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8話 主人公です

「ありがとね!またの来店待ってるよ!」


 もちろんですよ!胸元ゆるゆるのセクシーNPCさん!

 昨日は疲れていて集中できなかったが、このNPCの胸は形がいい。この胸を眺めるために毎日通おう。俺は最後にその胸を一瞥して宿を出た。


 爽快な朝だな。他のプレイヤーに狩場を占領されない朝はレベリングにもってこいだ。だが、モンスターだけ狩ってたら効率は良くないためクエストも受ける必要があるな。


 また筋肉マッチョのNPCアルフォードにでも聞いてみるか。


 「がははははははははは!また会ったな!今日もクエストがあるぞ!」


 よく一日中立ってられるな・・・。NPCだから当然だがこのゲームが終了するまでアルフォードは永遠にこの場に立ち続けるわけだ。腹立つ奴だが、その点は同情してやってもいい。


 「クエストを受けるよ」


 【クエスト名 ゴブリンの角集め ゴブリンの角20個獲得 詳細】


 今度は討伐系クエストじゃなくて収集クエか。詳細っと。


【並木の森でゴブリンからドロップするゴブリンの角20個獲得後、アルフォードに報告する。

  報酬 EXP150 MIL100 クランポイント0 アイテム        】


 収集するクエストではモンスターがクエストアイテムを落とす。だが、絶対にドロップするわけではないから結構つらい。さらに並木の森のマップの奥に行かなければゴブリンがいないだろうから移動にも時間がかかってしまう。早く騎乗ペットのドラゴンが欲しい。どこで手に入るんだろうな?


 並木の森へ移動するとうんざりする見た目の奴らがいた。ムーンフロッグだ。ノンアクティブモンスターのためスルーできるが蹴ってくれと言わんばかりのその出っ張った腹は蹴らずにはいられないな。昨日の出来事も相まってな。


 俺は歩いているとなんだが固い地面と違い柔らかい感触。なんだ?

 下を向くと昨日俺をPKしまくった美少女が足の下にいた。


 「え!?マジ!?」


 思わず声に出してしまったがこの美少女はティアだ。昨日見た同じ体勢で気絶・・・してるのか?


 「お~い、ティア~起きろ~」


 微動だにしないな。もしかしてログアウトしてるのか?いや、それは無理だ。ログアウトしたらプレイヤーは消えてしまう。つまりこいつは昨日気絶してからずっとここに倒れているわけだ。

 俺のビッグマグナムすげぇ・・・!


 こんな所に倒れていても他のプレイヤーに迷惑だからな。さっさと起こすか。試しに顔をビンタ。

 う~ん、まったく動かない。

 今度は往復ビンタ!ビチンビチンと気持ちのいい音が響く。潤っている肌の証だな。

 まだ起きないか。


 俺のイケボを耳で囁けば起きるのではないかと思い、伏せてティアの耳にささやいた。


 「ティアのご主人様だぞ。さあ起きろ」


 我ながら素晴らしいイケボだな。ほらティアも起きた。


 「あたしにご主人様はいないわ!!!」


 俺のイケボかその言葉に目を覚ましたのかわからないけどプレイヤーの迷惑にならないのでどうでもいいことだ。


 「あっ、あんたは!ええと・・・確か・・・・・?」


 そういえば俺の名前教えてなかったな。


 「お前のご主人様の主人公だ、覚えておけよ」


 「はぁ!?主人公って意味わかんない!」


 「俺の名前が主人公で何が悪い。俺は主人公に憧れているから主人公なんだ。その小さな頭で理解しろよ」


 「え!?その頭上の主人公って称号じゃなくて名前だったの!?笑っちゃうわ、あはははははははははは!」


 主人公っていう称号があるのか。しかし主人公を笑うとはなんて奴だ!許せん!


 「あ?フレンド解除すっぞオイコラ」


 「ごめんってば、ははははははははは!」


 どうやら悪気があって笑っているわけではなさそうだな。可愛いところがあるもんだ。

 しかしこいつかなりの廃人だがおそらくキッズだ。今日は平日で学校だろうに。聞いてやるか。


 「おい、お子様は学校なんじゃないか?行かなくていいのか?」


 「あたしがお子様ですって!?あたしはもう高校生よ!」


 マジか。小学生な見た目しやがって高校生とな。ロリっ娘じゃないか。


 「はいはい。ロリっ娘はさっさと学校に行けよ~」


 「あたしはロリっ娘じゃないわよ!う~。でも早く学校に行かないと!学校終わったらまた来るわね!ばいばい!」


 そう言ってティアは俺に手を振ってログアウトをした。まさか、高校生とは思わなかった。それに不登校でもないとは。どんだけ暇人なんだよ。呆れてしまう。リアルで友達がいないからこのゲームで遊んでくれる友達を探してるのか?俺はニートだから友達いなくても仕方がない!


 さて、さっさとクエスト終わらせてレベル上げるか。ムーンフロッグはノンアクティブモンスターなので横切っても俺を無視して攻撃してこない。腹を蹴りたい衝動を抑えて俺は奥へ歩いていった。


 「やっとまともなモンスターじゃねえか」


 スライムとムーンフロッグはかなりグロイ見た目をしていたが、このゴブリンは本当にTHE普通。お前らが知っているゴブリンを想像してくれていい。このゴブリンの特徴は頭に生えている角だな。今回のクエストアイテムだ。


 「それじゃあさっさと終わらせるか」


 ゴブリンもノンアクティブモンスターのようだ。背後からスラッシュをお見舞いしてやる!

 スラッシュと念じて、白いエフェクトがかかり首に横切り。HPゲージは全損。ユニークアイテムの聖獣のセイントソードは30Lvまで使えるそうだからこのままサクサクといけそうだな。


 【クエスト進行度 ゴブリンの角集め ゴブリンの角1/20個獲得】

 【EXP12 MIL2を獲得しました】


 いきなりドロップするなんて運がいいとは言えないかもな。序盤のクエストはドロップ率100%だったりするからだ。あと19体をチマチマ倒していくなんて実に非効率的なので序盤のモンスターならではの倒し方を教えよう。


 「きいいいいいいいいいぃぃぃぃ!!!」


 俺の通常攻撃を受けたゴブリンが怒り声をあげて俺をターゲットにとる。これをあと18回繰り返す。

 そうすると19体のゴブリンたちは俺に向かって一直線だ。ゴブリンは全てが同じ速度のため、引きつけて、あと少し・・・・・・今だ!


 ゴブリンは攻撃圏内に入ったため、攻撃のモーションを見せる。その攻撃が来る前に俺はゴブリンの間を駆け抜ける。そうすると他のゴブリンも攻撃のモーションを見せるが、全て空振り。一番後ろまで来たらスラッシュ!!


 「ぎいいいいいいいいいぃぃぃ!」


 攻撃後の硬直状態のためゴブリンの首に容易にクリーンヒット。HPゲージが全損。

 もう一度スラッシュ!

 これを繰り返していけばいい。ほら、こちらへ近づいてきたら駆け抜けて先頭へ戻る。スラッシュを使ってもいいし通常攻撃でもいい。楽勝だろ?


 【クエスト進行度 ゴブリンの角集め ゴブリンの角20/20個獲得】

 【EXP368 MIL38を獲得しました】


 戦闘が終了。


 「ん?なんだこれ?」


 コマンドからペットを選択するとムーンフロッグの経験値が最大に達していた。

 もう生まれるのか!?

 ま、まだ心の準備が・・・。


 【補助ペット ムーンフロッグLv1を獲得しました】


 俺の中でトラウマになっているカエルが出現した。改めて見るとやっぱりキモいよな・・・。

 っていうか補助ペットって何できるんだ?補助ペットを押してと。


 【補助ペット ムーンフロッグLv1 装備効果 全基本ステータス+1】

 

 ほう。雑魚補助ペットに間違いないが少しでもステータスが上がるのなら装備しておくべきだな。キモいけど。ムーンフロッグLv1ということはこいつのレベルを上げてやれば装備効果も上昇するだろう。クエストも終了したようだしアルフォードの所へ戻るか。


 「お疲れさん!こいつぁクエスト完了の報酬だぜ!」


【EXP150 MIL100を獲得しました】


 パンパパ~ンとレベルが上がったことを示すファンファーレ。


 【Lv.4に到達しました。おめでとうございます!

  筋力値+3 敏捷値+2 幸運値+2 魔力値+1  】


 職業ソードマン Lv.4

【HP】158/158

【MP】156/156


【筋力値】34(+26)

【敏捷値】25(+21)

【幸運値】21(+16)

【魔力値】9(+6)


【攻撃力】50

【防御力】25

【回避率】0

【命中率】50


【称号】無し


【装備武器】聖獣のセイントソード

【装備アイテム】アイアンアーマー アイアンヘッド

【装備ペット】ムーンフロッグLv1

 

 まだまだ先は長そうだな。装備ペットが追加されて、俺の隣には憎たらしいカエルがいる。イケメンの俺にふさわしいペットを手に入れたいものだな。


 「もうクエストはないのか?」


 アルフォードはクエストを提示してくれないため聞いてみた。


 「ああ、俺からはもうないぜ!ペットショップにいるアリアが何か困ってた気がするから行ってこい!」


 つまりこれはペットを手に入れたら強制的に発生するイベントか。ペットのことを詳しく知りたいしさっさと行こ。

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