水風船
初投稿のホラーです
ちょっとだけ怖い程度なので誰でも読める短編です!
高い気温と湿気。
肌を撫でる生ぬるい風。
何処かで一生懸命鳴いている蝉。
陽炎が出来る程、焼ける様に地面を照らし続ける太陽。
それを尻目にクーラーの効いた部屋で快適に過ごしたいと思うのは、クーラーが壊れさえしなければ快適に過ごせていた為か。
それを恨めしげに思いつつ、クーラーの壊れた部屋で窓を全開にしてアイスに齧り付いて、ポータブルゲームやテレビゲーム、スマホゲームをひたすらやってる俺。
いつも通りだった。
いつも通りの日常を過ごしていただけだった。
何の変化もなく、ただゲームを楽しんで、ゴロゴロしていた日常。
今は、そんな日常に帰りたいと時々思う。
それでも――――――
『お前何で生きてるの?』
『あんた本当に人間?』
俺が存在している事、生きている事その物に対しての嫌悪感、殺意、憎悪、吐き気、拒否感………。
負の感情全てを集めてごちゃごちゃに掻き混ぜたかの様な物を顔面に出して言われ続けていたあの頃よりは……
パァンッッ
ビチャリッ
空気を割るように音が鳴る。
その音がどんなに快楽的で心地よい事か。
音の後、秒差で零れる生ぬるい液体が丁度足にかかる。
服を着たまま濡れてしまうというのはやはり不快だ。
それでも……こんなにも快楽的で、スッキリするのだから、この感覚を忘れる事も出来ないし、止められる訳がないと思う。
「ククッ
フハハハッ
あぁ、無理だ
最高だよ
ごめん、もう止まれない
凄く、気持ちいい
だって……」
俺の足元で「嫌だ」とも「死にたくない」とも言えず、声すらまともに出せやしないのに必死に唸り、まともに身体も動かせないからか、唯一動かせる首を降る。
その表情は絶望、恐怖、怯え、反抗心、憎しみ、様々な感情を込めて俺を見つめる。
以前も見ていた筈なのに、そんな瞳に俺はゾクゾクと快楽に似た感覚に背筋を震わせ、熱い吐息と共に頬を赤く染める。
アンタってばこんなにも俺を楽しませてくれるんだから。
以前と今では俺の立場はほんの少し変わった。
嫌悪や忌避されるのも変わらない。
憎悪や殺意を抱かれるのも変わらない。
蔑まれるのだって変わりはしない。
そこに一つ、感情が加わっただけ。
以前は曖昧でふわふわしてて相手から感じ取る事すら出来なかった「恐怖心」。
今なら少し分かる気がする。
あの頃、あいつらは未知な存在への恐怖心に気付く事も無く、俺をただ蔑んでいた事。
その後に何が待っているか、なんてのを考えるよりも先に潰そうとしたんだろうな。
だから俺は今日も快楽に身を任せて嗤い、物も言えなくなった水風船を破裂させ続ける。
前後気になる方がいらっしゃれば頑張って作りますよーw