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君のために出来ること。  作者: 桃色 ぴんく。
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テーマとイメージ

 草野京子は考えていた。高校時代の同級生の那須君から頼まれた、木原君のお嫁さんのドレス。木原君からドレスのテーマは聞いているけど、お嫁さんになる雫さんのことを知らないのでイメージがいまいち浮かばない。

 身長は158センチ、髪は長い黒髪、整った顔立ちをしているらしいが、それだけじゃわからない。写真すらないのだ。

「あの木原君が結婚かぁ・・・」

 京子は高校時代を思い返していた。確か、木原君は中学生の時から明日美あすみと付き合ってたんだよね。何年もずっと一緒だったから、あの二人は絶対結婚すると思ってた。けど、こないだ明日美を街で見かけた時、違う男の人と一緒にいたから、もしかして木原君とは終わったのかな・・・とも思っていた。学生時代の恋から結婚になる場合ももちろんあるけど、2人はうまくいかなかったんだ。



「木原君はきっと覚えてないだろうな・・・」

 高校1年の時、拓斗の隣の席だった京子が、授業で当てられて答えようとしたのだが、あがり症の京子は声を出すのに少し時間がかかってしまった時、拓斗が小声で『慌てんな、落ち着けよ』と言った後に、大声で京子の代わりに答えかけ、『え?え?俺ちゃうかったんか~。失礼しやんしたっ』と、おどけて言ったもんだから、クラスで笑い声が起きて、京子も一緒に笑った。そのおかげでリラックスして答えることが出来たことを、京子はずっと拓斗に感謝していた。

 そのことがきっかけで、拓斗のことを少し意識したが、いつも隣には明日美がいて、2人がお似合いだったから、それ以上の感情は持たないように心に決めたのだった。

 そんな淡い想い出の相手、拓斗が結婚することになり、ドレスを作って欲しいと頼まれた。これは、きっと何かの縁だわ。あの時のお返しになるかわからないけど、雫さんに似合うドレスを作ってあげたい。京子はそう思っていた。




「ここだよね・・・」

 京子は、那須に雫の居場所を聞いた。やはり、本人を見ないとドレスが作れない。昼休みを利用して、雫の働く喫茶店にやってきたのだった。

「いらっしゃいませ」

 窓際の席に京子は座った。お昼時だけどここの店はゆったりとした雰囲気があった。そこそこ客も入っているが店内のイメージがとても落ち着いている。

「いらっしゃいませ」

 京子の前にお水の入ったグラスが置かれる。顔を上げて見ると、長い黒髪を後ろで一つにまとめた清楚な女性が立っていた。この人が雫さんだわ・・・綺麗な人・・・

「ご注文はお決まりですか」

「えっと・・・おすすめのランチとかありますか?よくわからなくて」

「はい。本日はこちらのランチセットになっております。メインをお肉かお魚、お選びできます」

「あ、じゃあ・・・お肉のセットでお願いします」

「かしこまりました。ドリンクもついていますが、何になさいますか?」

「あ、アイスコーヒーで。食事と一緒に持ってきてください」

「かしこまりました。失礼いたします」

 雫らしき女性店員が頭を下げ、キッチンの方へ歩いて行く。京子は注文しながらずっと雫の顔や背格好、体付きなどを見ていた。細かいサイズはわからなくても調整しやすいデザインにすれば着れるだろう。後はテーマに合ったドレスを作ること。料理を待っている間も、京子は雫を目で追って自分の中でイメージを膨らませていた。




 仕事を終え、家に帰った京子は、昼間に見た雫の姿を思い出していた。木原君の希望しているテーマにピッタリ合いそうな人だったなぁ・・・。定番な感じなのもいいけど、どうせなら私らしく個性を出して仕上げたい。ドレスは白で、ブーケや小物は柔らかいピンク系にしようかなぁ。

「よし!見えてきた!」

 京子はドレス作りを開始した。絶対木原君と雫さんに喜んでもらうんだ。まだまだ趣味の域だけど、ドレス作りは本当に楽しい。京子の作業は夜遅くまで続いたのだった。


 

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