表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君のために出来ること。  作者: 桃色 ぴんく。
5/44

人間になるための条件

 拓斗は、シルクと向かい合って座っていた。いよいよ、シルクが人間になる方法を聞く日が来たのだ。


「なんか緊張するなぁ」

「・・・じゃあ、話すね」


天使が人間になるために必要なものは・・・


①満月の夜

②神秘の水

③羽切りの剣

④永遠の愛を誓うパートナー

⑤人間になるための名前


「神秘の水と羽切りの剣はローザ王女から受け取ったわ」

「羽切りの剣って・・・羽を切るってことか。・・・俺が???」

「そうよ、タク。あなたしかいない」

「・・・野菜すら切ったことないんやけど・・・出来るやろか」


 シルクから聞いた、天使が人間になるためにすることは次のとおりだった。

まず儀式を行うのは満月の夜。月明かりが充分に照らされている場所で、天使を立たせ、パートナーと愛を誓い、神秘の水を飲ませる。神秘の水を飲んで、天使の体が虹色に輝いている間に、羽切り剣で羽を切り落とす。その直後、愛を誓ったパートナーは天使の体が落ち着くまでしっかりと抱きしめる。人間の姿になった天使は、人間になるための名前を呼ばれることで、目覚める。目覚めたら、もう人間になっている。


「なるほど。次の満月っていつなん?」

「3日後よ」

「すぐやな。名前はどうしようか?」

「タクが決めて。呼びやすいのでいいよ」

「わかった。ちょっと考えてみるよ」


 その時、シルクが、少し不安そうな顔を見せた。

「ん?どうしたん?」

「タク・・・」


「私、人間になったら、天使だった時のことはもう覚えていられないの。神秘の水を飲んだら、体の中の天使の能力が消されてしまうから」

「そうか。もういいやん。人間になったら人間の能力でいこや」

「もうタクのこと守ってあげられない」

「何言うてるんや。今度は俺がシルクを守ってやるから、そんな心配すんな」

「ありがとう・・・それと・・・念のため・・・」

「ん?なんや?」


 シルクが拓斗の目を見つめる。

「タクには、天使の私の記憶はそのまま残るの。人間は、忘却の生き物だから、わざわざ記憶を消さなくてもいいんだって」

「え、なんかバカにされてるような・・・んなもん、シルクが天使だったことを忘れるわけないやん。あんなに衝撃的な出会いと魅力的なシルクやのに」

「それから・・・永遠の愛を誓ったパートナーが裏切ると・・・私は消えてしまう」

「消える?またローザ王女に消されるのか?」

「ううん。儀式をして人間になった天使は、愛を誓ったパートナーに必要とされるからこそ人間になれるの。だから、その相手が他の人を愛すると、もう必要じゃなくなるから・・・」

「大丈夫や!俺はずっとシルクを愛し続けるから!」

「タク・・・」

 拓斗はシルクの唇にそっと口づけた。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ