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なろうラジオ応募作品(1000文字以内短編)

小五の俺と幼稚園の妹。今日からサバイバル。

作者: 江古左だり

『なろうラジオ大賞7』応募作品です。

作中キーワードは「サバイバル」「雨宿り」

1000字。

「サバイバルだ!」


 妹に向かって、高らかに宣言する。


 母さんが入院した。

小五の俺と、幼稚園の妹でなんとか生き延びるんだ。


 朝ごはんは毎日同じ。

レタス、トマト、ウインナー、パン。

飽きたけどしょうがない。お母さんが帰るまでの我慢だ。


 幼稚園のお迎えは俺。

「お世話になりましたぁ!」と言って妹の手を引き帰宅。


 家に入ると冷蔵庫の食料をあっためる。

ラーメン、ピザ、うどん。

電子レンジが大活躍だ。炊飯器のご飯を紙皿に乗っける。今日はレトルトのハンバーグ。


 お母さんの作るカレーが食べたい。豚汁でもいい。唐揚げなら最高。どれも作りたてでホカホカしてるんだ。


 ついに食料が無くなってしまった。


 妹の手を引いてコンビニまで歩く。

手当たり次第にカゴにいれる。現金1万円で足りるかなぁ。頭の中で計算。くそっ。計算苦手だ。


 ドキドキしながらレジに向かうと6830円だった。ホッとする。肉まんを2個追加した。


「にくまん!」


 妹が両手を出したので1個持たせてあげる。俺の両手は買い物袋で埋まっていた。俺の肉まんは我慢だ。


 妹が手招きした。


「なんだよ」


 顔を近づけたら肉まんを口に押し込んできた。

肉と肉汁が口の中で混じり合う。筍も入ってる。


「ん! うまい」

「ンン! ウマイ!」


 二人で笑った。


 突然ほっぺたに水滴が突撃する。

 空を見上げる。真っ黒な雲。


 しまった! 雨だ!


「こっち!」


 慌てて雨宿り。細かい雨が全て埋め尽くす。足元がしめっていく。間一髪だった。


 妹と肩を寄せ合った。両手のビニール袋が重い。


 空気がどんどん冷えていって、震える妹に俺のダウンジャケットをかけてあげた。それでも寒い。妹が肉まん片手にベソをかきだした。


「おにいちゃん……ままいつかえってくるの……」


 下を向いて涙をこぼす妹。俺は上空を睨んだ。


 泣かない。お兄ちゃんだからな。右手をぎゅっと拳にして唇を噛み締める。


「そのうち!」

「そのうちっていつ?」

「そのうちはそのうち!」


 そんな生活も十日が過ぎた。


 いつも通り帰宅して玄関を開けるとカレーの匂いがした。


 あっ! あれは!


 世界一うまいカレーだ。豚肉がいっぱい入っていて、ジャガイモはゴロゴロ。バターで炒めてある。


 靴を脱ぎ散らかして妹が走っていく。人影に飛び込む。そこには世界で一番好きな笑顔があった。妹を抱いてから俺を見る。


 俺は飛び込んだりしない。お兄ちゃんだからな。

玄関で胸を張った。腹の底から声をだした。


「お母さんただいま! お母さん! お帰りなさい!!」

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― 新着の感想 ―
兄ちゃん、頑張った! 頑張ったぞ!
父親出てこないって事は母子家庭なのかな。母方の祖父母とかも頼れないのは亡くなっているのか縁が切れているのか。もしやクズ男に引っかかって反対する親の制止を振り切って結婚して勘当、その後クズ夫の暴力だか浮…
泣けました。 1000文字でこんな物語を作れるのが本当にすごいです。
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