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君のために出来ること。  作者: 桃色 ぴんく。
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新しい名前

 シルクに人間になった時の名前を考えて欲しいと言われた拓斗は、暇さえあればずっと考えていた。結婚して自分の子供に名付けるのとはまた違う感覚。重大な役割だ。ふざけて変な名前つけちゃったら絶対後悔するし、シルクに申し訳ない。彼女のイメージにぴったり合う名前を付けてあげたい。


「ああ~犬とか猫とかなら簡単やのにな~」

 なかなかいい名前が思い付かない。シルクは、俺の呼びやすいのでいいよ、って言ってくれたけど・・・もうすっかり「シルク」って呼び慣れてるし。そのまま名前変えないのはやっぱあかんのやろなぁ。


 シルクと言えば、絹・・・絹子とか絹代とか、ちょっと違うなぁ。

出会った日に、雪がちらついてたから雪とか雪美とか・・・アイスみたいな名前やからあかんか。

だいたい、あんな綺麗な外人みたいな顔立ちに古風な名前は似合わないか。


「あ・・・」

 拓斗はふと思った。人間になるっていうても、俺と同じ日本人になるとは限らんのちゃうんか?容姿的にどっちかっていうと外人やん。ハーフタレントみたいな名前にした方がいいんかな・・・


「タクと同じ人種になると思うよ」

 突然、シルクがタクの元に現れた。鏡をすり抜けてやってきたのだ。

「あ、シルク。へえ、そうなんや?」

「私にもわからないけど、きっとパートナーと同じ人種になるような気がする」

「じゃあ日本人の名前で考えてみるけど・・・」


「万が一、外人っぽい容姿やのにめっちゃ日本人っぽい名前になっちゃったら、ごめんな」

「うふふ。私はいいよ。タクに全て任せてるんだもん」

「ありがとな。もう少し考える。あと2日しかないんやし」



    あ・・・



 拓斗はあることに気付いた。シルクと愛を誓って一生一緒にいるってことは、『結婚』ってことやん。シルクを救うために自分に出来ることをしてあげたいと思っていたが、そうか、結婚と同じことになるんや。


「俺、まだ大学生や」


 シルクが無事に人間になれたとしても、学生結婚となると両親が反対するやろな・・・シルクの名前を考えてばっかりで、そんな大事なことを思いもしなかった。あと2日しかないやん・・・


さて、どうしよか?

親不孝覚悟で大学辞めて働くか、とりあえず何か事情を作って家にシルクを住まわせて卒業してから結婚するか。


 俺の中の「シルクを救いたい」気持ちに嘘はなかった。シルクを王位継承から回避させ、自分と一緒に過ごしていくことが一番優先すべきことだ。


 満月の日まで、あと2日。シルクの新しい名前も、親に話す理由も、ギリギリまで考えてみよう。一番、傷付く人が少ない方法で・・・。



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