表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚ラノベに否定的な俺が、召喚されたので逃げることを考える  作者: のほほん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/48

第4話: 「王宮の影と初めての任務」

「神崎勇斗様、至急、謁見の間へお越しください」


朝の訓練を終えたばかりの俺の元に、騎士が突然現れた。謁見の間? 嫌な予感しかしない。


(まさか、王女に何かバレたか? それとも、いよいよ俺を戦場に送り込むつもりか?)


逃げる手立てもなく、俺は仕方なく謁見の間へと向かった。豪華な部屋に入ると、玉座に座る王とその側近たち、そしてエリス王女の姿があった。


「お呼びとのことで……何でしょうか?」


俺がそう尋ねると、王は厳かな口調で切り出した。


「勇者よ、そなたに初めての任務を与えたい。王国の北にある村で魔物の被害が報告されている。そなたにはこれを調査し、村を救うために力を貸してほしい」


「え……」


いきなりの展開に俺は言葉を失う。


「いや、その……まだ訓練中で未熟ですし、騎士団の方々の方が適任かと……」

「訓練を通じて、そなたの成長は我々も確認している。だからこそ、この小規模な任務から始めてほしいのだ」


王は俺の言い訳を一蹴する。周囲の貴族や騎士たちも頷いており、断る余地がない空気だった。


「……わかりました」


仕方なく了承すると、王は満足げに微笑んだ。


「エリスも同行する。王女としてそなたを補佐しつつ、村の状況を見極めてくれるだろう」


「えっ、王女様も?」


俺は驚きの声を上げた。エリスは淡々とした表情で頷く。


「はい。村の救済は王族としての重要な務めです。勇者様、よろしくお願いしますね」


(おいおい、本当に俺を逃がす気ねぇな……)



---


その日の午後、俺とエリス、それに騎士団数名の小隊で北の村へ向けて出発した。道中、エリスが俺に話しかけてくる。


「勇者様、初めての任務ですが、緊張していますか?」

「まぁ、多少は……」


適当にごまかす俺を、エリスはじっと見つめる。


「大丈夫です。私は、勇者様にはきっとやれる力があると信じています」

「……そっすか」


適当な返事をしつつ、俺の頭の中は別のことでいっぱいだった。この村への任務が終わった後、どうやって王都に戻らずに逃げ出すか──そればかりを考えていた。



---


村に到着すると、予想以上に悲惨な光景が広がっていた。家々は破壊され、農地は荒らされ、村人たちは不安げに震えている。


「勇者様、どうかお助けください!」


村長らしき老人が必死の形相で俺にすがりついてくる。


「どんな魔物が出たんです?」


俺が聞くと、老人は震える声で答えた。


「森の奥から、巨大なオオカミの群れが現れたのです。普段はここまで来ないのに、最近は村を襲うようになり、家畜も多く奪われました……」


「なるほど……」


俺は適当に相槌を打ちながら、内心でうんざりしていた。


(クソ、なんで俺がこんな面倒なことに巻き込まれなきゃならねぇんだ)


だが、ここで逃げるわけにはいかない。村の外に出るための金や物資を手に入れるには、この任務を適当にこなして報酬を得るしかない。


「……まぁ、やるだけやってみます」


俺がそう答えると、村人たちは安堵の表情を浮かべた。エリスも微笑みながら頷く。



---


その夜、俺たちは村の近くで野営を張り、オオカミの襲撃に備えることになった。騎士たちが周囲を警戒する中、俺は一人焚き火のそばに座り、剣を磨くフリをしていた。


「勇者様、少しよろしいですか?」


突然エリスが隣に座ってきた。


「どうしたんです?」


「あなた、本当に『異世界の勇者』なのですか?」


その問いに、俺は思わず息を飲んだ。


「な、なんでそんなこと聞くんです?」

「直感です。あなたの目には、何か違うものを感じます。まるでここにいるべきではない人のような……」


彼女の言葉に、俺は心臓がドキドキするのを感じた。


「まぁ……正直、俺もよくわかんねぇよ。召喚されたと思ったら、こんな世界にいたしさ」


適当にごまかすと、エリスはそれ以上追及せず、微笑んで立ち去った。


(危ねぇ……)


彼女の直感が鋭いことを改めて痛感した俺は、早く逃げる準備を整えなければと決意を新たにするのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ