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すれ違い

 美穂ちゃんの件は明日また話をするという事で一旦完了した。


 あのあと優希ちゃんと私は一旦家に戻り、お昼を食べてからもう一度私の家に集まった。



「お昼ご飯うちで一緒に食べればよかったのに、お母さんも優希ちゃんなら喜んで迎えてくれるのに」


「よくご馳走になってるからそんなご馳走になってばかりだとわるいよ」


 家にやってきた優希ちゃんとそんな話をしていた。



「二人とも準備はいいかい? それじゃあいくよ」


 少ししたらベェルが部屋にやって来てそう言うと一瞬でこの前の白い空間に変わった。



「今日は街の中になるんだね」


 周りの景色をみて優希ちゃんが言った。


 あの白い空間はベェルの力で風景を変えられる機能をもっていた。

 その御陰で約一週間、山の中や、工場、空き地、はたまた昔の時代まで色々なバリエーションで特訓する事ができていた。

 何時何処で何が起こるかわからない以上対応できる様にしておかないと駄目だとか。


 じゃあ、早速いくよといって私達の前に私達と似たような何かが出てきた。



「今日こそ勝てる様に頑張ってね、その人形は前世の君達を真似て作っているから戦い方もそれなりに似ているよ、強さとしては大分弱くしているからこれくらいに勝てない様だよ生き残れないよ」


 と、まあ同じような事を毎回言われている。



「今日こそ勝つわよ、今日の私は昨日の私より強いんだから」


 優希ちゃんも頷いて羽衣を召喚する事にした。



 ローブ オブ ア セレスタル バディ


 サーモニング


 アルティメットガールズ 見参



 優希ちゃんは恥ずかしそうにしているけど、やはりこういう時は変身の掛け声と変身ポーズは必須だと思うの、これを考えるのに3日もかかったわ!


 私は普段してるリボンが羽衣になるのよ、めちゃめちゃかっこよくない?

優希ちゃんはカチューシャが羽衣になるの、凄く可愛いんだから!

やっぱり頑張って考えてよかったわ、新しい仲間ができたらまた考えないとね!



 ベェルは最初はまだアルティメットガールズじゃないけどねと言ったが、もう慣れたのか何も言ってこない。

 私達が変身ポーズを決めた後、人形を戦闘モードに入らせた。



「じゃあ、始めようか」



 私達も羽衣装具セレスタル イクイプメントを出して応戦する。


 初めは一体一で戦っていたけど段々二対二の戦いに移行していっている。

 一体一だと単純な力押しで押し切られてしまうから、私と優希ちゃんの連携で何とか戦いをイーブンまでもっていってる。

 ベェルもけして一体一で戦えとは言ってこない、連携を取り出した時に一応聞いてみたけど

二人はまだ戦いという物に慣れてないから二人が戦い易い様に戦うのが今は一番良いと言ってた。


 優希ちゃんも一体一だと相手の攻撃のバリエーションについていけずにやられてしまった。

一度相手を入れ替えたりしたけど、私が相手を捕まえられないで優希ちゃんは接近戦をしかけられて何もできなかった。


 一か八かで二人で私の人形みたいなのに攻撃を仕掛けたら一瞬押し込めたけど、相手も二人掛りで私の事を攻撃してきた為に私が先にやられてしまった。

 けれど私も優希ちゃんもそれが一番手応えを掴めた気がしたからそれを続ける事にしたの、相手も私達に合わせて同じ様に戦っている。

 それでも最初は戦いのコンビネーションというものはなく優希ちゃんとお互い何となく気を合わせて戦っていたが、相手が技術を使って攻撃してくるのを何度も受け私達もそれを吸収していった結果、今では結構接戦となっている。

 

私は私の人形を攻撃しつつ、矢を防ぎ、優希ちゃんは優希ちゃんの人形に威嚇射撃をしつつ私の攻撃に合わせて射撃してくれている。

 精度は相変わらす共に相手が上だが、私達の阿吽の呼吸が時にそれを上回る。



「ココちゃん、いくよ アロー オブ レイン」


 優希ちゃんが矢を雨の様に振らせて相手に防御をさせた一瞬の隙をつく。


 私に優希ちゃんの矢は当たらないと確信している、私は矢の雨の中に飛び込んでいく。



「くらえ、必殺 フィスト オブ フラッシュ」


 単純に早く思いっきりぶん殴るっていう技なんだけど、実際にやると必殺技っぽい

 この前イズモに放った一撃を思い描き練習している一撃が初めてまともに人形に当たった。


 すると私の人形は崩れていった。


 倒した自分が驚いている、後ろで優希ちゃんもココちゃんすごーいと言ってるのが聞こえてくる。

優希ちゃんの人形の方見ながら私は優希ちゃんに向かってVサインをした。

 まだ終わりじゃないと思い、優希ちゃんの人形に攻撃を仕掛けようとしたら優希ちゃんの人形も崩れていった。



「やったね、二人共最初のステップはこれで完了だよ」


 ベェルがそう言ったので私と優希ちゃんは手を取りあって喜んだ。



「それにしても、心の最後の一撃と、優希のアロー オブ レインは良かったね。

ボクに黙って二人共ちゃんと練習していたんだね、驚いたよ

 ただ今回のはあくまで特訓だからオロチと戦う時はもっと強い敵が出てくると思っておいて

まあ、なんにせよ今日はここまでにしておこう、二人ともお疲れ様」


「ふふーん、何時までも負けて許りじゃいられないわ

メールで相談したり、今日も学校で色々話してきたのよ」


 ねー と私が優希ちゃんに言うとうまくいって良かったと安堵している。

 優希ちゃんが言うには優希ちゃんの矢は私には当たらないらしい、正確には当たっても痛くないとか

矢自体が優希ちゃんの神力セレスタル フォースで出来ているからなんだって。

 でも私に優希ちゃんの矢があたる感じがしないから私は突っ込んでるんだけどね

痛くないって言われても当たるのは精神的に嫌だもんね。

 当たらないって信じてるっから迷うこと無く突っ込んでいけるんだ、でないとさっきの私の攻撃も防御されていたと思う。



「外で心のお母さんが呼んでいるよ、一回戻ろうか」


 ベェルはそう言って一旦今の状況を解除してまた私の部屋に戻った。



「心~、美穂ちゃんが遊びに来てるわよ、おりてらっしゃい~」


 お母さんの声だ、美穂ちゃんが遊びにきたの!?


 私は優希ちゃんにちょっと行ってくるねと言って部屋を飛び出して玄関に向かった。



 おまたせ~、と言うとお母さん遅いわよって怒られてしまった。


 美穂ちゃんがそんなに待ってないから大丈夫ですって言うと、お母さんが最近美穂ちゃん遊びに来なくなったから心配してたのよ、またこれからも心の事をよろしくねと言ってリビングに戻って行った。


美穂ちゃんいらっしゃい、今日はどうしたの?と聞くと、やはり送られて来た巻物の写メが気になったらしい、一応優希ちゃんに返事をしたけど連絡が来なかったから家が近い私のうちまで態々来てくれたんだって。



「優希ちゃんも今うちに来てるから私の部屋にいこ」


 私がそう言うと自転車が合ったから知ってるわと言われた、何故か何かを警戒してる様だ。


 部屋に戻ると優希ちゃんもいらっしゃいと言って美穂ちゃんを出迎えた。



「美穂ちゃんごめんね、連絡くれていたのに気付かなかったよ」


 優希ちゃんは私が下に降りた時にスマホを確認して連絡が来ていた事に気づいたらしく、謝った。


 美穂ちゃんも忙しい時はしょうがないわよといって別に怒ってないみたいだ



「それで、写真の巻物は何処にあるのかしら?

何だか写真を貰ってからあの巻物が頭から離れないのよ、その件で今日は来たんだけど良かったら見せてくれないかしら?」


 元よりそのつもりで写真を渡した私達は拒否する理由なんてなかったからすぐに見せてあげた。



「写真よりなんだか綺麗になってるわね」


 美穂ちゃんが思いもしない事を言ったので私達もつい凝視してしまった。

毎日見ていたのでよくわからないが確かにそんな感じがする様な、しない様な。



「触ってもいい?」


 私達が凝視していると美穂ちゃんが怪訝な顔をして聞いてきた。

どうぞどうぞと美穂ちゃんに差し出した。



「開けるわよ?」


 どうぞどうぞ、この流れは例の流れだと私と優希ちゃんは予想した。

 しかし美穂ちゃんが中々開けない。



「美穂ちゃんどうしたの? 開けないの?」


「貴方達二人がそんな顔してるから開けるのに戸惑ってるのよ!」


 私と優希ちゃんはお互いの顔を見合わせた、確かにニヤついてる



「美穂ちゃんは私達が信用できないっていうの!? 心悲しいわ」


 優希ちゃんも私のノリに併せて人差し指を噛むようにして悲しいアピールをしている



 「わかったわよ、わかったわよ 開けばいいんでしょ、開けば」


 美穂ちゃんは半ばやけになって開けた、そして中身を見て ? な顔をしている



「二人は何が書いてあるのかわかるの?」


 やはり美穂ちゃんには読めないらしい、私達も読めなかったよと伝えた。

 そういうと美穂ちゃんは自信満々な顔をして言った。



「つまり二人は私にこの巻物の謎を解決してほしくて声をかけたって事ね」


  美穂ちゃんが胸を張って宣言した。



「「ちがうよ~」」 私と優希ちゃんでハモった。


 顔が赤くなった美穂ちゃんが貴方達は私を馬鹿にしてるんですかと言いかけた所で周りが光に包まれた。



____



「え? ここはどこ?」


 急に光ったと思ったら、私なんでこんな所にいるの?

一体ここはどこかしら、白いだけで周りには何もない、こんな場所が心の部屋にあった?

いえ、そんな事ないわね あの部屋には前はよく行ってたから

そもそも普通の一軒家にこんな拾い部屋があってたまるもんですか。

 



「畑野さん? 橋本さん? いないの?」


 本当に何もない、ただ白いだけ、自分が立っていなかったら地面があったかも怪しいくらい白い

いったいどうしたものか、そういえば一緒にいたはずの畑野さんと橋本さんは何処にいったのかしら。

 とりあえず二人を探す所から初めましょうか。

 そう思って私は歩きだした



 「畑野さん~ 橋本さん~ いたら返事をして~」


 どれだけ歩いたか自分でもよくわからくなってきた、まだ数分の様な気もすれば数時間歩いたような気がしないでもない。

 周りに何かあれば気もまぎらうんだろうけど、何もないここでは一人でいるという事が段々と不安になってきた。

そんな中でさっきの事を思い出してきた。

 そもそも羽衣伝説を調べていてその秘密に迫る巻物だっていうから気になったのに、態々昔調べた内容を思い出して返事したら連絡はないし、態々私が家に尋ねたら返信がない優希の自転車が置いてあるし

 それでいて勇気をだしてチャイムを鳴らして、心のお母さんが出てきてからどれだけ待たせるのよ。

巻物をやっとみたと思ったら書いてある事がわからないし、何よりその内容を私に解読してほしいのか思ったら二人揃って違うっていうし、一体どうなってるのよ。



 「畑野さん~ 橋本さん~」


 なんだか段々腹が立ってきた。

 久々に心の家に来たのになんでこんな事にならないといけないのか

 そもそも高学年になってから習い事があるからって遠慮して私を誘わなくなってきたのは一体どういう事なのよ。

 別に習い事があるからって誘われたら多少時間位つくるわよ。

 やっと同じクラスになったと思ったら微妙な距離感が出来てる気がするし。

 夏休みだって私が確かにお婆ちゃんの所にずっといたから遊べなかったというのはあるけど、メールの一本でも送ってこればいいのに。

そもそも夏休みも終わって時間作ってっていうから先生のお手伝いがんばって終わらせたのに。

急いでいったら二人で抱きついて遊んでるなんてどういう事なのよ。

早くこんな所を出てあの二人にガツンと言ってやらないと!

なんか本当にムカついて来た。



「心!!! 優希!!!  あんた達どこにいったのよ!!!!」


 私が大声で叫ぶと声が聞こえてきた。



「美穂ちゃーん」 「美穂ちゃーん」


 二人の声が聞こえてきた。


 とりあえず、あの二人ともう一度じっくり話す必要がありそうね。



「心、優希 私はここにいるわよ」



そ うして私は何故か笑ってる二人と合流し、この後驚愕の事実を知る事になった。



___




 やっぱり巻物が光った、私達の時と同じだった。

巻物が光って直ぐにさっきまでいた白い空間にやってきた、最近よく来るからもう近所のコンビニに来てるような感覚だった。

 優希ちゃんも似たような感覚なんだろう、私達はお互いの場所が大体わかったので直ぐに合流できた。



「美穂ちゃんもやっぱり天女様の生まれ変わりなんだね、巻物が光ってここに来たって事は間違いないね」


 優希ちゃんの言うとおりだ、ここに来れた事が何よりの証拠だ。




「でも、美穂ちゃんが何処にいるかわからないんだけど、優希ちゃん何か感じる?」


 優希ちゃんは首を振った。



「どうしよっか? 私達が最初に叫びながらお互い見つけた様に歩き回ってみる?」


 私の意見に優希ちゃんもそれしかないねと言って歩きだした。



「でも久しぶりだね、3人で遊ぶ様になるなんて」


 私がそう言うと優希ちゃんが遊んでるわけじゃないけどそうだねと答えた。

  確かに遊んでいるわけじゃない、最悪私達が失敗すると人間界が滅んでしまう可能性があるという衝撃的な結末を迎える事になるかもしれない。

 でも最近忙しくてみんなで遊べなくなったからこうやって昔みたいに集まれるのは楽しいというのも本当。

 しかもいつの間にか美穂ちゃんは私達の事を苗字で呼ぶようになった時からなんだか少し大人になった気がしたよ。


「ココちゃん、大丈夫? 珍しい顔してるよ?」


 優希ちゃんもナカナカ言うね、そんな目をしたら、慌てて変な意味で言ったんじゃないよ、複雑な顔をしていたからって。



「ん~、美穂ちゃんって昔は私達みたいに名前で呼んでたのにいつのまにか苗字で呼ぶ様になったよね。

それは何時からだったのかなぁって」


「あー、それは美穂ちゃんが4年生の時に先生からクラスのみんなに高学年になったんだから男の子には君付け、女の子にはさん付けで、苗字で呼ぶ癖を付けるようにしましょうって言われたらしいよ。

だから他の人もそんな雰囲気になって苗字で呼ぶようになっていったんじゃないかな?

美穂ちゃん先生の言う事ちゃんと聞くもんね」



 お~、そんな事があったのか、確かにその位からだった様な気がする。

 優希ちゃんも先生の事ちゃんと聞くよね。

 それがどうかしたの? と優希ちゃんが聞いてきた。



「うん、五年生になってまた同じクラスになったでしょ

でも私達は名前で呼んでるのに美穂ちゃんだけは苗字で呼んでたからなんか、寂しかったなって。

美穂ちゃんは美穂ちゃんだけどね。

私も最初から優希ちゃんと美穂ちゃんに巻物の話すれば良かったのに悪い事したかなって思ったの。

美穂ちゃんも夏休みはお婆ちゃんの家にいくっていってたから遠慮したんだ。

実際は違うけど手詰まりになったから助けてって言ってるような気がして

優希ちゃんには困った時いつも助けて貰ってるのになんか変な事いってるね」


 私がそう言うと優希ちゃんは首を振った。



「ううん、私もなんとなくわかる気がする

美穂ちゃんとも小さい時から一緒だったのに、最近ちょっと遠慮していたのかな?

別にワザとそういう風にしてた訳じゃないよ。

よくよく考えたらそんな感じがするのっていうくらいの話ね。

もしかしたらそんな雰囲気が美穂ちゃんにも伝わっていたのかな?

私はココちゃんとずっと一緒のクラスで一緒にいたからね。

もし違うクラスになって、美穂ちゃんと同じ状況になったら悲しくなると思う」


「そうだね、私も優希ちゃんとずっと同じクラスだったから逆だったらって考えると確かに悲しくなる

それに私達も習い事初めてから美穂ちゃんとは放課後も遊べなくなっちゃったからね。

美穂ちゃんからしたら一人ぼっちだもんね、そうやって考えると美穂ちゃんに悪い事したね」


 私がそう言うと、優希ちゃんが美穂ちゃんも他にも友達いるから一人ぼっちではなかったと思うよとフォローした。

美穂ちゃんは確かに少しキツイ言い方を最近するけど困った人をほっとけないという性格だ。

だから学校でも友達は沢山いるし、男子からの人気もそれなりにある。



「私達も美穂ちゃんと素直に話すれば良かったね

こうやって羽衣伝説について関わる事がなかったら、もしかしたらこのまま離れ離れになっちゃったかもしれないんだね」


 優希ちゃんがそう言った。



「うん、美穂ちゃんも優希ちゃんと同じで大切な友達なんだからもっと沢山一緒にいるべきだったね」


すると遠くから声が聞こえて来た



「心!!! 優希!!!  あんた達どこにいったのよ!!!!」


 美穂ちゃんの声だ、私と優希ちゃんはその声のほうに叫んだ。


「美穂ちゃーん」 「美穂ちゃーん」


「優希ちゃん、心、優希だって」


私と優希ちゃんが笑いながら声のする方に走っていった。



「心、優希 私はここにいるわよ」


そう言った美穂ちゃんは昔の美穂ちゃんの様だった。

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