201610/23.pm14.00
クラクションの鳴り響いくところに目をやると
日本国旗を掲げた中型トラックが、猛スピードで突っ込んで来ていた。
「国家の意思に逆らうな、家畜共が!
平和ボケした軟弱共は死ね!国の為に犠牲になれ!」
車に取り付けられた拡声器から怒号が鳴り響く。
車はどんどんスピードを上げていた。
異変に気付いた人たちが我先にと一目散に逃げ出した。あたりはパニックになった人たちでごった返していた。
基地の入り口前にいた機動隊も逃げ出していた。
乗ってたバイクを降りて、来た道を走って逃げた。
俺の後ろにいた車の運転手も車から降りて
逃げながらも携帯で動画を撮っていた。
最初の怒号が聞こえて、10秒後。
ある程度場を離れ、振り返ったとき、
トラックは抗議者の中に突っ込んだ。
叫び声と、金属の激しい衝突音が鳴り響いた。
トラックはフェンスを突き破り、横転し離れていた機動隊により運転手が捕らえられていた。
俺は何がなんだか状況をすぐには飲み込めず、恐る恐る近づいていった。
あたりは血の鉄臭さと、ガソリン、髪の毛の焦げた匂いが広がり、肉片がそこら中に散らばっていた。
近くにあった俺のバイクにも、血や誰かの一部がくっついていた。気持ち悪くなり、その日の昼飯を全て吐いた。それ以上に吐いた。
吐くものがなくなって涙目であたりを見渡す。
まるで、戦争の一部を再現したかようのな酷い有様だった。