11話 果てなき幻影
「おう、ロリっ娘じゃないか」
「あたしはロリっ娘じゃないわよ!」
今の時間は16時だな。部活もせずに直帰しているから帰宅部なんだろうな。友達作りたいなら部活入ったらいいのに。
「というかあんた!ええっと・・・?主人公ってちょっと言いにくいわよ!!」
なんだいきなり俺の名前にケチつけやがって。俺は俺という物語の主人公なんだよ!!モブで終わってたまるか!
「べつにいいだろ。読めるだけましだ」
姫猫天使女神とかいうキラキラネームよりはましだろ。
「でもやっぱり言いにくい!それなら、う~ん、ヒロって名前でどう?
「は?なんでヒロなんだよ?」
「これだからバカは嫌いなのよ。英語で主人公はHEROと言うの。だからヒロね!」
「うるせぇ誰がバカだ!」
俺のぐりぐり攻撃を食らいやがれ!だが、ヒロか。主人公の意が含まれているのなら呼ばせてやってもいいかな。
「まぁヒロでもいいが、ヒロ様って呼べよな?」
「なんで下僕のあんたにあたしが様付けしないといけないのよ!?」
「あ?フレンド解除すっぞ?いいのかな~?」
「ごめんなさいごめんなさい!ヒロ様!やめて~!!」
泣きながら俺の足にしがみついて懇願してきた。この服従具合なら許してやってもいいかな。
「ならやめてやろう。ところでお前ここで何してんだ?」
「友達と待ち合わせしてるのよ」
なぬ!?こんな廃人に友達がいるだと!?う、羨ましくなんかないぞ!絶対にな!
「あ、ほら来た!!」
ティアが手を振る先には女の子。ティアと同じで煌びやかなレアアイテムを装備している。これまた美少女だな。俺のクラン(ハーレム)に入れてやってもいいかな。
「こんにちはティア。そちらの方はどちら様?」
「この男はあたしのげぼ・・・ぷぎゅっ!」
嘘を言いふらそうとしているティアの頭を押さえて俺から自己紹介だ。
「僕はティアさんの友達の主人公と言います」
このアホなティアと違って正統派美少女に俺の2枚目をきめる。
「主人公さん?面白い名前ね。ふふふ」
ほらな。ティアと違って優しく微笑んでくれた。まさしく正統派美少女!
「私はミスラといいます」
ミスラさんか。ティアとは波長が合わなさそうなタイプだがどうやって知り合ったんだ?
「ティアとはどういう関係なんですか?」
「私とティアは同じクランに所属しているんです」
「そうよ!あたしとミスちゃんは果てなき幻影のメンバーなのよ!」
ちっ、こいつ出しゃばんなよな。ミスちゃんってのはあだ名だろう。だが果てなき幻影ってなんだ?
「なんだその果てなき幻影って」
「ふふん。果てなき幻影は最強のランカーしか入会できない最強のクランよ!」
ティアの頭上に表示されていた果てなき幻影は称号じゃなくてクラン名だったのか。ミスティアさんにも表示されているな。最強のクラン故にここのクランホールでも借りてんのか?羨ま。
「あたしとミスちゃんはそこのサブクランマスターなのよ!すごいでしょ!」
ランカーが属するクランでサブクランマスターとなるとこのロリっ娘アホだが実力だけはあるみたいだな。ミスラさんはしっかりしてそうだから当然だな。
「ヒロもランカーになったらあたしの権限で入れてあげてもいいわよ!」
この上から目線うぜえええええ。殴ってやりたいがミスラさんの前では羞恥を晒せない。
「そのときは頼むぞ」
俺は自分でクランを作るつもりだからここは話を合わせておいたらいいだろ。
「あたし会合の準備するから先に行ってるわね!ヒロもまたね!」
そう言ってティアはエレベーターに乗っていった。
「ヒロさんって私も読んでもいいですか?」
「ティアが勝手につけてきたんですよ」
「ふふふ。ティアがクラン以外に友達がいてくれてとても嬉しいです。これからも仲良くしてあげてくださいね」
「はい!」
やっぱりぼっちだったんだな。任されてしまっては仕方ないよな。これからもティアをいじめてやろう(ゲス顔)
ミスラさんもエレベーターに乗っていった。俺もランカーになりてえな。
よっしゃ!レベリング開始しますか!だけどどこ行けばいいんだ?
ふれあいの中央広場行ってみるか。
それにしてもPK有なのに平和なもんなんだな。ランカーはそんなこと興味なくて、中間層のプレイヤーがPKするんだろう。ここはランカーが集まってるからそんなことできないんだな。
もしくは掲示板で晒されてログインするたびにPKされるんだろうな。よし着いた。
「すみません、初心者なんですけどどこでレベリングしたらいいですか?」
反吐が出る男プレイヤーではなくて女性プレイヤーに話しかけた。勿論きれいな人だ。
「あ、はい。それならあのNPCからクエストを受けられますよ」
「ありがとうございます」
なんだこのNPCどっかで見たことあるな。
「やあ!冒険者よ!」
あ~思い出した。こいつチュートリアルで殴りまくったスーツ着たNPCだ。名前はビギナーマンか。ふざけた名前しやがって。
「おい、さっさとクエストよこせ」
「せっかちだな~。はい。頑張ってくれたまえ!」
【クエスト名 危険なウルフを倒せ! ウルフ討伐30体 詳細】
この命令口調ガチでうぜええええ。プレイヤーが少ない深夜に殴ってやろう。詳細っと。
【タタトス渓谷でウルフを30匹討伐後、ビギナーマンに報告する。
報酬 EXP300 MIL200 クランポイント0 アイテム無し 】
クエストって平行進行できないのか?実に非効率的だな。タタトス渓谷のワープホールはどこだろうか?
「おい、タタトス渓谷ってどこから行けばいいんだ?」
「北の架け橋から行けるよ!」
北の架け橋か。世界都市トルーアは4つの架け橋からしか外に出られない。北の架け橋、南の架け橋、東の架け橋、西の架け橋だ。ネットでの事前情報では世界都市トルーアはアスティア大陸に属しており最も平和な大陸だそうだ。だからそれほど強いモンスターは出現しない。魔王が潜んでいる大陸は適性レベル900以上とかだったはずだ。とりあえず俺はこのアスティア大陸にいたらいい。北の架け橋に到着した。ワープホールに入るか。
【タタトス渓谷】
荒れ果てており、起伏が激しいな。お、ウルフっぽいモンスターがいるな。
「ぐるるるるるるるあああぁぁぁぁ!!!」
うおっ!?ついにアクティブモンスターになったみたいだな。ここは新しいスキルのストライクでも使ってみるか。
ストライク!
スラッシュと同じように白いエフェクトがかかり、自動的に俺の身体が動く。
腕を手前に引いて、素早く前に突いた。
「ぐるあああああああああ・・・」
ウルフのHPゲージが全損。やはりこの武器は強い。
【クエスト進行度 危険なウルフを倒せ! ウルフ1/30体討伐】
【EXP15 MIL4を獲得しました】
MPは2割程度が消費されているな。ここからはケチらずにポーション使いまくっていくか。
「うおおおおおおおおおお!」
スラッシュとストライクを交互に使い、スキルに慣れていく。対人戦はスキルというのは致命的だ。動きが読まれてしまう。しかし、雑魚モンスターならば攻撃モーションは一定。スキルをうまく使っていけばノーダメージで倒せる。
【クエスト進行度 危険なウルフを倒せ! ウルフ30/30体討伐】
【EXP435 MIL126を獲得しました】
青色のポーションをうまく使いながら休まずに戦闘を終わらせた。
「ふわぁぁ~~~~」
精神的にリラックスしてしまいあくびがもれた。トルーアはその大きさ故に移動に時間がかかる。モンスターに乗って移動しているプレイヤーがたくさんいた。ドラゴン欲しいなあ。今日はもう寝るか。
【世界都市トルーア 北の架け橋】
北の架け橋を駆け足で過ぎ去り、ふれあいの中央広場へ到着。
「やあ!終わったみたいだね!」
【EXP300 MIL200を獲得しました】
【補助ペット ムーンフロッグLv2がレベルアップしました ムーンフロッグLv3 装備効果 全基本ステータス+3】
ビギナーマンが報酬をくれた。カエルのレベルが上がり、そして俺のレベルが上がったのでファンファーレ。
【Lv.6に到達しました。おめでとうございます!
HP+5 MP+2 筋力値+3 敏捷値+4 幸運値+2 魔力値+1】
ステータスはこんな感じ。
職業ソードマン Lv.6
【HP】167/167
【MP】159/159
【筋力値】42(+28)
【敏捷値】34(+23)
【幸運値】27(+18)
【魔力値】13(+8)
【攻撃力】50
【防御力】25
【回避率】0
【命中率】50
【称号】無し
【装備武器】聖獣のセイントソード
【装備アイテム】アイアンアーマー アイアンヘッド
【装備ペット】ムーンフロッグLv3
いい感じにステータス上昇だな。さて宿に戻るか。
「おかえりなさいませ」
第一宿泊所にいるマルスが言った。俺の事覚えてるってことは中級NPCだ。気分がいいな。
「ふぅ~~~~~~」
宿で毎回やってしまうことはベッドの飛び込みだろうな。これ本当最高。
最後に掲示板でも見て寝るか。おやすみ。
所持アイテム 赤色のポーション×11 青色のポーション×5
習得スキル スラッシュ ストライク




