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君のために出来ること。  作者: 桃色 ぴんく。
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確信

 那須は、木原家にお邪魔していた。少し前に拓斗と約束して、今日やってきたのだ。

「それにしても、ミィちゃん可愛いな~」

 那須は猫好きのようだった。

「そういえば、ナスん家、猫おるよな」

「ああ、今3匹かな」

「え、そんなにおるんか」

「そやけど、こんな豪華なキャットタワーすごいな。拓斗奮発したな」

「ああ、これは俺が買ったんやないねん」

「そうなん?あ、わかった!拓斗のオカンやろ」

「オカンやないで」

 俺と那須の会話を聞いた雫が言いにくそうに言った。

「あの・・・喫茶店の常連のお客様が買ってくれたの」

「ええ???そうなん???えらい高価なもん買ってくれたんやなー」

「結構です、って言ったんだけど・・・」

「そっかそっか~。まぁミィちゃんが楽しそうやからええんちゃうか」

「まぁな」 

 那須はそれ以上聞くのをやめた。常連客のことを言いにくそうに話す雫の姿を見て、やはり何かあると確信したからだ。





「那須君、晩御飯食べてってね」

「あ、やった~!俺、雫ちゃんの料理食べてみたいって思っててん」

「え?そうなの?」

 テーブルに料理を運ぶ雫を見ながら那須が話しかける。

「俺な、何回か拓斗の会社行ってな、雫ちゃんの作ったお弁当見たことあるねん」

「あら、そうなの?」

「そそ。それでな、拓斗が美味しそうに食べるから、『一口くれや』て言うてんのに、『雫が俺のために作ってくれた弁当やからあかん』って言って食べさせてくれへんねん。ケチやろ」

「タクったら・・・ありがと」

 那須の話を聞いた雫が、嬉しくて拓斗にお礼を言ったが、その時の拓斗が変な顔をしたのを那須は見逃さなかった。そうだよな、お前は俺には一口も食べさせてくれなかった弁当を、あの川崎とかいう美人の先輩に食べさせてたんだもんな。那須はそんなことを思いながら拓斗の顔を見る。

「なんや、怖い顔やな。そんなに雫の作った弁当食べたかったんか」

 那須に定食屋の出来事を見られてたとは知らずに拓斗が返してくる。那須は一瞬カチンときて、今、ここで全部話してやろうか!とも思ったけど、そんなことをすればこの2人の関係がおかしくなる。とりあえず、ここはグッと我慢だ。





「おおお~、うまそー!」

 那須は、テーブルの上に並んだ、チキン南蛮、ナスの煮浸し、柚子の香りがする茶碗蒸しに興奮した。

「雫ちゃんは料理上手でいいな」

「タクのために頑張って覚えたのよ」

「食べる前やけど・・・ごちそうさまっ」

 こういう場面では、この2人はとても仲がいいラブラブな夫婦にしか見えないんやけどな。雫の作った美味しい料理を食べながらも、那須は二人の様子を伺っていた。

「そういえば、那須君、結婚考えてるんだって?」

 雫が那須に話しかける。そういえば、こないだ拓斗の会社に行った時にそういう話にして、今日ここに来たんだっけ。那須は思い出し、答えた。

「そうそう。でも、まぁまだすぐじゃないから、大まかなことだけでいいんやけどね」

「大まかってなんや?」

「式場はどことか住む場所とか・・・ああ、拓斗たちは喫茶店で式挙げたしなぁ」

「そやで。あのサプライスは最高やったな」

「うんうん、私本当にびっくりしたし、嬉しかったよ」

「あ、でも最初は式場で挙げるつもりやったから、ちょっとだけならパンフレットあるで」

「そうなん?ほな、それだけもらっていくわ。もうそれで今日はええわ」

「なんやそれ。結局雫の手料理食べに来ただけかい」

「あはは。そうなるな。しっかし、ほんまにうまいわ」

「ありがとう。いつでも食べに来てね」

「えっ、そらあかんがな。ナス、今日だけ特別やぞ」

「わかってるわ。拓斗もちゃんと感謝して食べろよ!弁当もな!」

 思わず皮肉みたいに言ってしまう。が、拓斗は特に気にする様子もなかった。そして、晩御飯をたらふく食べた後は、コーヒーを飲んで、また少し話をしたりして時を過ごした。





 那須が帰る時、拓斗がマンションの下まで一緒に降りてきた。

「なぁ、ナス」

 那須の背中に話しかける拓斗。

「なんや?」

「あの・・・キャットタワーって1万7千円ぐらいのもんや、って雫が言うてたんやけどな、プレゼントでもらったのに値段はっきりわかるっておかしくないか?」

「プレゼントしてもらったんか?」

「雫も、さっきお客様に買ってもらったって言うてたやろ」

 那須の頭の中で、京子の話と拓斗の話が結びついた。ああ、そうか。拓斗は『買ってもらった=プレゼント』やと思ってるみたいやが、京子が目撃した話では、雫ちゃんが客に手を掴まれてどこか連れて行かれた、って言うてたし『買ってもらった=一緒に行って買い物』ってことやったんや。なるほどな・・・

「値段なんてネットとかでも調べられるし、別にプレゼントでも値段聞かれれば答えるんちゃうか」

「そうかなぁ・・・ま、そういうこともあるか」

 とりあえず、雫ちゃんがその客と一緒に買い物に行ったってことは、拓斗には言わないでおこう。そう決めた那須だった。

「ほな、今日はおおきにな!また突然拓斗の会社行くかもやから、ちゃんとおってな!」

「ああ、あはは。わかった!ほな!」

 こうして、那須は木原家を後にしたのだった。

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