表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/62

アカウント


「安道起きなさい!」

 応接室に竹田の声が響く。


「んん? 今何時?」

 眠たそうな安道がそう言う。


「9時50分よ!」


「まだ一時間経ってないやん」


「もう資料が届いたのよ!」


「はぁ、キンゾーのやつ、もっとゆっくり届けさせりゃいいのに。もう少し寝たかった」

 と、この場にいない、北岡署長の愚痴を言う安道。


「いいから、早くきなさい」


「へいへい」

 2人は死霊課の部屋に移動する。


「えっとコレが地回りの結果報告で、こっちがスマホの解析結果とスマホで……」

 と、竹田が段ボール箱から、書類や物の入ったビニール袋を取り出す。


「スマホと解析結果くれ」

 安道が竹田に言うと、


「はい」

 と、竹田がスマホの入ったビニール袋と、書類を渡した。


「えっと、パスコードはっと……これか。どれどれ……ふん、このニーチャン、SNSで出会い厨してたっぽいな」

 書類に書いてあったパスコード番号を打ち込み、スマホを開いて操作していた安道が、そう言った。


「であいちゅう?」

 菊池が疑問の声をだす。


「女性のアカウントに、ダイレクトメッセージで、会おうって、送りまくってる。そんなことしてるから死霊に喰われるんだよ、馬鹿だなぁ。最後にメッセージ送ったのは……このアカウントか。ああ、裏垢女子とか言って男誘ってたのか。最近多いらしいな。多分コレで間違いないな。相手に到着の連絡入れてる。確か死亡時刻の推定がっと……ビンゴ! たぶん決まりだな」

 と、安道が指をパチンと鳴らして言った。


「裏アカ女子とかって、ほとんど風俗業者らしいわね」

 竹田が安道に言うと、

 

「客のつかない風俗嬢が、SNSで客引きする時代だ」

 と、肩をすくめて安道が言うと、


「風俗嬢って事は、お金取るんですよね?」

 菊池が質問する。


「ああ、店に行くより高いらしいぞ」

 と、安道が答えると、


「ええ?」

 と、菊池が驚く。


「素人のフリして、玄人より高い値段設定なんだと。騙される奴いるのかねぇ?」

 呆れた口調の安道に、


「居るから成り立つんでしょ」

 と、竹田が正論をぶつける。


「まあ、そうなんだけどさ。姉御、このアカウント、どこの誰のアカウントか調べて貰ってくれ」

 と、安道がスマホの画面を竹田に見せて言う。


「了解」


「俺は自分のスマホで、コイツにダイレクトメッセージ送ってみるわ。引っかかってくれるといいんだがな」

 そう言って、ポケットからスマホを取り出す安道。


 竹田は、被害者のスマホを持って部屋を出て行く。


「安道さん、風俗業界詳しいんですか?」

 菊池が資料に目を通しながら、安道に聞く。


「いや、行ったことはないね。夜はスナックやBARに居るし、女性に困ったことは無いからなぁ」


「風俗嬢って、乗っ取られやすそうだと思うんですけど」


「ああだが、京都は市内にしか、そういう店は無いから、そっちは市内担当が行ってるだろ、俺の担当外だ」


「市内担当は、5人の男性が居るんですよね? でも全部回れないでしょ? どうしてるんだろう?」

 と、疑問を口にする菊池に、


「そりゃ回れないが、アイツら勘が鋭いから決め撃ちだろうな」

 と、安道が答える。


「勘?」


「察知能力と言い換えてもいい。ようは気配を辿って探すのさ」


「こないだの冷気みたいな?」


「ああ、あれは死霊に取り憑かれてる者特有のやつだし、他にも色々あるが探ればなんとなく分かるんだろ。特に本家はな」


「本家?」


「それより他の資料読んどけよ。昼から出かけるし、読めるのは午前中だけだぞ」

 と、菊池の問いかけには答えず、話を逸らす安道。


「はーい」

 と、菊池が返事した時、


「ダメだったわ、海外のサーバーをいくつか経由してて、痕跡辿れないって」

 竹田が部屋に戻るなり、そう言った。


「ちっ! 用意周到な奴め。てか、悪徳業者だったのかもな。俺が送ったダイレクトメッセージには、まだ返信無いしなぁ。そうだ姉御、お嬢ちゃんに武装渡しといてくれよ」

 と、安道が言うと、


「いきなり実践させる気?」

 と、竹田が安道に問いかける。


「いや、念のためさ」


「まあいいわ、菊池さんこっち来て」

 竹田が菊池に声をかける、


「はい!」

 と菊池が椅子から立ち上がった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ