一章
俺が2歳の時、上の妹である優佳が生まれた。
それまで両親を独占していたのに生まれたばかりの妹に取られた気がして少し不満だった。
妹が生まれた嬉しさもあるし、妹の面倒をみる両親が大変そうなのはなんとなく感じ取っていたのだが、それでもやはり蔑ろにされたように思えてしまった。
俺が4歳、優佳が2歳の時、2歳の頃の俺よりも優佳を一層可愛がっているように見えてやはり不満を感じた。
ある日、母さんと優佳と俺で一緒に公園に行った。
母さんは「劉也、他の子達と遊んで来てごらん。優佳はまだ小さくて危ないからお母さんと一緒ね」と言って、俺を砂場で遊んでいる集団の方へと送り出した。
「あ、あの…」
「ん?」
「い、いっしょに…あそ……」
「いいよー」
「ほらこっちこいよー」
「いっしょにやろーぜー」
「う、うん!」
今まで母さんや父さん以外の人と遊ぶことがなかった俺はうまく言えなかったのだが、話しかけた男の子はそれを汲み取ってくれたのか快く受け入れてくれた。
それが拓也だった。
その後、3時頃に母さんがおやつを食べようと言って迎えに来るまで拓也達と一緒に遊んでいた。
何をやっていたのか全てを思い出すことはできないが、最後にみんなで作った砂山に穴を開けてトンネルを作ったのははっきりと覚えている。
そして母さんに呼ばれて帰る時、名前を聞いていなかったのを思い出した。
「あの、きょうはありがとー」
「またこいよ、おれたちいつもここにいるからな」
「ここはおれらのばしょだもんな!」
「またあそぼーな」
「うん! それでね、ぼく、りゅうやっていうんだけど…」
「おれはたくや」
「おれはかずなりだ!」
「おれはりょうだよ」
「え、えっと、じゃあばいばい」
「じゃあなー」
こうして俺と拓也、和成、遼は出会った。
それからは母さんに頼んで毎日のように公園に連れて行ってもらい、拓也達と遊んだ。
母さんが優佳を毎回連れてくるのもあって、昼に来て3時頃には帰らなければならず短い時間しか遊べなかった。
それでも優佳が生まれた頃から感じていた不満なくなった。
……そう思っていたんだが、実際は一時的に忘れていただけだったということが2年後、つまり絢の生まれた時に知ることになった。
俺は6歳になり、小学校に通い始めた。
入学式で拓也達にあった時は、これからもっと一緒に遊べるんだと分かってとても嬉しかった。
クラスは俺と遼、拓也と和成という組み合わせで別れることになったが、休み時間なんかは一緒に遊んでいたので特に気にならなかった。
6月の中頃、絢が生まれた。
両親は3人目の子供ということもあって優佳の時よりも落ち着いた様子だった。
優佳は"妹"から"姉"になったことを喜んでいたと思う。
…俺は、また両親が取られてしまうという思いが強かった。
妹二人に両親が取られ、自分は可愛がられないと。
そう思ったら、優佳の時よりも強い不安や不満を感じた。
そんな時、拓也に誘われたのだ。
面白い遊びがある、と。