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7頁:事実の中の決断

記憶の中の霧島・霧香は視界の先、黒の力に撃たれる室月・総志の姿を見た…

そして、その記憶を覗く総志本人も自分の倒れ行く様を見つめるしかなかった。

記憶の中の自分は何が起こったのかすら判らない…といった表情をしている。そして、倒れると共にその瞳が閉じられた…

視界が一気に回る、そう元凶である黒の魔法使いへと…

(貴様ぁぁぁっ!)

視界の先、男は口元に不敵な笑みを浮かべ怒りの瞳を向ける霧島を見ていた。

男は、倒れ堕ちた総志に目を向け笑みを崩さず口を開いた。

(正攻法では逃げ切れんのでな…なに、保険というやつさ。)

(随分と用意が良い様ね…あんなに躍起になっていたのに、元々そういうつもりだったのね…)

男の態度の急変に、霧島はその真意に気づいたようだった。淡々とした霧島の口調だがその中には確実に怒気が含まれていた。

(ふ…そう今回は様子見、この程度の下準備ではその首捕りきれんからな。)

そう答えると、男は指を弾く、すると足元に陣が展開する。

(ふふふ…次を楽しみにしているぞ真紅の魔女よ)

(逃がさないって言ったでしょう!!)

言葉より早く霧島は男に向け焔の矢を放つ、しかし相手の転移が一瞬早く矢は地面に刺さり霧散した…

(ここまで、読めなかったなんて…くそっ!)

逃がした事実に唇を噛む。しかし、霧島は今優先すべき事柄へ足を向けた。

視線の先には、自分室月・総志の身体…かろうじて息遣いが見られるが動く気配が無い。

薄く力のない瞳は、霧島を見つめている…

霧島の口から漏れたのは、謝罪だった。

(……ごめんなさい、巻き込んでしまって…止められなくて、ごめんなさい…)

反応は無い。

(そして、これから行う事も…ごめんなさい)

これは…きっと…

(「アナタのすべてを変えてしまうかもしれない……その事を……許して」)

過去と現在の声が重なる。

霧島は、魔法書を呼び出すとページを切り取り横たわる総志の身体へと乗せ、詞を紡ぐ

(この者の肉体と魂に繋がる存在よ我が紙片を糧として、ここに出でよ…)

すると、少しの光と共に総志の胸の上に魔法書が姿を表した…霧島は魔法書を開き

(書に宿りし者よ、我の前に姿を現せ…)

と、唱えると魔法書から小さな影が現れた。吹けば消えてしまいそうな、小さな…しかし、確かな存在感を持つ影に霧島は語りかけた。

(突然呼び出してごめんなさい、あなたの主人でもないのにね…でも、急を要する事態なの…)

語りかけに、影は分かっていると言わんばかりにその身を震わせた

(そう…分かってるのね…なら、早いわね…今から私の魔力を糧としてあなたと彼を仮に契約させるわ、あなたは契約後すぐに魔力を使って彼の傷を塞ぎ治癒力を最大まで上げて…ただ…)

そこまで話すと霧島は顔を伏せ…

(その先は賭よ…仮契約の期間は2ヶ月…私の魔力を付加してても、その間に目が覚めなければ…)死が待っている、と、力なく語りかけた…

しかし

(…だから、あなたも呼びかけて…あなたと共に生きる人を!)

と、力強く伝え…

(魔法書よ…汝の魂が繋がりし存在との契約を我が魔力の下に行え…)

唱え契約を行った。魔法書は契約が完了すると、再び総志の中へと沈んで行った。

霧島は沈む魔法書を見送ると、安堵の息を付いた。そして、総志の顔を窺い

(これで一安心か……ごめんなさい、巻き込んでしまって…そして、どうか無事目を覚ましてね…)声をかけると、霧島は炎と共に消えてしまった…

そして、同時に記憶の再生が終わったのか周囲が光に包まれると、総志は何も無い空間に立っていた。

「あれが…俺が傷を負った理由…か…」

頭の中で今見た事実を確認するように呟く…自分は知らぬ間に利用され、知らぬ間に助けられ、やっと事実を知った…

「どうするかは…自分次第…か…」

自問に対し答えは現れた霧島から来た

「そぅ、後はあなた次第よ……あなたはまだ知ったばかり、全てを忘れ生きていけるし、望ならあの魔術師を追う事も…」

でも、

「巻き込んでしまってだけど、私としては、忘れて欲しい…これは、私の戦い…呪われた血の争いなの……だから…」

貴方には関係ない…と続けた。

顔を伏せ、魔術師と自分自身への怒りを滲ませながら…

……

……

……

総志は、見る…彼女の表情を思いを…そして………決めた

「……ん~…じゃ、追うか…」

「うん、そうね…そうしてくれる………………って…え?追う?」

「あぁ…追うさ…」

霧島はしばし唖然としていた、そして…我に返ると

「ちょっと、あたしの話し聞いてた?それに追うって言ったって簡単な事じゃないし、生き方そのものが変わるのよ!分かって…」

そこまで言うと総志が口を挟んだ。

「分かってるさ…さっきの記憶を見ればね…でも、俺にだって意地がある、やられっぱなしじゃいられないさ…」

それに…

「一人より、二人の方が良いだろ…君のそんな顔見たくないしね…」

笑顔で返すと、霧島は顔を赤くし向こうを向いてしまった。

「………ばか……」

聞こえた声には、呆れと喜びが混じっていた…

「あぁ、ばか…だな…だから…これからよろしく頼む」

笑顔で手を出すと

「………はぁ…まったくしょうがない…いいわ、おばかさん…よろしくね」

やれやれと笑顔で握り返してきた。


知った事実、敵、そして、手に入れた事実、仲間……きっと、これから忙しくなるな…

その思いと共に総志は現実へと意識を戻していった…

すみません、すみません!ごめんなさい!気づけばバカみたいに時間がたってしまいました。

就職してから全く手が着きませんでした…(泣)

やっと落ち着いたのでちょくちょく頑張りたいと思います。

読んで下さった方深くお礼申し上げます。

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