バレンタインとおじいさんと先輩
とある公園で私は写真を撮っています。写真を撮っている理由は暇だからではありません。フォトコンテストに出す写真を撮らないといけないからです。
「チョコをちょこっともらいたいな」おじいさんが急に話しかけてきました。
「チョコなんて持っていないですよぅ」
「えっ?だって、今日はバレンタインでしょ?」
「私、友達に全部あげちゃいましたもん」
「そんなー」
「そんなにほしいんですかぁ?」
「うん、うちの女房はくれないからね」
「作ってくれないのですか」
「そうだね」
「では、明日持ってきますよ」
「いや、今日がいいな」
「注文がうるさいですね」
「手作りじゃなくてもいいから」
「この近くにチョコを売ってるところないですよ。駅の構内にならあるかもです」
「よし、暇だし行こうかな。君もね」
「私は暇じゃないですよぅ」
「暇そうじゃないか」
「暇じゃないです。写真を撮らないといけないんですよ!」
「なら、私の写真を撮って、それで終わりだ」
「テーマがあるんです」
「いいから」
私とおじいさんはバスに乗って、とある駅の構内に来た。
「ちょこっと疲れたから。私はここで待つよ」おじいさんはバス停のベンチに座った。バスに乗るわけでもないのにそこに座るのはとても迷惑ではないかと考えたが、本当に今座らなければ地べたにでも座りそうな雰囲気だったので私は見逃した。
「わかりました」私ができるだけ早く、チョコを買って戻ってくればその問題は解決する話だ。
私は駅構内でチョコを売っている店を探した。
「あ!」思わず声が出てしまった。チョコを売っている店を見つけた。しかし、そんなことよりも私の大好きな先輩がその店の前で男の人と一緒にチョコを買っていたのだ。
私の好きな人は見上絵美という女性で、バレー部の部長をしている。好きだというのはlikeではなくloveの方だ。愛している、ということである。写真部の誰かが女子バレー部の写真を撮りたいと言ったため、とある放課後に女子バレー部を見学させてもらったことがある。見上先輩はスタイルが良い。長身で173㎝あるらしく、日本人女性の平均身長より高い。顔は整っていて、とても美しい。私は見上先輩に一目惚れをしたのだ。その日はずっと見上先輩を撮っていた。
時を戻そう。見上先輩と一緒に話している男性は誰なのだろうか?その男性は私服である。見上先輩は制服である。今日は部活がなかったのだろうか?私は今、チョコ屋の隣のアパレルショップにいる。
「チョコは買ったかい」
「うわ!びっくり」
「早くチョコが食べたいよ」おじいさんは急に現れた。
「待つんじゃなかったんですか?」
「うん、体力が回復したからね。チョコを食べたらもっと元気になるよ」
「今はダメなんです。私の好きな人がチョコを買っている最中なんです」
「あの男の人が好きなんだね?」
「違います!」
「えっ!じゃあ、あっちの女の子?」
「そうです!」
「あの子、身長高いね」
「はい!そうなんです」
「君は女の子が好きなんだね?」
「違います!あの先輩が好きなんです!」
「だから、女の子が好きなんだね?」
「違います!性別は大した差ではありません!私はあの人が男性でも好きになっています!」
「ふーん、そうか、確かに誰でも良いわけではないもんな」
「そうです!」
「やばい、先輩がこっち見てる」
「ほんとだ、どうする?逃げる?でも、チョコは欲しいな」
「やぁ、写真部の子だね?」
「そうです!覚えててくれたんですね?」先輩が話かけてきた。
「うん、私の写真、たくさん撮ってくれてありがと!」
「いえいえ!こちらこそ、その節はありがとうございました。ところで隣にいる人は彼氏ですか?」
「あぁ、違うよ。弟だよ。弟がチョコを欲しいって言うから、仕方なく」
「なーんだ、そうだったんですね」
「ところで、こっちも聞くけど、隣にいるおじいさんは君のおじいさんかな?」
「いえ、違います!先ほど公園で出会ったおじいさんです」
「そうなんだ。こんにちは」先輩はおじいさんに挨拶をした。
「こんにちは」おじいさんも挨拶をした。
「あら、あなた、こんなところで何をしているの?」通行人のおばあさんがおじいさんに話しかけてきた。
「おっ。節子」多分、おじいさんの奥さんだ。
私はチョコを買った。
「もし、よければ、5人で写真を撮りませんか?」私はこの出会いが何かの縁だと感じたため、写真を撮りたくなった。写真を撮るためには公園がいいのではないかとおじいさんが提案したため、公園で撮ることにした。5人ともこの後の予定はないらしい。そのため、私を含め5人は公園に戻り、写真を撮った。そのあと、私はおじいさんにチョコをプレゼントした。おじいさんは喜んで、奥さんと帰っていった。先輩の弟は子どもが好きらしく、サッカーをしていた子供たちと一緒に遊んでいた。私と先輩は公園のベンチに座っていた。
「先輩、お話があります!」私は先輩に私の思いを伝えた。
終わり