消えたジャック
ケイ達はタイムマシンに乗り込み、三千年後の未来へと出発した。
「操縦室は立ち入り禁止だからな。勝手にいじると目的地にたどり着けなくなる。だが、それ以外ならどこでも好きにくつろぐといい。とはいってもそんなに長くはかからないがな。」
そう言うとマスターは自身の船室に行ってしまった。トカゲと人間は時間の感覚が違うのだ。ひと眠りでもするのだろう。
ケイ達はそれから船内を探索した。どうも地上と同じような重力が船内には働いているらしく、宇宙飛行士になる夢を持っていたころに憧れた無重力で飛び回るようなことは残念ながらできなかった。それでもSF映画に出てくるような本物の宇宙船(この場合はタイムマシンだが、)は三人の少年をわくわくさせるには充分だった。
そうして一通り見た後に超巨大なサイズのクッションを見つけて三人でそれにもたれかかって休んでいた。
すると、船体に急に強い衝撃があり、三人は宙に浮き、ぐるりと一回転した後におもいっきり床に叩きつけられた。
「二人とも大丈夫か?」
人一倍頑強なサムがすぐに起き上がり声をかける。
「つっーーー。なんとか大丈夫だよサム。」
打ちつけた箇所をさすりながらケイはなんとか答える。
だが、ジャックからの返答がない。
「ジャック?おいジャック!悪ふざけはやめろよな。どこ行った!?」
サムは声を荒げる。
「そうだぞジャック、今はふざけるところじゃないぞ。早く返事しろ。」
ケイも起き上がり周囲を見渡すが、そこにジャックの姿はなかった。
「大丈夫か君たち。ん、ジャックはどこだ。」
ちょうどマスターも衝撃を受けて出てきたようだ。
「それが、おもいっきり船が揺れたかと思ったら気づいたらジャックがいなくなっていて。」
話を聞いたマスターは少し考えこんだ後、
「それはゼロの攻撃である可能性が高い。どうやら時空間航行を探知されてしまったらしい。ステルスモードで航行していたがそれでも見つかってしまうのであれば全力で駆け抜けてこれ以上の干渉をされないようにするほかあるまい。シートに座ってベルトをしめろ。ここからは飛ばしていく。」
そう二人に告げた。
「ジャックはどうするってんだよ。」
とサムが問うと、マスターは
「彼なら大丈夫だろう。ゼロの性格上ジャックは俺達を誘い出す餌として使われる可能性が高い。軟禁されはするだろうが、傷つくこともないはずだ。」
そう語った。
「それじゃあ加速に備えろよ。君らが乗ったことのあるどのジェットコースターよりも強烈だからな」
マスターが言い終わった瞬間にさっき叩きつけられた時の衝撃をも凌駕する圧力がケイとサムを強く抑えつけた。そして一瞬が永遠にも思える世界一長い一秒を体験した後、雷が落ちたような爆音とともにケイとサムの身体はふわりと浮いた。それらが再びシートに着地した時に、マスターは言った。
「到着したぞ。三千年後の未来の火星にな。」




