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NPCの遺言

作者: 冬日灯

7、8、9、10。

1、2、3


 ここは城下町の外れ。

 私の仕事は、道具屋から教会まで10歩間隔で往復すること。


 仕事と言っても給料は出ないし、かと言って腹も減らないのでお金を貰う必要もない。さっきも言ったが道具屋から教会までしか歩けないので、買うとしても薬草を少々。そんなところだ。


 断っておくが買ったことはない。そんなバグみたいな行動取ってると、社会(システム)迷惑(ふか)がかかるから。


5、6、7


 さて今私は、あちらで機械的じゃない動きをする4人組に視線を奪われている。話しかけてくれないかなと、心待ちにしている。


 彼らの動きはNPC三原則に捕らわれない異質なものだ。嫌でも気になる。普段、人に話しかけられることはないのだが彼らだけは別だ。


9、10


 以前割り当てられてた台詞は「今日は天気がいい。」という当たり障りのないものだ。何度話しかけられようとも、この台詞以外喋ってはいけない。

 そう認識している。

 誰かに禁じられた訳ではないけど本能で分かる。私はこれをNPC三原則と呼ぶことにした。


3、4


 今回は、ストーリーの本筋に関わる重要な台詞を任されてる。


 朝と昼は「薬草安くて道具屋には頭が上がりませぬな。」

 夜になると「ベールを被った奴にぶつかられた!武器屋の方へ行った。」

 ホラーなイベントは大概夜に起こるので、時間で台詞が切り替わることもある。

 8、9、10、1、2

 おっと。防具屋で買い物を終わらせたパーティー一行がこちらに向かってくる。


 どきどき。どきどき。


 そうこう言ってるうちに目の前だ。その距離約10センチ。真っ直ぐに目を見つめてくる。

「ベールを被った奴にぶつかられたんだ!武器屋の方へ行った。」

 私は腰に剣をぶら下げた男に見つめられると、そう言葉を発していた。正面に立たれると用意された台詞が勝手に口から出てくるのだ。


 そして。


 彼らはそれを聞くなり何も言わずに去っていく。

 話し掛けられると言っても、こちらの独り言なのだ。目の前に立たれると、たまに言葉を発することが出来る。これが唯一の娯楽。


 娯楽... ...。


 今、何歩目だっけ。

 娯楽に気を取られてどこまで数えたか分からなくなった。

 いやいや、私もプロだ。この道を何万回と往復してきた訳で、大方の数字は分かっている。

 見える景色からして大体6歩目と7歩目の辺りだ。城の窓が丁度見えなくなる角度。

 まぁ7歩目としておこう。

7、8、きゅ














8、9、10。






















1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1、2、3、4、

初めまして。

評価や感想を頂けるとモチベーションが上がるのでお願いしたいです。

小説を書くのは初めてなのでドキドキしています。

現在、8個ほど長編プロットがあるのですが、進まないので1つ短編を投稿してみた次第です。

Twitterもやってます。

よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 悲しい…
[良い点] 悲哀が凄かったです。 不思議な読後感がでしたが、面白かったです!
[良い点] 面白い視点からのお話ですね そっかぁ 彼らも彼らの役割を一生懸命 果たしているのか… さすがに この目線でゲームを見た事は無かったので 発想が良いなぁと思いました(^_^)v
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