第17話 魔族侵攻の鍵
聖獣であるモフモフとの契約により、アイナの魔法はさらに増強された。モフモフが持っていた結界のスキルは、スターリー一家の冒険者活動を強力にサポートした。
フリードの従魔のシャドも、偵察や斥候、索敵などで活躍した。
スターリー一家は、冒険者パーティとして着実に実力をつけランクアップして行った。
アイナが生まれ育った国の北にあるノルデア王国の王立図書館。
スターリー家の親戚が移り住んだ国だ。住んでいるのは、父の再従姉妹の一家でノルデア王国の男爵家に嫁いでいた。父がかつて勇者パーティの一員として、魔族と戦っていた時に、父が再従姉妹の配偶者となった男性を助けたことがあり、スターリー一家は快く、迎えられた。その男爵家の伝手と金級冒険者パーティというステータスにより、王立図書館への入館が許可された。
調べたかったのは、父が勇者パーティ時代に魔族と戦っていた頃の魔族の情報だ。
父の記憶では、最終的にはダンジョンの奥底に魔族の魔力の供給源となっていた龍晶
石と呼ばれるものを破壊したのだという。それにより魔力を増強できなくなった魔族は弱体化して行った。
魔族が再び力を増すということは、龍晶石と関係があるのではないかと考えた。更に魔王の復活というものにも関わりがあるのか、古文書などに記載がないか確認しに来たのだ。
古文書の文字は読みにくく、解読には時間がかかったが、魔族が一族の血を石に捧げるという儀式の記述を見つけた。更に、龍魔王が、誕生するとき龍晶石を握りしめているという言い伝えの記載があった。古い時代に伝承を聞いたという但し書きがあり、詳細については記載がなかった。
「……お父様達は龍晶石というものを破壊したんですわよね……」
王立図書館で調べた内容を記載したメモを、マリアはじっと見つめながら父に尋ねた。父は頷きながらも難しい表情を浮かべる。
「ああ……、しかし、伝承の記載に書かれた龍魔王の誕生の時に龍晶石を持って生まれるというのが本当だとすると、龍晶石は一つではないのではないかと思えてきた」
「他にも龍晶石が存在するということですか?」
「可能性はある……。魔族はそれを見つけたのではないか……」
マリナはパッと顔を上げて、アイナの方に向けた。
「アイナ、『ゲーム』という物のことで、覚えていない?龍晶石の事や魔族の事……」
「私、そっちは担当じゃなかったの……。でも……」
アイナは必死に記憶を呼び覚まそうとした。確かに魔族の設定はアイナの担当ではなかった。戦闘シーンや策略などが得意な男性チームが担当していたのだ。
それでも、ゲームで勇者やヒロインが魔王を倒すシーンは覚えている。勇者が魔王にとどめを刺し、聖女が祈り、魔王の魔力の残滓とともに封印をした時、年老いた魔族の首領が身につけていたペンダントの赤黒い石が粉々に砕けた。
あのペンダントのデザイン、微妙だと思ってたんだけど……。
赤黒い石の周りを、蛇がウネウネと捻れながら纏わりついているようなデザインのペンダントだった。老人が身につけるには重そうじゃないかとか、妙にゴテゴテしているなとか、口には出さなかったが、内心思っていたのだ。
「……魔族の首領がペンダントを身につけていて、それが関連するかも……」
確証は持てないけど、と付け加えながらアイナは言った。




