。杏奈ちゃんは、なんか居心地良いからさ」


「じゃあ鍵渡す!」


「おいおい良いのか? 彼氏とか出来たらどうすんの?」


「私は変わり者だから、彼氏とか出来ないよ」

 と、少し寂しそうに杏奈が言う。


「そんなに可愛いのに?」

 との安道な言葉に、


「ありがと!」 

 そう言って、嬉しそうな顔になった杏奈が、向かいに座っていたのに、椅子を持って安道の隣に移動してきて、安道の左手を掴んで自分の右太ももの上に置いた。


「どした?」

 安道が隣にいる杏奈に聞くと、


「夕方までは、居てくれるんでしょ?」

 と、上目遣いで聞いてくる杏奈。


「そのつもりだけど」

 と、優しい目で見つめ返す安道。


「なら夕方まで、くっ付いてるんだもーん」

 杏奈が、ニコニコしながら言うのだった。




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