第47話 封印の間再び
王城の廊下を全速力で駆け抜ける。エリスが隣を走り、後ろからはグレイ団長が続く。
「封印の間に侵入者って、本当に黒装束の連中なのか?」
「まだ確定ではないが、王城内で動ける者は限られている。奴らの可能性は高い」
グレイ団長の声には焦りがにじんでいた。
「勇者様、私たちが封印の間に着く前に封印が破られたら……?」
「その時は、何としてでも食い止めるしかねぇだろ」
俺は剣を握りしめた。
封印の間に着いた時、すでに騎士たちが何人も倒れていた。
「くそっ、間に合わなかったか……!」
部屋の奥には黒装束の男が三人。中央の男は何かの呪文を唱えていた。
「勇者か……」
一人がこちらを振り返る。
「お前たち、もう封印を破るつもりか?」
「違う。我々は鍵を求めているだけだ」
「鍵……?」
男は俺をまっすぐ見つめた。
「そう、お前のことだ。勇者、鍵の者よ」
「……やっぱり、俺が封印を開けられるってことか?」
男は微笑を浮かべる。
「答えはお前自身が知ることになる。だが、その前に試させてもらおう」
その瞬間、男の手から黒い光が放たれた。
「勇者様!」
エリスが防御魔法を展開するが、光はそれを突き破ってくる。
「くっ!」
俺は剣を構え、光を斬り払った。
「ほう……やはり剣聖の力を持つ者か」
「お前らが俺の力をどこまで知ってるか知らねぇが、簡単にやられるつもりはねぇぞ」
「ふふ、では見せてもらおうか」
黒装束の男たちは一斉に武器を構えた。
「グレイ団長、エリス! 俺が中央の奴を止めるから、残りの二人は頼んだ!」
「了解!」
「任せてください!」
戦闘が始まる。
俺は中央の男と激しく斬り合った。
「ほう……剣の扱いはなかなかのものだな」
「お前もな」
男は短剣を二本使い、俺の攻撃を巧みに避けながら反撃してくる。
「だが、お前はまだ知らない。封印の本当の意味を」
「封印の意味……?」
男は俺の剣を弾きながら続ける。
「封印されているのは“破滅をもたらす者”だけではない。世界を救う力もそこに眠っているのだ」
「……どういう意味だ?」
「自分で確かめることだな」
男は突然、後退した。
「撤退する!」
黒装束の男たちは何かを投げ、それが閃光を発した。
「くっ!」
目がくらむ。次に見えた時には、奴らはすでに姿を消していた。
「……逃げられたか」
「勇者様、大丈夫ですか?」
エリスが駆け寄ってくる。
「なんとか、な」
グレイ団長が周囲を確認し、ため息をつく。
「封印は……無事か?」
俺たちは封印の間の奥へと進んだ。
封印の扉はまだ閉じられていた。しかし、扉には新たな紋様が浮かび上がっていた。
「これは……?」
エリスが驚いた声を上げる。
「何かの魔法陣のようですが、詳細は不明です」
「……まさか、封印が弱まったとか?」
「可能性はある」
俺は扉に手をかざした。すると、扉が微かに震えた。
「……鍵の者よ、選択の時が来る」
不思議な声が頭の中に響いた。
「またかよ……」
「勇者様、どうしました?」
「いや……」
俺は扉から手を離した。
「……このままじゃ済まねぇな」
黒装束の奴らの狙い、封印の奥にある“力”、そして俺自身の役割――
まだ何もかもがわからないが、これ以上は放っておけない。
「王に報告しよう」
俺たちは封印の間を後にした。




