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グロック26


「これは?」

 菊池が竹田にそう言った。


「グロック26、小型のオートマティック拳銃よ。携帯性に優れて軽めだし、うちの女性陣はみんなコレ使ってるわ」

 竹田の説明に、


「リボルバータイプじゃないんですね、というか霊体に弾って効くんですか?」

 と、菊池が尋ねる。


「リボルバーは、ジャムが少なくて良いんだけど、装弾数が心許ないしね。あと、弾丸が銀製で霊体にも効果あるし、操る肉体が損傷すれば、上手く操れなくなるわ。高価だから、出来るだけ無駄撃ちしないようにね。試射は普通の弾でやってね。試射場は地下にあるからね。それとコレが封印石ね」

 そう言って竹田は、直径2センチほどの水晶の球を菊池に渡した。


「なんかビー玉みたいですね」

 と、菊池が言うと、


「まあね。これでだいたい5体分くらい封印できるから、4体封印したらあの世に送ってね」

 と、竹田が言う。


「え? 5体封印してからじゃないんですか?」

 と、菊池が疑問を口にすると、


「個体によって霊体の大きさや強さが違うのよ。4体分と言ったって、それは言葉の綾で、実際は容量の90%の場合だってあるのよ。そこにもう一体いれてしまうと、オーバーして封印石が割れて全部出ちゃう」

 と、竹田が説明する。


「なるほど」

 と、納得した菊池。


「あと、コレがサイレンサーね」


「消音器ですか、そりゃ銃声聞こえたら人来ちゃいますもんね」

 と、頷きながら受け取る菊池に、


「無かったことに出来なくなるからね」

 と、少し笑って竹田が答えた。



 戻ってきた2人を見て安道が、


「受け取ったか? んじゃ、下行って使い方のレクチャーといくか。とりあえず力の使い方教えるから、下の試射場に行くぞ」

 と菊池に言う。


「はい」

 と、菊池が答え、地下に移動する。


「とりあえず射撃から見るか。弾は通常弾でな」

 と、弾倉を渡して安道が言う。


「了解です」

 と、受け取った弾倉を、銃に挿入する菊池に、


「サイレンサー着けてても、ヘッドホンしろよ」

 と、注意する安道。


「あ、はい」

 菊池がヘッドホンをして、弾倉を装着し終え、ガチャとスライドを後方に引いて、両手で構えて的を狙い、絞るようにトリガーを引いた。

 静かな発砲音が、試射場に10回響く。


 安道が傍にあるボタンを押すと、的が自動で手前に移動してくる。


「ほう! 全て的の中か、なかなかやるな」

 と、安道が誉めると、


「射撃だけは優秀だって、褒められてました」

 と、菊池が少し頬を緩ませる。


「次は力の使い方だなぁ。こればっかりは訓練が必要だ。妖気は感じ取れるから、そちらは感度を上げる訓練と、実戦で鍛えるとして、駆除の方は力が使えんとどうにもならん」

 と、安道が言うと、


「力ってどう使うのでしょう? そもそも力が分からないんですけど? 竹田さんが水系統だから死霊に向いてるっていってましたけど?」

 と、菊池が聞いてくる。


「ああ、向いてるだろうが、どう駆除するかはコレから確かめる」


「お願いします」


 安道は右拳に菊池に見せて、


「今から拳に力を溜める。よく見とけ」

 そう言って拳を強く握る。


「水属性の力だ。見えるか?」

 と、拳を菊池に見せる。


「ほんのり濡れてるように見える……かな?」

 と、安道の右拳を凝視する菊池が、疑問混じりに言うと、


「そう、これが力を可視化した時におこる現象だ。普段は見えるようにはしないがな」

 と、安道が答える。


「見えるようにするのは、大変なんですか?」

 と、菊池が問いかけると、


「見えるようにする意味無いだろう? 力の無駄遣いだしな」


「あ、余計な力を使うんですね」


「ああ、では濡れてるように見える箇所を、直に触ってみろ」


「触ったら電気走って、痛かったりしません?」


「水だし痛くないさ、電気系なら静電気の時のような痛さはあるがな」


「じゃあ」

 そう言って、右手の人差し指で安道の拳に触れる菊池。


「冷たい」

 と、思わず声に出す菊池。


「コレを自分の中から出せるようになれ」


「どうやって出すんです?」


「脳の中で、今見たコイツをイメージしろ。その時、前頭葉に軽い痛みか重さを感じるはずだ」


「えっと、イメージイメージと……」


「なんなら左手で触りながら、右手にコイツを発現させるように考えてもいい」


「んー? なかなかうまくイメージできないな。安道さん、最初は何かイメージしたりしました?」


「水を含んだスポンジを握りつぶして、水を搾り出すみたいに考えてみろ」


「なるほど」

 と、言った菊池の拳を見る安道。


「ふむ、見えはしないが、僅かに出ている。いい感じだぞ」

 と、安道が言うと、


「え?」

 と、安道を見た菊池。


「あ、消えた」

 との安道な言葉に、


「出てました? 本当に?」

 と、菊池が聞いた。


「ああ、僅かにだが確かに出ていた。これから暇な時は練習しておけ。そのうち慣れてくれば、イメージしなくても出せるようになる」


「はい! あ、でも出せたとして、どうやって退治するんです?」


「その水を手袋のように纏って、掴み取るのさ。掴んだまま、封印石に付けると勝手に吸い取って、封印してくれる」


「なるほど!」


「だが、それは乗っ取られた魂が、まだ人のエネルギーだけを摂取している時までだ。人を喰った死霊は掴んだくらいでは人から離れない」


「今回は無理って事ですか?」


「ああ、もう喰ってしまったからな。もう変異して剥がせない」


「そういう時はどうするんです?」


「人の魂ごとあの世いきだ」

 と、安道が言うと、


「可哀想に」

 と、菊池が呟いた。




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