第28話: 「双月の森での足跡」
双月の森へと急ぐ中、冷たい風が吹き抜け、森全体が静まり返っていた。木々は鬱蒼と茂り、その間から差し込む光が薄暗く揺れている。
「……なんだか気味の悪い場所だな」俺は剣の柄を握りながら呟いた。
「ここは、魔力が濃く漂う場所です。特に、この森には古代の遺跡が多く残されており、封印に関する研究が行われていた痕跡もあると聞きます」エリスが静かに説明する。
「つまり、また黒装束の奴らが動いてる理由はそれってわけか」
「はい。遺跡に何か重要なものが隠されている可能性があります」
「ったく、厄介な連中だな。さっさと見つけて片付けちまおうぜ」
俺たちは馬を降り、徒歩で森の奥へと進んでいった。
しばらく進むと、木々の間から奇妙な光が漏れているのが見えた。
「……あれだな」俺は剣に手を添えながらその光を睨んだ。「間違いねぇ、魔法陣の光だ」
「勇者様、慎重に進みましょう。魔物が潜んでいる可能性があります」エリスが警戒を促しながら歩を進める。
光の中心部に近づくと、そこには古びた石碑が立ち、その周囲を囲むように魔法陣が描かれていた。そして、魔法陣の中心には黒いローブを纏った人影が一人。
「やっぱりいたな……!」俺が剣を抜くと、その人物はゆっくりとこちらを振り返った。
「来ましたね。やはり、あなたは現れると思っていました」
「何をしてやがる。さっさと手を止めろ!」俺が剣を向けて一歩踏み出すと、男は冷静な声で答える。
「私はただ、この場所の力を調査しているだけです。あなたが干渉しなければ、何も起こりませんよ」
「黙れ! そんなこと信じられるか!」
俺が突っ込もうとした瞬間、魔法陣が光を放ち、霧のような魔物が現れた。
「またそれかよ!」
「勇者様、まず魔法陣を壊さないと! 魔物が次々に湧いてきます!」エリスが叫ぶ。
「わかった! お前たちは奴を引きつけてくれ!」俺は剣を構え直し、魔法陣に向かって駆け出した。
エリスと騎士たちが魔物を引きつけている間、俺は魔法陣の中心部に向かって突進した。だが、その途中で男が立ちはだかった。
「この魔法陣を壊すつもりですか?」
「当たり前だろ! どけ!」
俺は剣を振るったが、男は巧みに避けながら魔法を放ってくる。
「邪魔だ……!」俺は剣聖の力を解放し、一気に距離を詰めて男を吹き飛ばした。そして、その隙に魔法陣の中心部に剣を叩き込む。
「これで終わりだ!」
剣が魔法陣に触れると、光が一気に消え、霧の魔物も同時に消滅した。
「……やったか?」俺は剣を収めながら息を整えた。
「魔法陣は破壊されました! でも、また別の場所で動かれる可能性があります」エリスが慎重な表情で言う。
「わかってるよ。だが、今はこれで十分だろう」
俺たちは再び王都を目指しながら、この戦いがどこまで続くのかを考えざるを得なかった。




