表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/62

複雑

年内はこれで最後の更新です。


 その時菊池のスマホに着信音が。


「はい、菊池です」

 スマホを取り出し菊池が言うと、


『菊池さん、今どこ? 安道も美琴も電話出ないのよ』

 声の主は竹田だった。


「えっと、塔の島?ってところだとおもいます。2人は……なんか帰っちゃったんですけど?」

 と、答える菊池。


『ええ? とりあえずそっち行くわね』


「あ、平等院の駐車場にも、二体の遺体が有ると、安道さんが言ってました」


『了解、そちらにも人をやるわ。菊池さんは塔の島で待ってて』


「はい」

 その後、竹田が大勢の人を連れてやってきた。


 菊池から説明を聞き、ため息1つ吐いてから、


「美琴のやつ、独り占めする気か。まあいいわ。そこの遺体を回収! あと安道のバイクもね! 薬莢も忘れずにね!」

 と、テキパキと指示をしていく竹田。


「あの、竹田課長?」

 と、菊池が竹田に問いかける。


「何?」


「安道さん、あんどうって言うんですか? あと、あの蛇みたいなのなんなんです?」

 と、疑問をぶつけてみる。


「ああ、それね。詳しくは知らないけど、ヤスミチは仮の名前らしいのよ。蛇みたいなのは、私もよく知らないけど、安道の能力の1つよ。陰陽師は流派によって能力が違うらしいわ」

 と、答えられた。


「なんだか解らないけど、凄かったです」


「凄いんだけど、使った後が問題なのよね」


「なんか人柄が、少し変わってたんですけど?」


「そうなのよ。丸一日変になって、その後、普段のように戻るんだけど、変になってる時の記憶が無いのよね。力の反動で酔ってるみたいなもんだって、前に安道が言ってたけどね」


「じゃあ私の事、名前で呼んだのは」


「多分覚えてないはずよ」


「伏見さんが、癒しに立候補って言ってたのは?」


「多分、今頃ラブホでしょうね。能力使った後の安道は、女性を求めるからね」


「なんか、最低ですね」

 と、菊池が吐き捨てるように言うと、


「まあそうなんだけどさ。でも最高なのよ? 美琴がそうなるくらいにはね」

 と、竹田が少し笑って言う。


「課長まで下ネタですか?」


「まあね。菊池さん助かったわね。美琴が居なかったら、今頃安道の家で骨抜きになってるところよ? 美琴に感謝しときなさい」


「私、女性にだらしない男の人は嫌いだから、大丈夫です!」

 と、力強く言う菊池だが、


「嫌いとか、そういう理性を吹っ飛ばすんだけど、まあ、美琴が居たからかな? あの状態の安道は、胸の大きいほうを選ぶ傾向にあるから。とりあえず帰りましょう。後処理終わったみたいだし」

 と、竹田が後処理をしていた人員が、片付けだしたのを見てそう言った。


「確かに伏見さんの胸は……大きいですけど……」

 菊池が小さな声で呟いた。



 2日後、安道が死霊課に姿を現す。

 竹田が、


「現場に落ちてたスマホを解析したけど、安道が言ってたアカウントの持ち主では無かったわ」

 と、安道に告げると、


「どういう事だ?」

 と、安道が問いかける。


「男の被害者のスマホも解析してみたわ。すると、現場にはもう一台車が有ったはずなのよ。でもその車は無し」


「いや俺が駐車場に到着した時は、ワゴン車しか無かったがな? もしかして二体存在した?」


「その可能性が濃厚よ」


「そんな気配無かったがな」


「でも、その可能性があると思っておいて」


「了解した。ところで、さっきからお嬢ちゃんが、俺のことを親の仇のように睨んでるんだけど、俺何かしたか?」

 と、竹田に尋ねる安道。


「どこまで覚えてる?」


「絡新婦を封印したとこまで」


「目が覚めたのは?」


「今朝、俺の自宅で」


「その時、部屋に誰か居た?」


「いや、俺1人だが?」


「じゃあ、特に問題無いかな?」


「じゃあ、なんであんなに睨まれてるの?」


「本人に聞きなさいよ」

 竹田に言われて、安道が菊池を見て、


「お嬢ちゃん、俺何かしたか?」

 と、問いかけると、


「何もされてません!」


「じゃあなんで、そんな怒ってんの?」


「別に怒ってません! どうせ伏見さんのほうが大きいですよーだ!」

 と、顔を膨れさせる菊池。


「いったい何の話?」


「知りません!」

 と、けんもほろろ。


「姉御?」

 と、安道が竹田の顔を見るが、


「女心は複雑なのよ……」


  竹田が、小さくそう言ったのだった。




転生兵士の書籍化作業もあるので、ここまでです。

来年またお会いしましょう。

本年はありがとうございました。良いお年をお迎えください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ