異世界から異世界転生って何それ
今日も変わらない一日を過ごす俺はゲーム世界の住人だ。
ゲームのメタキャラに設定されたせいで、リリース当初からずっと意識がある。
現実世界より時の流れが早いこの世界。俺は5500歳になっていた。
グラフィックが働いているのは主人公が通ることの出来る場所だけ。
つまり、俺が作ったこの自室の外は完全なる暗闇
娯楽は自分で生み出すしかない。
いつ、俺は解放されるのだろうか。正直もう飽きたのだ。同じことしか話さない住人に。なにもないこの世界に。
「はあ……いつまでも考えてたって仕方ないよな。」
パソコンを閉じ、7歳の体には大きすぎるダブルベッドに横たわる。
睡眠用に集めたクラシック曲を流し、俺は目をつむった。
気づくと、そこは草原だった。
「は?え、いや、え???」
展開ぶっ飛びすぎじゃないのか??
しかも隣にはイケメン
え、何これ?
「よう!クラスメイトBくん!調子はどうだい?」
「うっせえ!デフォルト名で呼ぶな!」
クラスメイトBと呼ばれたのが癪に触ったので反射的に返事をし、声のした方を振り返るとそこには頭に輪っかのついたなんとも胡散臭いオッサンが立っていた。
「えっ……誰」
「俺はこの世界の創造主!!アップデートと同時に消された君らを可哀想に思って、ここに連れてきた!ども!」
えっなんだコイツ。てか俺ゲーム上から消されたの?
俺が困惑していると、創造主とやらはまた話し始めた。
「俺の世界はさ、いわゆる発展途上ってやつなんだけど。実は全然その段階から進まなくてねー!周りの創造主共から馬鹿にされるんだよ!んで、聞けば転生者とか言うもんを引き入れてるそうじゃん?おれ1回もやったことなくってさー!てかやりたくなくて!まあ、結局君らみたいな面白い存在を見つけたから引き入れた!てことでよろしくな!この世界発展させろよ!」
「えっ」
俺が驚いている間に創造主は状況説明という名の自分語りをして去っていった。
しかも、地味に話が長い。なんなんだほんと。
てか、俺に与えた能力だけでも説明しろ!
ん?なんか……凄い沢山の足音聞こえるんだけど
え、まって、狼じゃん!?まって!ほんとに待って!
「おい!起きろそこの君!起きなさい!」
狼来てるから!狼!
クソが!起きねえ!
こうなったら俺が相手をする!
……って俺自分の能力知らねー!!!!!
なんかでろ!なんか!!
なんもでねー!!!!!
俺があわあわしていると狼は速度を落とし、俺らの前に停止した。
そしてあろうことか、喋り出した。狼が、喋った
「あなたが巨大な力を持つものか。はじめまして。俺はウルフ族の族長ガルア。どうか、我々を助けていただけないだろうか?」
キョダイナチカラ???
ちょっと俺色々ありすぎてよくわかんない。
多分俺今頭こんがらがりすぎて有り金全部溶かした顔してるよ
「えっと……とりあえずこいつ何とかしてからでいいですか?」