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テアトルムのナレーター  作者: yuruhuwa回路


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33/67

レインの前に現れた影

 冬のラメールに、一人の男が現れた。


 レインが市場の見回りをしていたとき、人混みの中に見知った顔を見た。


 かつての孤児院の主、ドレス・カイムだった。


 別の町の牢にいると上官から聞いていた。なぜここにいる。


 レインは足を止め、そっと距離を保ちながら男を追った。


 ドレスは市場を歩きながら、何かを確認するように周囲を見ていた。孤児院があった方向に向かい、今はレインたちが住む旧建物の前で立ち止まった。


 建物を見ている。


 レインの頭の中で、何かが固まった。


 コルたちがいる。


 走り出しそうになる衝動を、レインは抑えた。衝動で動くと判断が歪む。まず確認してから動く。それが訓練で叩き込まれたことだ。


 任務を一時中断して上官に報告した。上官は「お前が言っていた孤児院の男か」と言い、すぐに人を向かわせた。


 ドレスはその日のうちに身柄を確保された。


 調べてみると、別件で捕まっていたドレスは先月釈放されていた。ラメールに戻ってきた理由は、建物の取り戻しと、子供たちへの「報復」だった。


 上官がレインに言った。


「お前が早めに動いてくれて助かった。独断で追ったことは今回は不問にする」

「はい」

「でも一つ聞く。なぜ衝動を抑えられた」


 レインが少し間を置いた。


「……かつての俺なら、すぐに飛びかかっていたと思います。でも今は、仲間を守るために最善の動き方を考える癖がついたので」


 上官が頷いた。「成長している」


 レインは報告を終えて、旧建物に帰った。


 コルが走り寄ってきた。


「何かあったの? 衛兵がいっぱい来てたけど」

「なんでもない」

「ほんとに?」

「全部終わった」


 コルが「そっか」と言って走り去った。


 レインは扉の前に立って、建物を見上げた。


 この場所を守れた。


 それだけが、今夜の全てだった。


 秀はレインの後ろ姿を、しばらくそのまま見ていた。

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