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異世界召喚ラノベに否定的な俺が、召喚されたので逃げることを考える  作者: のほほん


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第34話: 「運命に抗う者たち」

図書館の奥深くで書物を調べ続けていた俺たちは、いくつかの断片的な情報を得ることができたが、肝心な部分はまだ霧の中だった。エリスは一冊の古い書物を手に取りながら、真剣な表情で考え込んでいる。


「どうだ? 何か分かったか?」

俺が尋ねると、エリスはゆっくりと頷いた。


「一つ興味深い記述を見つけました。この世界の封印術についての説明なのですが……『封印が完全に解かれる時、選ばれし鍵は、封印の力を使い世界の再構築を選ぶか、それとも破壊の道を選ぶか、その決断を迫られる』とあります」


「再構築か破壊か……なんだその二択は。どっちにしても、俺がそんなことを選べる立場にいるわけじゃないだろ」


「ですが、勇者様が召喚された理由がこれに繋がっている可能性が高いです。この記述を見る限り、勇者様はただの戦士としてではなく、この世界の命運を握る存在として召喚されたのでしょう」


「そんな大事なこと、最初に説明してくれよな!」

俺は苛立ちを隠せずに叫んだ。

「帰りたいだけの俺を、世界の鍵だの選択だのって……勝手にもほどがあるだろ!」


エリスは少し困ったように微笑んだ。

「それでも、勇者様がここにいてくださることが、この世界にとって救いです」


「救いなんかじゃない。俺はただ、この面倒ごとから逃げ出したいだけだ」

俺は背を向け、本棚を見上げた。

「けど、逃げたところで帰れないって分かってるから、こうして付き合ってるだけだ」


「その気持ちは十分理解しています。でも、今は前に進むしかありません」


その時、図書館の入り口で騎士の一人が駆け込んできた。


「勇者様、エリス様! 王城の門に黒装束の者たちが現れました! ただ、攻撃はしていません。話があると言っています!」


「またか……俺たちを試すような真似ばっかりしやがって」

俺は剣を腰に掛け直し、立ち上がった。

「話がある、ね。それで、どんな罠を仕掛けてくるつもりなんだか」


「直接対話は危険ですが、彼らの目的を知るチャンスでもあります。どうしますか?」

エリスが慎重に尋ねてくる。


「行くしかないだろ。これ以上、奴らに好き勝手させるわけにはいかねぇ」


王城の門前に立つと、黒装束の男が数人の部下を引き連れて待っていた。俺とエリスが近づくと、奴らのリーダー格らしき男が静かに口を開いた。


「待っていましたよ、勇者様。そして、その補佐官も」


「俺たちに話があるって聞いたけど、どうせまたロクでもない話だろ?」

俺は真っ直ぐに男を睨みつけた。


男は薄く笑った。

「ロクでもないかどうかは、あなた次第です。私たちは、封印を解くという目的において、あなたが必要不可欠だと考えています。それに気付いていただきたかった」


「必要不可欠? 俺は封印を守る側なんだが、お前らと協力する気はさらさらねぇよ」


「そう断言できるのですか? 私たちが追い求めているのは、この世界を歪めている封印そのものの解放です。封印が力を失えば、この世界は再生の道を歩むことができる。あなたにとっても、悪い話ではないはずです」


「再生だぁ?」

俺は眉をひそめた。

「それって、どうせお前らに都合のいい世界に作り変えるって話だろ? そんなの、協力する理由がねぇよ」


男は静かに首を振った。

「この世界は、もはや維持することができないほどに歪み切っています。異世界の力で補強された封印がなければ、すでに崩壊していたでしょう。しかし、それに頼り続ければ、この世界の本質が消えてしまうのです」


「その話が本当だとしても、俺はお前らを信用してない。封印を解いた後の未来なんて、誰にも分からないだろ」


「それは確かにそうです。しかし、選択する力を持つのは、勇者様、あなただけなのです」


俺は拳を握りしめながら、奴の言葉を反芻した。

「選択……選択って言葉ばっかりだな。俺に選ばせたいなら、もっとちゃんとした理由を持ってこいよ!」


男は不気味な笑みを浮かべた。

「いずれ、分かる時が来ます。あなたが真実を知った時、選択肢はたった一つになるでしょう」


そう言い残し、男たちは霧の中に消えていった。


「なんだあいつら……まるで俺たちが何か大きな嘘に踊らされてるみたいな言い方しやがって」


「確かに、彼らの言葉には不気味な真実味がありますね……ただ、それが本当に正しいとは限りません」


俺は空を見上げながら呟いた。

「選択、か……俺はどうすればいいんだよ」


エリスは優しく微笑みながら言った。

「どんな答えを出すにせよ、勇者様が選んだ道を私は信じます。それだけです」


俺はその言葉に救われるような気がして、小さく頷いた。

「ありがとう、エリス。でも、俺はまだ迷ってる。それだけは分かってくれ」


「ええ、それで構いません。迷いながらでも、前に進めばきっと答えは見つかるはずです」


俺たちはその場でしばらく立ち尽くし、夕陽に染まる空を見上げていた。

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