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愛ゆえに  作者: 森の人
アイユエニ
3/25

序章

とりあえずある程度まで書けたので、本編の投稿を開始しようかと思います。

と言ってもストックが切れたらまた"しばらくお待ちください"状態になるのですが…

ま、まあ週1(水曜)ペースで投稿するので大丈夫だといいなと思います←

 今日も授業が終わるとクラスメイト達は部活動に励むべく教室から出て行く。

 この1年ずっと見てきた光景だ。

 2年になる際に行われたクラス替えで顔ぶれに変化はあるが、俺が教室から出て行く生徒の姿を眺めているという状況に変わりはない。

 しばらくすれば俺も教室を出て行くことになるのだが、それは家に帰るためだ。

 たまに「お前、帰宅部だったよな。ちょっと手伝ってくれないか?」といった風に雑用を押し付けられることがあったり、時期によっては風紀委員の仕事があるのだが、それを除けば放課後は特に何もせずに帰る。


 いつも通り俺の通う星迅高校(しょうじんこうこう)の最寄り駅である東木見月(ひがしきみづき)駅に向かう。

 これもまたたまにであるのだが、ここで後輩と出会って一緒に帰ることがある。

 と言っても、その後輩の降りる駅は俺の降りる楯ヶ丘(たてがおか)の2つ前の駅なのでそこまでなのだが。

 ホームで電車が来るのを待ちながら探してみたのだが、今日は見当たらなかった。

 俺が電車に乗るまでに来るのを多少期待して待ってみたものの、結局1人で帰ることになった。


 電車の中には単語帳を開いて勉強している学生や4歳くらいの子供を連れた女性、タブレット端末で電子書籍を読むオジさんなどがいた。

 電車内が空いているのはこの時間に帰れる帰宅部の特権だよなぁ、などと考えながら目を窓の外に向けぼんやりと眺める。

 例の後輩が一緒ならばちょっとした会話と適度な沈黙で時間を潰せるのだが、相手がいないのではしょうがない。

 一定のリズムの振動に揺られながらただぼんやりと時間を潰した。


 楯ヶ丘駅で降り、家へと向かう。

 コンビニで買い食いするのもいいかもしれないが、そうなると妹たちにも"お土産"を買わないと「兄さんだけズルい」と文句を言われてしまう。

 ただでさえ年が6歳離れているせいで少し隔たりを感じる妹との仲を悪化させたくはない。

 そういった思いから俺は"お土産"を買えない時は買い食いなどをしないようにしている。

 現在、俺の財布には自分の分がギリギリといった程度しか入っていない。

 それに大してお腹が空いているというわけでもないのでわざわざ寄る必要もなかった。


 俺が家の前に着くと、ちょうど(くだん)の妹、(あや)が出てきた。


「た、ただいま絢。これから友達と遊びに行くのか?」


「う、うん…」


「そうか、遅くならないようにな」


「は、はい…」


 ぎこちない笑顔で話しかける俺と目を合わせないようにしながら応える絢。

 これが俺と6歳年下の妹である絢との関係だ。

 俺が道を譲って「気をつけてな」というと絢は無言で走って行った。

 姿が見えなくなったところでため息をつく。


劉也(りゅうや)、あんたまだ絢と仲良くできないの?」


 俺のため息と絢が出かけたタイミングから察したのか、それとも先ほどのやり取りを見ていたのか、母さんが呆れたように話しかけてきた。


「俺も仲良く…というか、もう少し普通の兄妹っぽくしたいんだけどさ…。なかなかわからないんだよ」


「もう11年も一緒に暮らしてるのに?」


「だって絢の面倒見てるのって大体は母さんか優佳だろ?」


「まぁそうだけどさあ…。それにしてもなんとかならないの?」


「なんとかっていわれてもなぁ…」


「結婚したいって言わせろ、とまでは言わないからもうちょっと頑張ってみてよ」


「…わかった」


「よし! じゃあおかえり」


「ただいま」


 そんなやり取りをしてから家に入る。

 いつもならそのまま自室に行って宿題かたずけたり、リビングでテレビを見て夕飯までの時間を潰すのだが、今日は家事を手伝うことにした。

 なんとなくそうしたかったんだ。


 風呂掃除が終わって、そろそろ夕飯の準備だろうしリビングで待ってようかと思っていると玄関から「ただいま」という声が2つ聞こえてきた。

 風呂場から「おかえり」と返しお湯を張っていると、脱衣所から「兄さん今入ってるの?」と声が聞こてきた。

 「いや、風呂掃除してただけ」と応えてから風呂場を出ると優佳(ゆか)と土に汚れた絢がいた。


「絢、どうしたんだ?」


「………」


「…優佳、知ってるか?」


「友達と公園で遊んでる時に転んじゃったみたい」


「そうか…もう少しでお湯も溜まるから先に入りな」


「は、はい…」


「お姉ちゃんと一緒に入ろうね、絢?」


「うん!」


「ありがとね、兄さん」


「ははは…仲が良いみたいで何よりだ。じゃあ俺はリビングに行くから」


「うん…絢も兄さんにお礼は?」


「あの…ありがとう、ございます」


「うん、どういたしまして」


「……絢、兄妹なんだからそこは『ありがとう』だけでいいんだよ?」


「う、うん…でも……なんでもない」


 俺と優佳は苦笑を浮かべる。

 絢と仲が良い優佳が助け舟を出してくれたが、やはり俺と絢の関係を改善するのはまだ無理そうだ。


「夕飯できたら声かけに来た方が良いか?」


「え、兄さん私たちの裸に興味あるの!?」


「ねぇよ」


「それはそれで傷つくな〜」


「自業自得だろ」


 こうやって冗談をいったりできるところまでは求めないが、せめてお互いの目を見て話せる程度にはなりたい。

 優佳ともこんなやり取りは滅多にしないのだが、絢の前だと気を使ってくれているのか、くだらない冗談にも付き合ってくれる。

 俺には出来過ぎた妹だと常々思っている。

 そんなやり取りを見ても絢と俺の関係は一向に変わらないのだから困ってしまう。


「…まぁリビングから声かけるから、聞こえたら返事してくれ」


「うん、わかった」


 一瞬、絢からの視線を感じて目を向けたのだが、それと同時に目をそらされてしまった。

 優佳に「あんまり長風呂するなよ」と言ってからリビングに向かった。


 夕食後、俺は部屋に戻って宿題をやっていた。

 いつもはリビングでテレビを見ながら父さんのおつまみを一緒に食べるのだが、今日はまだ終わっていなかったのだからしょうがない。

 黙々と片付けていき、あと少しで終わるというところで携帯にメールが届いた。

 アドレスは…知らないものだな。

 誰かがアドレスを変えたのかそれともスパムかと思って開いてみると…


『劉也くん、待っててね』


とだけ。


 俺の名前を知っているということは知り合いなのだろうが、差出人の名前がどこにもない。

 それに待っててねという意味がわからない。

 気味が悪かったので消そうとした時、アドレスに目がいった。



  "Iloveyou,ryuya-suzuka@−−"

すみません間違えてそのまま投稿しちゃいました…orz

次話以降はちゃんと予約投稿しましたので、水曜の0時に投稿されていくと思います(ストックの許す限り←)


(2015/10/07 12:49 追記)

途中から3ルートくらいに分岐させるので、分岐点以降の投稿開始まで結構時間がかかってしまうと思います

それにともなう登場人物やそこまでの設定などに変更はありません

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