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噂の種馬


「怖かった!」

 と、戻ってきた菊池が、安道に言う。


「男女見境無し系だったな」

 安道が、笑いながらそう言った。


 その後、ショッピングモールを後にし、別のショッピングモールを二軒回り、合計3体の死霊を封印石に封印し、この日の仕事を終えた菊池と安道。


 翌朝、御所にある死霊課に、菊池の姿があった。

 封印石に4体溜まったため、竹田から六道珍皇寺に連絡してもらう為だ。


「坂井出さんが、昼前なら空いてると言ってたわ」

 固定電話の受話器を置いた竹田が、菊池に向かってそう言った。


「ありがとうございます。分かりました」

 と、菊池が竹田に礼を言う。


「今日は安道、何してるか言ってた?」

 竹田が菊池に聞くと、


「今日は休みとか、勝手な事言ってましたけど」

 と、菊池が言うと、


「たぶん墓参りに行ってるだろう」

 突如現れた、安道晴臣がそう言った。


「お墓参り? お盆は来月ですけど? 安道次官」

 と、竹田が言うと、


「うちの家は、昨日が墓参りと決まっていてね。お盆は死霊が多くなるから、忙しいってのもある。私が東京から、京都に帰って来た理由の一つがそれだ。昨日、一族全員が行ってるはずだが、晴牙は来なかったから、今日行ってるだろう」

 そう言った晴臣に、


「初めまして、宇城久以南担当になりました菊池です。よろしくお願いします」

 と、菊池が頭を下げて言う。


「晴牙の兄で、次官の安道晴臣だ。弟に振り回されると思うが、しっかりと務めてくれたまえ」

 晴臣が、菊池にそう言った。


「はい!」

 と、しっかり返事した菊池。


「竹田課長、何か報告は有るかね?」

 と、竹田のほうを見て晴臣が聞くと、


「昨日の今日ですので、特には」

 と、竹田が返す。


「それならいい。ところで山科担当の伏見さんと、晴牙は仲が良いと聞いたのだが、どの程度の仲なのか知ってるかね? 親父が晴牙の結婚はまだかと煩くてね」

 との晴臣の質問に、


「えっと……」

 と、菊池が言い淀む。


「美琴とは仲良いですけど、安道の中では友達としてって感じかと」

 と、竹田が言うと、


「噂の種馬ならしっかり種付けして、嫁を貰って欲しいのだが、こればっかりは仕方ないか。では坂井出さんの所に顔出して、東京に戻るので後はよろしく」

 そう言って、晴臣が部屋から出て行く。


「いや、噂は本当なんだけど、本人が覚えてないからねぇ……」

 と、竹田が言うと、


「安道次官って、安道さんよりかなり年上なんですね。それより伏見さんは、安道さんに交際をと言われれば、受けるんでしょうか?」

 と、菊池が疑問を口にする。


「喜んで受けると思うわよ? 他にも数人手を挙げると思うわよ?」

 との竹田の言葉に、


「他にも居るんですか⁉︎」

 と、驚愕の声を上げる菊池。


「北部以外の女性なら、だいたいの人が安道には世話になってるからね」


「私、伏見さんしか会ってないから、全く分からないし」


「安道って、あんなだけど本当に腕は良いし、他の陰陽師では出来ない事もできるしね」


「ネズミとかから情報を得るとか、普通は無理ですもんね」


「陰陽師の式神って、行動範囲や稼働時間に、かなりの制限があるみたいだしね」


「ずっと動いてる生き物には敵わないって事ですか」

 菊池が、ウンウンと頷きながら言った。




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