表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚ラノベに否定的な俺が、召喚されたので逃げることを考える  作者: のほほん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/48

第19話: 「明かされる一端」

「勇者様、急ぎましょう。この宝玉を王都に持ち帰れば、何かわかるはずです」


エリスが神妙な顔で言う。俺は頷きながら、宝玉を見つめた。青白い光を放つその小さな玉は、確かに異質な力を感じさせるが、俺にはそれ以上の意味が分からない。

「これを調べるって、どうやるんだ?」


「王国の魔法師たちに解析してもらいます。彼らなら、この封印の力が何なのか解き明かせるかもしれません」


「まあ、そう簡単にいくとは思えねぇけどな」

俺はため息をつきながら、剣を背中に戻した。


「それにしても、あの黒装束の男……。いったい何が目的なんだ? 封印を解くとか、この世界を変えるとか言ってたけど、正直、意味がわからない」


「私たちもまだ手がかりが少なすぎます。ただ、彼らが封印に執着している以上、何か非常に危険な計画を持っているのは間違いないでしょう」


エリスが言葉を選びながら答える。その声には微かな不安が混じっていた。

「でもさ、俺が鍵だって言われる理由も全然わかんねぇんだよな。何で俺なんだ?」


俺が疑問を口にすると、エリスは少し考え込んでから口を開いた。

「勇者様が異世界から召喚された存在だから、ではないでしょうか? もしかすると、この世界の法則そのものと関係があるのかもしれません」


「法則ね……」俺は曖昧に頷きながら、それでも納得できない気持ちが胸に残った。


歩き続けるうちに、ふと背後で足音が聞こえた。「……誰だ?」俺が振り向くと、騎士の一人が警戒の声を上げた。


「何者かが近づいてきます!」


森の奥から現れたのは、一人のフードを被った人物だった。俺たちに気づくと、フードの人物はゆっくりと歩み寄りながら声を上げた。


「お待ちしておりました、勇者様」


「また黒装束の仲間か?」


俺は剣に手をかけながら睨みつける。だが、フードを脱いだその人物は意外なことに、少女のように見えた。白銀の髪と赤い瞳、不思議なオーラをまとったその姿は、この世界の人間ではないように感じられる。


「誰だ、お前は?」


「私はルナ。この世界の滅びを防ぐために動いている者……とだけ名乗っておきます」


少女は冷静な声で言う。その言葉にエリスが反応した。


「滅びを防ぐ……? あなたは何を知っているのですか?」


「黒装束の者たちが狙っているのは、この世界の根幹を揺るがす力。その封印を解けば、世界全体が崩壊するでしょう。彼らはそれを理解した上で動いています」


「世界が崩壊する……だと?」

俺が呆れたように言うと、ルナは鋭い目で俺を見た。


「あなたは召喚された勇者。この世界を守るために選ばれた存在です。その意味を理解していないようですね」


「俺はそんな大それたことをするために呼ばれたわけじゃねぇ。ただ、元の世界に帰りたいだけだ」


俺の言葉にルナは静かに溜息をついた。

「その甘えた考えのままでは、あなたはこの世界にとって脅威にしかならない。黒装束の者たちがあなたを狙う理由も、あなたがその力を持つ存在だからです」


エリスが割って入る。

「待ってください。勇者様は戦っています。この世界のために動いているんです。それを否定するようなことを言わないでください」


「私には時間がない。重要なことだけ伝えます。この宝玉を使って封印を解く選択肢があなたに提示されるでしょう。その時、あなたがどう動くかが世界の運命を決めます」


「選択だと? そんなもん、誰が解くかよ」


俺が言い返すと、ルナは微かに微笑んだ。


「ならば、心しておくことですね。黒装束の者たちは、あなたにその選択を強いるために動いています。その日が来るのはそう遠くありません」


彼女はそれだけ言うと、また静かに霧の中に消えていった。


「……何だったんだ、あいつ」


俺が困惑して呟くと、エリスが険しい表情で言った。


「あの人の言葉が本当なら、勇者様がこの世界に呼ばれた理由は、ますます重要な意味を持つということになりますね」


「重要だなんて言われても困るんだよ。俺はただ……」


「ただ?」エリスが問いかける。俺は答えを出せず、沈黙を返した。


その後、俺たちは王都への道を再び進み始めた。だが、ルナの言葉がずっと頭の中で反響していた。封印、選択、そしてこの世界の滅び……俺はその全ての中で何をするべきなのか、まだ何一つわからないままだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ