令和の中ボスの嘆き
おう、兄ちゃん、ちょっと聞いてくれよ。
えっ、面倒そうなやつが来たってか?
まぁ、そう言わないで聞いてくれよ。
兄ちゃんも知っているだろう?昭和の中ボスの話。
ゴーレムさんとか、ハンマーヘッドさんとか。
結構有名なんだけど、知らんか?
あの人たちって中ボスが如何に楽なのか、それはもう毎回のように語るのよ。
えっ、どんな風に楽なのかって?
そりゃ、雑兵共には勇者どもを迎え撃てと言って、
本人は拠点でどっしり構えているだけだものよ。
見栄えは良いよ?
実際、仕事って勇者が拠点に来た時に戦うだけだもの。
雑兵がやられても唾つけていりゃ治るって言うだけだし。
まさに、昭和だから成り立っていたって感じだよ。
「あ、お客さん、今そこは入れませんよ!」
でな、今中ボスになると、
拠点にどっしり構えているだけってことは許されないのよ。
何でってか?
今は昭和ではなく令和だ。
雑兵達に仕事教えないといかんし、
雑兵が怪我したら、労災の手続きやら代わりの人員を探さなきゃいけないし、
暑い、寒いと言われればフィールド環境を調整しないといけないし、
お客が暴れたら賠償請求の書類も作らないといけないし。
「ちょっとそこ! 壁に攻撃魔法を撃ち込まないで!!」
でな、兄ちゃんを見込んでこれを渡しておこう。
えっ?これは何かって?
そこに書いてあるところに連絡くれればよいから。
「そこの客!いい加減にしろ!!! 」
ちょっと警備の人を呼んでくるわ。ちょっと待っててくれ。
あれ?兄ちゃんどこいった?
帰っちまったのか、はぁ。
この職場に来てくれないかね~




